SWARRRM『20 year chaos』
2016-07-03

神戸出身の“カオティック・グラインダー”SWARRRMが出レたレア音源編集アルバム。
リリース元の3LAの水谷さんと共に、4000字程度のライナーを書かせていただきました。
結成20周年記念盤である。
ちなみにアルバム・タイトルの“year”は文法的には“years”と綴るのが正しいのだろうが、
深い意味はなく響きが好きいうことで故意に“year”にしているとのことだ。
ファースト・アルバム『Against Again』(2000年)からセカンド・アルバム『偽救世主共』(2003年)前後に、
7”レコードやオムニバスCDなどで発表したアルバム未収録のレア音源楽曲の中からセレクト。
ATOMIC FIREBALL(現REDSHEERのメンバーが中核で現ヴォーカルのツカサが当時在籍)、
NARCOSIS、BLOODRED BACTERIAとの3枚のスプリット盤、
『TERRO-RHYTHM #3』と『Japanese Assault』というオムニバス盤、
本作のジャケットのアートワークが盤面を彩ったピクチャー7”レコードから、
12曲を厳選している。
音源を詰め込んだディスコグラフィーCDのような形を避け、
一つのオリジナル・アルバムのように構成しているのがポイントだ。
ヴォーカルは『Against Again』でも務めたハタダ(現GAMY)と、
『偽救世主共』のレコーディング終了後に加入してSWARRRMの大切な時代を支えたヒダカが担当。
歌いこむ現ヴォーカルのツカサとは違い、
二人とも当時のSWARRRMを象徴するインプロヴィゼイション・スタイルの激烈咆哮スクリームだ。
自由であろうとするための自己コントロールのように、
内外の色々な音楽を愛好するバンドゆえに脇道にそれかねない自分たちにとっての“戒律”として、
どの曲にもブラスト・ビートを入れることを“お約束”としたアレンジ・ワークではある。
SWARRRMがグラインドコアと呼ばれるのはブラスト・ビートが肝だからであり、
彼ら自身も“グラインド”をキーワードにしているが、
進化し続けるハードコアがSWARRRMの心性ということも伝わってくるCDだ。
伝統的なハードコア・パンクとニュースクールのメタル・ハードコアの間を、
カオティック・ハードコア/エモ・ヴァイオレンス/激情系ハードコア/ネオ・クラストに加え、
ブラック・メタルやデス・メタルの暴虐性も混入させながら加速していた時代の壮絶な記録である。
安易な“ノイジー”に逃げず、
レコーディングのとき実際に鳴っていた各パートの音をそのまま鮮やかに蘇らせ、
多彩かつドラマチックな楽曲の研ぎ澄まされた叙情性が伝わりやすいマスタリングになっている。
我が道を進むことをあらためて示す一枚。
★SWARRRM『20 year chaos』(LongLegsLongArms[3LA] 3LA-015)CD
約36分12曲入り。
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コメント
コメント
いつも読んでます。この記事をきっかけに棚を見直したら 偽救世主共とBLACK BOMGがありました。実は購入してから1〜2回しか聴いてません…反省。 今度ちゃんと聴こうと思います。(知らないバンドや映画が多数で バーン!とかで新譜チェックして満足してる自分には勉強になります)
Re: コメント
Aさん、書き込みありがとうございます。
バーンに載っているものとはあまりバンドも映画もダブらないと思うので、ありがたいです。未知のものは無限にありますからね。
SWARRRM、その2枚のCDを持っているとしたら、このCDは時期的にちょうど補完できる音源なので特にオススメです。
バーンに載っているものとはあまりバンドも映画もダブらないと思うので、ありがたいです。未知のものは無限にありますからね。
SWARRRM、その2枚のCDを持っているとしたら、このCDは時期的にちょうど補完できる音源なので特にオススメです。
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