なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

HELLCHILD『・・・To The Eden』

HELLCHILD『…To The Eden』


14年間の“冬眠”を経て昨年再始動した、
東京拠点の“エクストリーム・メタル・バンド”のリイシュー盤。
HELLCHILDの初のCDだった92年リリースの4曲入りの作品『・・・To The Eden』に、
87~91年録音の5本のテープ作品に収めた22曲と未発表ヴァージョンの1曲を加えた、
計約122分27曲入りの2枚組CDである。

93年にファースト・フル・アルバム『Where The Conflict Reaches』を出す前の初期音源集とも言える。
ジャンル問わず引っ張りだこの中村宗一郎のマスタリングも奏功し、
カセット収録のデモやライヴの曲も含めて各パートがしっかり聞こえる音像に仕上がっているCDだ。


デス・メタル・バンドとして認知されているバンドだが、
その範疇に留まらないバンドである。
大半のデス・メタル・バンドと違ってギタリストが一人ということで音作りの方法論が異なるし、
マッチョに押し倒す大味サウンドとも違って緻密かつコンパクトに迫る。
活動停止直前はドゥームがかったヘヴィ・ロックになっていたし、
2001年にはCONVERGEとのスプリット盤『Deeper The Wound』が
そのヴォーカルのジェイクのレーベルであるDEATHWISH Records第一弾として出たことも象徴的だ。
いわばスラッシュ/デス・メタルからドゥームメタル~メタル/カオティック・ハードコアまで包容してきたバンドで、
本作で言うならば特に80年代にレコーディングした曲はデス・メタルと言い切れない。
「Hellchild」という曲をやっているVENOMの流れをくむ“外道メタル”を進化させていったバンドということが、
よくわかる構成だ。


まずこのCDの中で一番新しい録音である本編の『・・・To The Eden』の4曲から始まるが、
これぞHELLCHILDスタイル!と言うべきデス・メタルだ。
デス・メタルには記憶するのが難しい曲も多いが、
キャッチーなギター・フレーズを織り込んでいるのもHELLCHILDならではで、
かなり久々に聴いて僕も全4曲しっかり覚えていた。
ブラスト・ビートは使わず、
DEATH meets OBITUARY”とも言いたくなる叙情性とスラッシーなリフが際立つサウンドだ。
そして現在はSWARRRMなどでも喉を震わせるツカサ・ハラカワの骨っぽいヴォーカルも
巷のデス・メタルのデス・ヴォイスとは完全に一線を画すストロングな芯に貫かれているのであった。

ツカサの加入が影響したのかどうかは定かじゃないが、
彼が咆哮するようになった90年以降の録音の他の15曲に耳を傾けると、
それ以前よりも曲を練っていてデス・メタル色が強まっている。
ギターもエッジが尖っていてリフがクールに研ぎ澄まされ、
ミディアム・テンポの曲のカッコよさも再認識させるのだ。


前記した『…To The Eden』の4曲が終わって5曲目以降は時系列で曲が並べられ、
進化していく様子が見えてくる。
極初期の87年と88年の録音はスラッシュ/デスとも呼びたくなるサウンドで、
その2本のテープのパッケージに
“スラッシュ・コア”“ニュー・ウェイヴ・オブ・スラッシュ”という言葉が躍っているのも納得のサウンドだ。
BATHORYあたりに通じるデス/ブラック・メタルとハードコア・パンクの接点になるような音楽性で、
当時のヴォーカルのタカマサ・ホソノの歌い方はもっとバンカラでハードコア・パンクとブラック・メタルの色も強い。
ブッつぶれたギターをはじめとして粗削りの音もたまらないし、
ニュースクール・ハードコアの先駆けみたいな曲もやっていて興味深すぎるのだ。


ジャンル関係なく一生懸命に取り組んでいるどんな初期表現に対しても言えることだが、
このCDも新しく何かを生み出そうする熱気に圧倒される。
アウトローな“エクストリーム・メタル”好きはもちろんのこと、
内外問わずアンダーグラウンドのロック全般が好きな方の心にも響く発見多々のグレイト・リイシューだ。


★ヘルチャイルド『トゥー・ジ・エデン』(RITUAL RRJP-1369)2CD
クレジット、本編の歌詞、本作収録曲の初出の作品のアートワーク、ライヴのチラシ、
オリジナル盤もリリースしたRITUAL Recordsの主宰者ならではの事実関係を綴るライナー等で彩った、
12ページのブックレット封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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