なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

The POP GROUP『The Boys Whose Head Exploded』

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英国ブリストル出身のポスト・パンク・バンドのThe POP GROUPによる
“後期”の未発表ライヴものでまとめたCDとDVDの2枚組。
79年録音の1曲以外はすべて80年のステージで計5ヶ所のライヴが収められている。


CDは約41分10曲入り。
すべてスタジオ録音のオリジナル・ヴァージョンでは
The POP GROUPの二代目(+現)ベーシストのダン・カトゥシスが弾いている曲だ。

ドイツのケルンで録音された曲は
2007年発売のレア音源集『Idealists In Distress From Bristol』に収録されたライヴと同じ日のものと思われるが、
バンド公認の形で世に出るのはこれが初めてである。
全曲マスタリングも良いのか音の分離がまずまずで、
ファンの方ならまったく問題ない音質だし、
鼓動が肌に伝わってくる“生”の音質にこっちの鼓動も速くなる。
もちろんどの曲もスタジオ録音ヴァージョンとはアレンジが違うが、
強烈な壮絶テイクばかりで身震いする。
こんなプレイをやっていたら“長生き”できるわけがないから、
まもなく(一時)解散したのもあらためて納得できるのだ。

収録曲のうち「Shake The Foundations」は、
ダン・カトゥシス(b)が当時ほぼ掛け持ちでやっていたGLAXO BABIESの
「Shake (The Foundations)」のカヴァー。
この頃のThe POP GROUPがライヴのレパートリーにしていた曲である。
9分半を越えるラスト・ナンバーの「73 Shadow Street」は未発表曲だが、
マーク・スチュワート(vo)がMark Stewart + MAFFIAで出した
82年のデビューEP『Jerusalem』と83年のアルバム『Learning To Cope With Cowardice』に収録の
「Welcome To Liberty City」とほぼ同じだ。
ベースと打楽器がメイン楽器で他の曲とはメンバーが違うように聞こえ、
その曲のみダンだけソングライターとしてクレジットされていない。

とにかく永久不滅の圧倒的な熱量に打ちのめされる。


一方DVDには80年6月の昼間に行なったロンドンにおける野外ライヴの約8分のダイジェスト版映像を収録。
パンク・ドキュメンタリーの『ザ・パンク・ロック・ムーヴィー』『パンク・アティテュード』や、
『ザ・クラッシュ: ウェストウェイ・トゥ・ザ・ワールド』などのCLASHの映像作品で知られる、
ドン・レッツが作った“Punk Rock Archives”作品である。

79年のファースト・アルバム『Y』のオープニング・ナンバー「Thief Of Fire」や、
ギャレス・セイガー(g他)がヴォーカルの「If You Think You're Part Of The Solution」を含む
全6曲がプレイされている。
ステージの袖などからのカメラ一台での撮影だが、
どの曲も一部しか観られないのが残念でたまらないほどしっかり撮られた鮮烈な映像である。
映像作家としての手腕とセンスに関しては間違い無し!のドン・レッツだけに、
分裂寸前の時期のThe POP GROUPのカオスを凝縮した見事な編集も奏功して息を呑みっぱなしだ。

たった8分なのに見どころ満載である。
当時英国各地で盛り上がり始めていたハードコア・パンクやOi!/ストリート・パンクとダブならさそうな、
こざっぱりした観客ばかりなのも興味深く、
200~300人ぐらいギッチリの観客が途方に暮れつつ固唾を呑んで見守っている様子も生々しい。
曲によってダン以外に二人のベーシストが参加してツイン・ベース体制で演奏しているのも興味深い。
モヒカン頭のギャレスをはじめとしてメンバーのヴィジュアルもメチャクチャで楽しいし、
The POP GROUPがエクストリームな“ダンス・ミュージック”であることを
メンバー自身がステージで表してもいる。
The POP GROUPの後に出演したらしいSLITSのメンバーも彼らがプレイしている後ろで踊っているのであった。

燃えるしかない。


★ザ・ポップ・グループ『ザ・ボーイズ・フーズ・ヘッド・エクスブローデッド』(JVCケンウッド・ビクター・エンタテインメント VIZP-146)CD+DVD
三つ折り紙ジャケット仕様で、
CD収録曲のすべての歌詞のオリジナル・ヴァージョンとその和訳が載った16ページのブックレットと
ジャケット・デザインのミニ・ポスター折り込み封入。


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コメント

収録場所がバラバラとは言え、これは第一級のライヴ作品ですね。

スタジオ・アルバムよりもダーティーでブルータルなサウンドが兎に角
かっこいいですし、終始鳥肌が立ちっぱなしでした。

ブリブリのベース、タイトなドラム、ソリッドでフリーキーなギター、
そして怒気を孕んだマークの粘っこいヴォーカル・・・
行川さんが仰っているように、長生きできるはずのない凄絶なサウンドが
圧巻です。

移民の街であるブリストルが、いかに刺激的であったかも再確認しました。

Re: タイトルなし

ゾーン・トリッパーさん、書き込みありがとうございます。
もちろんライヴはフル・セット聴きたいわけですが、好編集で一つのアルバムとして良くまとめられていますね。いわゆるオーヴァー・プロデュースではないとしても、80年代にリリースした彼らのスタジオ録音音源作品も破壊的に音が飛び散って聞こえる爆裂した作りになっていましたから、ライヴだともっとダイレクトになっている感じです。
特にフリーなシチュエーションのライヴだったようですが、DVDの方を見ると、次々と楽器を変えるギャレス・セイガーをはじめとして、いかに彼らが自由にパフォーマンスしていたかも伝わってきますね。

>>当時英国各地で盛り上がり始めていたハードコア・パンクやOi!/ストリート・パンクとダブならさそうな、

当時のシーンをリアルタイムで知る行川さんならではの深いご意見ですね。
現地に行ったこともない、英文記事を読むことすら出来ないインチキライターが跋扈する中、パンクの弁護人・行川さんだけは信頼出来ます!

Re: タイトルなし

>東京パフォーマンスドールさん
書き込みありがとうございます。
ちょうどEXPLOITEDやCOCKNEY REJECTSも既にレコード・デビューしていてギャリー・ブッシェルが手を付けた時期とダブりますね。 英米圏だけでなくもっと幅広い範囲で見て、日本の同時代のシーン(吉祥寺マイナー周辺のシーンからハードコア前夜のパンク・シーンなどなど)の動きとダブらせて考えるのも興味深いと思います。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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