なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DISCHARGE『End Of Days』

DISCHARGE『End Of Days』


避けて通れないDISCHARGEの新作。
『Disensitise』以来の約7年ぶりのオリジナル・フル・アルバムである。

77年iに英国のストーク・オン・トレントで結成以来DISCHARGE史上初の5人編成でのレコーディングだ。
黄金期を支えたボーンズ(g)とレイニー(b)は健在で
80年のレコード・デビュー時のドラマーで何度かバンドを出入りしているテズがギタリストとして復帰。
ドラムはデイヴ。
そしてヴォーカルは、
2000年代からDEAD HEROESやWASTED LIFEなどで活動してきたヤニアクが新たに務めている。


テズの演奏パートが違うとはいえ実のところレイニー以外の4人のメンバーは、
DISCHARGE(一時)脱退直後の83年にボーンズが始めたBROKEN BONES
2004年の作品『Dead And Gone』と同じである。
というわけでますますBROKEN BONESに近くなっている。

もちろん82年頃のDISCHARGE、
つまり作品で言えば『Never Again』~『Hear Nothing See Nothing Say Nothing』~
『State Violence State Control』時代の曲と音を応用アップデートしたような曲が基本。
一方で現メンバーは一人も参加してないアルバムだが、
曲によっては『Massacre Devine』(91年)や『Shootin' Up The World』(93年)あたりのモダンな“技”も聞こえてくる。
そして二度目の復活時の『Discharge』(2002年)収録の「Accessories By Molatov」の続編曲には、
その時代から継続性も感じられる。

とはいえBROKEN BONESの肝でもあるスラッシーなギターの刻みで進め、
一ひねりして“もう一展開の聞かせどころ”を設けた曲がほとんどだ。
レイニーが加わったBROKEN BONESみたいでもあるが、
ボーンズとレイニーの熾烈なヘヴィ・ハーモニーこそがDISCHARGE!と再認識させるアルバムではある。

新ヴォーカルは、
前任のラット(VARUKERS)以上にDISCHARGE全盛期の80~82年のキャルの歌い方や声質に近い。
DISCHARGEの代表曲の伝統を引き継ぐように歌詞は短めで
(もちろん8ページのブックレットに載った歌詞も同じくタイプライター字体)、
キャルがヴォーカル時代のような暗喩を使いながらポリティカルな歌詞を吐いている。

余裕が感じられる一枚。


★DISCHARGE『End Of Days』(NUCLEAR BLAST 27361 36792)CD
約35分15曲入り


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コメント

余裕というのが良い意味なのか悪い意味なのか分かりませんが、自分はDISCHARGEを必死になぞってるって感じがしました。
アルバムは決して悪い内容ではないのですが。
DISCLOSEとかと同じで最初はおっと思う内容ですが繰り返し何度も何度もは聞かないですかね。

いつもお世話になっております。

なめブログをチェックしていなければ知り得なかったであろう、ディスチャージのニューアルバムリリース情報!まだ未聴ですがこちらにディスチャージのちょっとした歴史が載ってて勉強になりました。これからもパンク情報をよろしくお願いします。

ホント、避けさせてもらえませんね。

ヴォーカリストは、声も歌い方もCalそっくりだと思いますが、あの頃のCalの怒りは半端じゃなかったんだなと改めて思いました。
今回、テズがギターに加わったので、レイニーの音が聴こえづらくなってますね。

レーベルの特徴ってあると思うんですが、
今回、ディスチャージまでもそうなってしまったのかなとは思いました。

しかし、先入観や期待だけで終わらせるには、ずいぶん勿体ないアルバムです。
こんなにカッコいい音楽は滅多にないと思います。実際、曲は良い意味でキャッチーで繰り返し聴いてる曲もあります。

Re: タイトルなし

書き込みありがとうございます。

>能年さん
ここでの“余裕”というのはあまりポジティヴな意味合いではないですね。ベテランならではという感じではあるのですが。“ロックンロール・バンド”として捉えるとこれはこれでいいかなとも思います、一つのアルバムとして。ただ歌詞などに表われているニュアンスがあまりサウンドそのものから感じられないというか・・・そういうバンドはすごく多いですが。たしかに新ヴォーカルも、どうしても気持ちの上で80~82年頃をなぞらずにはいられないとも察せられます。昔から大好きな別格のバンドの新作は、色々と複雑な思いが交錯してしまいます。

>余分三兄弟+さん
激しいメンバー・チェンジに伴って、それこそ70年代のデモも含めて、少なくても音源を追っていく限り作品ごとに毎年のように“変化”していったバンドということを思えば(80年の3枚の7”EPと『Why』と『Hear Nothing~』といった全盛期も全部違いますからね)、今回はこう来たか!という楽しみ方も可能でもあります。

>Lifeさん
たしかにNUCLEAR BLASTらしいですね。ヘヴィ・メタルだけでなく、メタリック&モダンなハードコアのベテランも最近よく出していますし。大本をたどれば初期に日本のハードコア・パンクのオムニバス盤を出していたレーベルということを思えば、筋が通ってもいて感慨深くもあります。
いつも言っていますが、声や音から聞こえてくる意識に耳を傾けるとわかるというか、いくらそれっぽく歌っていても声はウソをつきません。新ヴォーカルも健闘しているとは思います。ヴォーカルが変わっていったバンド・・・DEEP PURPLEやBLACK SABBATHのような感じで楽しむのもありかなと。
個人的に言えば、ボーンズ脱退後の83年の『Warning~』以降、それ以前みたいに切迫感で震える作品はないです。そういう別格の感覚を求めずに楽しむなら、他で聴けないクールなハードコア・パンク・アルバムですよね。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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