なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

V.A.『Bad Music For Bad People - Songs The CRAMPS Taught Us』

CRAMPS2.jpg


米国のCRAMPSがラジオ・ショウでカヴァーなどやってきた曲のオリジナル・ナンバーを26曲集めたCD。
去年の11月にリリースされたものである。

CRAMPSの元ネタ・オムニバス・シリーズは、
『Born Bad』と『Songs The CRAMPS Taught Us』がリリースされてきたが、
本作はその後者から抜粋しつつ新たなネタもプラスした選曲になっている。
Dale HawkinsやCarl Perkinsなど以外はほとんど無名だからこそ、
CRAMPS云々抜きにして“往年のロカビリー隠れ名曲集”として楽しめる。
これらの曲がロカビリーと呼べるのかもわからないが、
大げさに言うとロックンロールの奥義みたいなものも聞こえてくるのだ。

パンク・ムーヴメント真っ盛りの76年に結成されたCRAMPSは、
サイコビリーやガレージの言葉で語られることが多かったが、
今や確立されたその手のジャンルから大きくかけはなれた自由なサウンドだった。
特にサイコビリーに関してはCRAMPSが元祖と言えるが、
現在サイコビリーと呼ばれるものの大半とは似ても似つかないのがCRAMPS。
そういったことの秘密がわずかでも伝わってくるCDでもある。

と書いておきながらぼくはCRAMPSのいい聴き手ではなかった。
ロカビリー自体を古臭い保守的なものとして受け入れられなかった。
ある意味今よりもずっと硬いハードコアなアタマの頃はずっと面白さがわからなかった。
ゆるいものを受けつけなかった。


MOTORHEADのヴォーカル/ベースのレミーは2000年あたりから、
STRAY CATSのドラマーのスリム・ジムやROCKATSのダニー・Bと、
ロカビリー・カヴァー・バンドのHEAD CATを始めている。
今月も3本ライヴが入っているから“余暇”を活かしてやっているのだろうが、
HEAD CATだとレミーは基本的にヴォーカル/ギターでステージに立つ。
ただMOTORHEAD大好きでありながらHEAD CATに興味をもたないヘヴィ・メタル・ファンもいる。
彼曰く一言「ロカビリーは嫌いだから」。
メタルとは対極のゆるさやわらかさに耐えられないようだ。
ぼくも昔ならHEAD CATのCDもLPもDVDも買い集めることはしなかっただろうから気持ちはわかる。

なにしろぼくが買った50年代あたりのロカビリーのレコードやCDは、
Charlie Gracieとか極々わずかだ。
彼のLPも灰野敬二に店頭で言われて購入(聴いたらギターのカッティングに近いものがあってブッ飛んだ)。
まあロカビリー好きで知られたパンク誌編集長がその米国のミュージシャンを知らなかったりもしたし、
どの分野もそうだが必ずしもその筋の“ファン”がアテになるわけではない。

けどCRAMPSのファンはロカビリー/サイコビリー周辺以外の意外なところにも多い。
あぶらだこの現ギタリストの大國正人がCRAMPSのTシャツを着ていたことがある
(90年代後半にCRAPMSが契約していたEPITAPHのロゴが裏に入ったデザインも何気に粋だった)。
あぶらだこのヴォーカルの長谷川裕倫らとやっているトリオ・バンドのKITO-MIZUKUMI ROUBERでは、
CRAMPSちっくなガレージ・ギターも聴ける。


このCDを聴いていると2度目にして最後になった98年のCRAMPSの日本ツアーも思い出す。
ライヴ自体も楽しかったが(東京は現O-EASTとは違い巨大なガレージみたいだったON AIR EASTで)。
CRAMPSにインタヴューするチャンスにも恵まれて、
それがまた楽しかったというか、
心からいい時を過ごした。
夫婦二人が会見相手という機会はあまりなくて、
今パッと思い出す限りではBOSS HOGのジョン・スペンサー+クリスティーナぐらい。
それはともかくたくさんの内外のバンド/アーティストにインタヴューしてきたが、
あれほど楽しい会話とハッピーな時間を共有できたことはない。
光の差し込むカフェがこの世のものとは思えない空間になった。
ラックス・インテリア(vo)とポイズン・アイヴィ(g)のしなやかな佇まいには、
夫婦として憧れた。

こういうピュアな人たちだからこそステージやレコーディングでは、
いかがわしくも妖しい姿をさらし、
豊潤で芳醇な音楽をやれるのだなと。
妙なオトコラシサを強調するロカビリー/サイコビリーの人も多いが、
昨年急逝したラックス・インテリアはその対極でもあった。
そんなこともこのCDを聴いているうちに思い出す。

今日は一周忌である。


●V.A.『Bad Music For Bad People - Songs The CRAMPS Taught Us』(RIGHTEOUS PSALM 23:20)CD


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コメント

こんにちは

はじめまして。ネットをさまよってたどりつきました。
パンク夫婦、いいですね!
俺はあまり妻と音楽の話が合わないので、憧れてしまいます。
行川先生もきっと奥様v-344は素敵な方だと思います。
あまり毎日のことなどは書かれていないようですが、奥様やご家族のことなども、ぜひ書いて下さい!
これからも頑張って下さい。

kaz様
コメントありがとうございます。
CRAMPSの二人はいわゆるパンクっぽさとかを感じさせず、
ある意味、紳士/淑女な佇まいも印象的でした。
ちなみにぼくは未婚です。
今のところストレートに日常生活のことは書いていませんが(今書くとしたらヘヴィでネガティヴなことばかりになりそうなので)、
そのうち気が変わるかもしれません。
ともあれ、今後ともよろしくお願いします。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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