なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MAGAZINE『Play.+』

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BUZZCOCKSのオリジナル・シンガーだったハワード・デヴォート率いる、
英国のニューウェイヴ/ポスト・パンク・バンドのMAGAZINE。
これは80年にリリースしたライヴ・アルバム『Play.』の新装リイシュー盤(昨夏発売)。
80年9月のオーストラリアでのライヴが入ったオリジナル盤の10曲に2曲加え、
78年7月の英国マンチェスターでのライヴ9曲収録のボーナスCDが付いている。

国内盤が発売されていたにもかかわらず少なくても当時日本では脚光を浴びていたバンドとは言いがたく、
ぼくもMAGAZINEのいいリスナーではなかった。
英国からどんどんどんどん先鋭的な音のバンドが出てきていた時代だったし、
食いつきがいいものに惹かれる子供の自分にはイマイチ魅力がわからなかった。
久しぶり(たぶん10~20年ぶり)に聴いても微妙に渋くマニアックでクセが強いが、
だからこそ、つっつき甲斐がある。
色々な音楽を知った今だとMAGAZINEの立ち居地の面白さもよくわかった。


バンド名にふさわしくMAGAZINEには多色な役者が揃っていた。

オリジナル・ギタリストで初期のソングライターだった故ジョン・マッゴウ(マクガフ)は、
後にSiouxsie & The BANSHEESで大活躍してPILにも参加。
二代目ギタリストのロビン・サイモンは、
ULTRAVOX!がULTRAVOXとなって78年に出した『Systems Of Romance』でギターを弾き、
そのリーダーだったジョン・フォックスがソロ・ツアーを始めた時のバンドの一員だった。
黒人ならではのグルーヴ感で異彩を放ったベースのバリー・アダムソンは、
後にNick Cave & The BAD SEEDSのオリジナル・メンバーとして濃厚な黄金期の中核となる。
ロマンチックな音色に加えてニューオリンズ的なジャズ演奏も見せた、
デイヴ・フォーミュラーのキーボードもMAGAZINEの特異性を際立たせていた。
そしてリーダーのハワードは、
映画『24アワー・パーティー・ピープル』だと便所でファックするシーンで目立っていたが、
デイヴィッド・ボウイが微妙に変態化したみたいなヴォーカルを聴くとその行為が事実かもとうなずける。


ディスク1の本編は3枚のアルバムをレコーディングした後のライヴだが、
初期の曲も多くてバランスのいい選曲。
ロビンがギタリストの頃の安定期のパフォーマンスが楽しめる。
ディスク2は未発表音源で今回の目玉。
ジョンがギタリストの頃の初々しくもパンク・ロックの残り香を感じさせるプレイに胸がすく。
とにかくメンバー一人一人のプレイがくせ者というか屈折しているというか、
ポップでメロディアスではあるにもかかわらずヒネリが効いていた。
センセーショナルなバンドではなかったけどいい曲をたくさん書いていたと再認識。

ピーター・マーフィー(元BAUHAUS)がカヴァーした「The Light Pours Out Of Me」や
NO FUN AT ALLがカヴァーした「Shot By Both Sides」といった二大代表曲に、
BUZZCOCKSのフロントマンのピート・シェリーも曲作りに携わっていることも特筆したい。
77年リリースのデビューEP『Spiral Scratch』をリリースしてまもなく、
ハワードはBUZZCOCKSを抜けてMAGAZINEを結成したわけだが、
脱退後も二人は関係が続いていたのだろう。

Captain Beefheart & The MAGIC BANDの「I Love You, You Big Dummy」を、
「I Love You You Big Dummy」としてリメイクしているのも興味深い。
BUZZCOCKSの初期デモ音源集『Time’s Up』にも入っていたぐらいの曲だから、
よっぽどハワードが好きな曲だと思われる。
SLY & The FAMILY STONEの「Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)」のカヴァーにもビックリだ。
モロにファンクである。
当時の英国のニューウェイヴ・バンドでこういうことをやるなんて、
やはりタダモノではなかった。


●MAGAZINE『Play.+』(VIRGIN CDVX2184)2CD
本編のオリジナル曲の歌詞が載った8ページのブックレット付。
ギタリスト以外は『Play.』のメンバーで昨年再編してライヴを行なっている。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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