なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MoE & BIRUSHANAH GOLDEN BLIZARD TOUR 2016 JAPAN at 東高円寺・二万電圧 5月6日

MoE BIRUSHANAH GOLDEN BLIZARD TOUR 2016 JAPAN


ノルウェーのMoEと大阪のBIRUSHANAHという、
トリオ・バンド同士によるツアーの8日目のライヴを東高円寺の二万電圧で観た。
GOUMのヴォーカルが後半フロントに立っていたZOTHIQUEが1番目、
トランス色の強い人力サウンドで弾んだTHE DEAD PAN SPEAKERSが2番目、
豪放なデス・メタルで簡潔に締めたCOFFINSが5番目という順番で登場したが、
その間の3番目にMoE、
4番目にBIRUSHANAHがプレイした。


MoEはヴォーカル/ベース+ギター/バッキング・ヴォーカル+ドラムという編成。
これまでに数回来日していて日本でのライヴも多少慣れているとはいえ“こなれること”はなく、
超絶的なパフォーマンスでたまげた。
TEENAGE JESUS and The JERKS、初期SWANS、初期SONIC YOUTH、BIG BLACK、ZENI GEVAに、
UNSANEをはじめとするAMPHETAMINE REPTILE Records周辺のバンドや、
COALESCEあたりのRELAPSE Records周辺のカオティックなヘヴィ・ロック・バンドのパワーを
ブッ込んだかのようだった。
ドゥームやパンクの肝もチュラルに混在し、
お勉強して作った気配はまったくなく斬新に炸裂させていたのである。

まずウルトラ・パワフルなドラムに震撼した。
ジャズを絡めたロックのビートが何しろ止まらず場内はシンプルなリズムの洪水と化した。
シンプルなドラム・セットを腕の振り大きく叩きまくり、
耳栓替わりなのか航空隊員みたいな耳あてをかぶったお茶目なヴィジュアルで涼しい顔をしながら
一音一音に気合も叩き込みまくっていたのだ。
ギタリストは普段の温和な佇まいとは一転し、
ステージでは銀縁メガネを外してホット&クールにノイズ・コントロールをする演奏で曲を進める。
もちろんスラッシーなパートでもメタルにはならないギターだし、
ハーシュ・ノイズではなく楽曲を加速させる“研ぎ澄まされたノイズ・ギター”に覚醒させられた。

そして自らの名をバンド名にしたヴォーカル/ベースのMoeの熱演に痺れた。
色々と情報をいただいているライターの剛田武さんに通訳をしてもらって話を訊いたところ、
彼女はジャズを入口にして
オムニバス盤『No New York』に代表される“ノー・ウェイヴ”の音楽に入り込み、
そこから次々と嗜好性が広がっていったようだ。
うなずける話だが、
リディア・ランチも頭をよぎったにしろ自然体だし芝居がかったところがまったくない。
小柄なところもひっくるめて、
別の日にMoEを見た灰野敬二
「女版ディッキー・ピーターソン(BLUE CHEER)」と評していたというのも納得の迫力だったのである。
喉を潤すべく曲間でライヴ・ハウスのプラスチック・コップに入った飲み物を飲む際に、
コップの脇をつかむのではなくそのフチをつまんで飲む姿も粋だった。

どこもかしこも体裁を気にしない一方で、
音も考慮してギターとベースのネックがメタル製などディーテールの見た目も素敵なステージだったのである。


BIRUSHANAHもグレイトなパフォーマンスを繰り広げた。
CAVO時代は基本的にギター専任だったヴォーカル/ギター+
メタル・パーカッション/バッキング・ヴォーカル+ドラムという編成で、
MoEに匹敵するパーカッシヴな音を放射し続けたのであった。

やはり目立つのはメタル・パーカッションで、
様々なメタル・ジャンクを独自に組み上げた圧巻の“キット”をスタンディングで叩くのだが、
いわゆるノイズではなくあくまでもビシッ!としたリズム楽器として愛でながら叩く。
強烈な金属音は言わずもがな静かなパートでの繊細な音も聴きどころだ。
ドラムも手数が多めながらシンプルなリズムを刻んで無駄がなく、
速いリズムも緻密ながらメタルのカチッとした感覚とは一線を画す自由形。
二人の打楽器は“半分ユニゾン”になっていて見事なハーモニーを聞かせてもくれた。
そしてヴォーカルは日本語で歌われるがゆえに和の旋律も滲み出ているところも魅力だが、
悠然と声を放つから妙に歌が前面に出すぎずに音に溶け合っている。
ギターはドゥーミーなスロー・リフでもスラッシーなパートでもやはりメタルにはならず、
サイケデリックも呼ぶのがふさわしい音で包み込んでいったのである。

やはりメタル・パーカッショニストが特にいいキャラで、
フロアーの方に身を乗り出しながら放つ“浪花節”もピリリと効いた豪快なMCは、
日頃せせこましく押しつけがましいMCにウンザリさせられることの多い僕もぐいぐい引き込んだ。
最後はフロアーに降りてきて銅鑼を叩きまくり声を発しながら悠々と場内を去っていったのである。


肉体性のパフォーマンスに胸のすく一夜だった。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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