なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CHURCH OF MISERY『And Then There Were None…』

CHURCH OF MISERY『And Then There Were None…』


結成20年を越えて海外にもフォロワーが絶えない、
東京出身のドゥーム・ロック・バンドのCHURCH OF MISERYが約3年ぶりに出した新作。
オリジナル・フル・アルバムとしては5作目で、
リリース元は引き続きリー・ドリアン(WITH THE DEAD)のレーベルだ。

メンバーが変わるたびにCHURCH OF MISERY以外の何物でもない孤高の佇まいを強め、
今回も真打ち登場!盤である。
皆殺しの大量殺人現場もイメージするタイトルだが、
GENESISの78年のアルバム・タイトル『…And Then There Were Three...』を思い出す、
自虐的に笑い飛ばすアルバム・タイトルがCHURCH OF MISERYらしい。

とうの昔にオリジナル・メンバーは一人になっているが、
そのリーダーのタツ・ミカミ(b)以外は“誰もいない状態”のままレコーディングに突入。
クレジットから察するに
“他の3人”は正式メンバーではないようだが、
シリアル・キラーのような風貌でミカミと同じ扱いでブックレットに顔写真も載っている。
その3人は、
グラインドコアの元祖バンドの一つのREPULSIONのフロントマンとして知られ、
末期CATHEDRALでベースを弾いたスコット・カールソン(vo)、
BLOOD FARMERS他のDavid Szulkin(g)、
EARTHRIDEのエリック・リトル(ds)である。


不穏なSEのイントロダクションの時点で殺られる。
酩酊感の“粉”を少々ふりかけたかのような香りで、
熱放射されているみたいに焼けつく強靭なヘヴィ・チューンがたまらない。

アメリカ・レコーディングの影響も大きいだろう。
楽器の録音はドゥーム系のバンドが愛用しているメリーランド州のスタジオで、
レコーディング・エンジニアは米国のPENTAGRAMも手掛けているクリス・コズロウスキー。
ヴォーカルは、
元SCREARMERSのポール・ローズラー(元BLACK FLAGのキラの兄)運営のLAのスタジオで録音。
ミックスは初期からずっと録音を手がけてきたO-Mi Kihara。
そしてマスタリングはここ10年以上ずっとお世話になっている超売れっ子エンジニアの中村宗一郎で、
音の仕上がりもパーフェクトだ。

日本のバンド離れしているのは実際3分の1が日本のミュージシャンではないから当然だが、
4人それぞれが放つサウンドそのもののガラの悪さに痺れる。
不良ぶってようがその気配が音そのものに表れてない上辺だけのバンドがあまりにも多い中、
別にいわゆるワルぶってないにもないバンドにもかかわらず人相の悪い音、
さすがである。

珍しくカヴァー無しなのは、
全曲ディープな今回のオリジナル曲の中に混ぜようがなかったからだと想像できる全7曲。
ミカミのクールな作曲力とリフの創造力にあらためて感服する。
他の3人は自分のサウンドをキープしつつ他のバンドでやっている時とやはり多少違い、
ミカミ/CHURCH OF MISERYの曲ということを意識してリズムや音色を考慮しているようなプレイだ。

ドゥームで陰鬱だが、
どの曲も恐ろしく躍動していて緩急織り交ぜてドライヴしている。
殺伐としたエナジーが溢れているからである。
楽器が放つ響きにも宿る血塗られた歌心も身に染みる。
集団自殺を行なったカリフォルニアの宗教団体がテーマの曲と思しき
「Suicide Journey (Heaven's Gate Cult)」は2分弱のインスト・ナンバーだが、
ナレーションに混ざる鎮魂混じりの美しい叙情性も“すべてが終わったあと”みたいに怖い。

今回のシンガーのスコット・カールソンは“前任の2人”のように芸達者じゃないことを強みにし、
ハードコアなストロング・スタイルで迫る。
芝居がかること無しで、
陰湿なシリアル・キラーをはじめとするアブナイ人物に成り切っている歌唱だ。

例によって個々の曲のモチーフ/テーマになったと思しきシリアス・キラーの名前等が
各々の曲のタイトルの横に添えられているが、
珍しく歌詞をブックレットに載せているところも特筆したい。
REPULSIONを思わせるデス・メタリックな内容も含むが、
スコットが書いているだけにREPULSIONの猟奇的な歌詞の流れを自然とくんでいるからに他ならない。

むろん戦略やテーマ頼りの頭デッカチとは別物である。
出音ひとつひとつの芯が強く腰が据わっていることが何よりの証しだ。
8分半近いラストのドゥーム・ブルース・ナンバーの「Murderfreak Blues」まで、
何度でも聴きたくなる強力盤である。


★CHURCH OF MISERY『And Then There Were None..』(RISE ABOVE RISECD196)CD
8ページのブックレット約42分7曲入り。


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コメント

個人的に「Houses of the Unholy」の血沸き肉躍るドライヴ感が大好きなので
若干物足りなさも感じますが、やはり別格のかっこよさです。

静と動の鮮やかなコントラスト、絶妙な「間」の取り方、一音一音の圧倒的な
「重さ」・・・うーん、素晴らしい!!

行川さんも仰ってましたが、CHURCHはドゥーム云々以前にロックとして
最高ですよね。

Re: タイトルなし

ゾーン・トリッパーさん、書き込みありがとうございます。
前作も大好きですが、意外にも僕は今回のアルバムの方がハマっています。落ち着いているとは言わないですが、地に足が着いている感覚というのかな・・・そういう感触が好きです。
バンド(というか今回はタツ・ミカミのということでしょうが)の耳がいいというか、曲作りから最終的な仕上げまで、責任を持って取り組んでいることも伝わってきます。一種の誠意と言ってもいいですね。
能書き無しでストレートにロックの音として深いです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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