なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Jeff Buckley『You And I』

Jeff Buckley『You And I』


父親のティム・バックリィ直系のアシッド・フォークのニュアンスをモダンに展開しつつ、
97年に30歳で水死したカリフォルニア生まれのシンガーソングライターの未発表音源集。
全曲アコースティック・ギター弾き語りの独演である。

94年リリースの唯一のアルバム『Grace』と同様にアンディ・ウォレスがプロデュースや録音やミックスを手がけた
93年11月レコーディングの曲で幕を開けるが、
それ以外の9曲はメジャー契約直後の93年の2月にスタジオで録音されている。
後者は時おり“MC”も挿入しているから観客のいないスタジオ・ライヴの様相で、
未加工ながら後者もプロデューサーの名がクレジットされていて音質良好だ。

自作自演歌手とはいえ本作は、
デビュー・シングル曲「Grace」の別ヴァージョンと未発表曲「Dream Of You And I」以外はカヴァーである。
ボブ・ディランの「Just Like A Woman」、
Sly & the FAMILY STONEの「Everyday People」、
ルイ・ジョーダンの「Don’t Let The Sun Catch You Cryin’」、
ジェヴェッタ・スティールの「Calling You」(映画『バグダッド・カフェ』のテーマ曲)、
The SMITHSの「The Boy With The Thorn In His Side」と「I Know It’s Over」、
ブッカ・ホワイトの「Poor Boy Way from Home」、
LED ZEPPELINの「Night Flight」
をやっている。

父親の影響でもしかしたらリアル・タイムで聞いた曲が多いのかもしれないが、
ジェフが物心からついてから聴いたのはThe SMITHSとジェヴェッタ・スティールと言える。
特に前者は渋い選曲も興味深い。

どの曲もじっくりじっくり歌い紡いでいる。
コピーで終わってはいないが、
各々の曲のオリジナル・シンガーの歌い方のクセを活かしたアレンジ・センスも楽しい。
色々な点で振り幅の広いこれらの曲を強靭に歌い倒していることで、
艶やかな喉の魅力にあらためてとろけるのであった。

ギター・プレイの妙味も聴きどころの一枚。


★ジェフ・バックリィ『ユー・アンド・アイ』(ソニー・ミュージックエンタテインメント SICP 4751)CD
約53分10曲入り。
日本盤は、
8ページのオリジナル・ブックレットに載ったジェフの母親のメアリー・ギバートによるライナーの和訳、
「Poor Boy Long Way From Home」以外の歌詞とその和訳、
個々の平易な曲解説も含む萩原健太執筆のライナーが載った20ページのブックレット封入。


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コメント

なんと!

ジェフ・バックリィが掲載されるなんて,びっくりしました.
自分はあまり聴いてはいないんですが,
『グッバイ・アンド・ハロー 父からの贈り物』観に行きました.

抑揚のつかないストーリーを,無理に演出した感じが
残念だなと思いました.

主演の兄ちゃんの熱唱が好悪を問わず,強く印象に残りました.
ただ,歌が浮いちゃうといい映画にはならないんですよね…

ファンの方にはデビュー前夜がかいま見られるので,
興味深いんじゃないのかな,と思いました.

ご覧なられましたか?

Re: なんと!

ss2gさん、書き込みありがとうございます。

ジェフは当時からライヴ盤なども買っていました。
やっぱり父親経由で聴いてみてイケたのでした。
でもその映画はまだ見ていないです。公開された後に知った感じで。
“再現劇映画”はなかなか難しいですね。
JOY DIVISION/イアン・カーティスを扱った『コントロール』はDVDも買ったほど好きですが。
歌が浮いてしまうというのも、よくありますね。
一般的な映画でも、音楽が余計なことをした感じで台無しになってしまう映画も少なくないです。

Joy Divisionまで映画になっているんですね.興味深いです.
チャンスがあれば観てみます.

昨今は実在のミュージシャンを扱った映画って,とても多いですね.
コンセルトヘボウからトゥーマストまで,幅広いです.

自分はジム・ジャームッシュが撮った『year of the horse』が
とても好きです.粗くてラフな造りが,ニール・ヤングの
音楽をよくとらえていて,映画ならではの表現だと思いました.

それでは!

Re: タイトルなし

ss2gさん、
書き込みありがとうございます。
いわゆるドキュメンタリーとは違う形で、ミュージシャン役を俳優等が演じる映画は、色々な面で“違う!”というところも批判のポイントにされたりもしますが、『コントロール』はJOY DIVISIONに思い入れのある僕でもかなりイケました。
その映画は観てないですが、ニール・ヤング関係の映画も多いですね。本人が映像に対してもやる気満々なのでしょう。ジャームッシュはSLEEPも好きなぐらいロック好きなので、間違いないでしょう。

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Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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