なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

泉邦宏『もがりぶえ』

泉邦宏『もがりぶえ』


渋さ知らズに二十代半ばから参加して以降実に多彩で実にコンスタントかつ精力的な活動を続けている、
山梨県在住の自称“全身音楽家”が自主レーベルから出した約半年ぶりの新作。

様々な楽器等を操って歌ものアルバムも多数リリースしている1967年生まれの奇才だが、
演奏者としては基本的にサックス・プレイヤーで、
今回はその流れを感じさせる尺八独演のインストの約69分10曲入りである。


いきなり様々な尺八による即興をつなげた組曲でカマす。
音の重ねを活かして作り上げているが、
あくまでもNIHILIST SPASM BANDみたいな天然演奏が身上。
フルートのような音色も聞こえてきて鳥のオーケストラがプログレを展開しているようでもあり、
北島三郎などの演歌を思わせる尺八もブロウ!して侘び寂びの歌心も滲み出て、
しかも何気にスピード感もあるという恐るべき曲だ。

曲によってはサイケデリック・スペイシーに迫り、
もちろんミニマル・ミュージックも曲のテクスチャーに引用。
オリジナル・ブルース尺八ナンバーの「馬鹿は見る」をはじめとして“歌”も聞こえてくる。
「秋田草刈唄」「秋田おばこ」「貝殻節」「秋田馬方唄」といった民謡の“リメイク”も聴きどころで、
ポップ&素朴に仕上げているところに泉のキャラが表れている。
とはいえチャーリー・ヘイデンの「Song For Che」と
ジョン・コルトレーンの「Wise One」のカヴァーが象徴するように、
アルバムすべてが異形のジャズにも聞こえるのだ。

泉のセルフ・ライナーによれば、
アルバム・タイトルの『もがりぶえ』とは“冬の冷たい風が垣根なんかに当たって鳴る音のこと”らしい。
言い得て妙である。

人並み外れた泉の応用力全開の一枚。


★泉邦宏『もがりぶえ』(キタカラ K-25)CD
薄手の二つ折り紙ジャケットの約69分10曲入り。


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Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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