なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KOHTI TUHOA『Rutiinin Orja』

Kohti Tuhoa


女性ヴォーカルを擁したフィンランドのハードコア・パンク・バンドのファースト・アルバム。
これは母国のSVART Recordsから昨秋リリースされた12”レコードのCDヴァージョンで、
一昨年のデビュー7”EPの6曲が追加されている。


ここ数年レコードが高騰して買うことがめっきり減ってしまった。
もっとも1200円の7”EPでも2800円のLPでも内容次第で、
貨幣価値が今と多少違えど実際35年ぐらい前はその値段でもDISCHARGEやOFFENDERSは買っていたが、
特定のスタイルに甘えてお勉強して作ったようなパチモン優等生レコードにその額は払えない。
狭い“サークル内”で了解し合えればいいみたいに体裁を気にして“オギョーギが良く閉鎖的な作り”で、
“よくできました”と感心するだけで一回聴いてオシマイになるレコードが続くと、
高額では買わなくなる。

そんな中で米国のSOUTHERN LORD Recordingsはありがたい。
デジタル・リリースかLPの二者択一が一般的になっている米国での需要が激減したCDを、
安価で販売しているからだ。

SOUTHERN LORD はSunn O)))のメンバーとして有名なグレッグ・アンダーソンが始めたレーベルで、
インテリが食いつく“そっち系統”のリリースの方が知られてそうだが、
お里が“こっち系統”の人だけにハードコア・パンクものもコンスタントにリリースしてきている。
POISON IDEAのリイシュー盤も発売しているが、
各国の現在進行形の先鋭派を世に送り出している。
とはいえ先日のSECTのところで書いたように、
BURNING LOVEの『Rotten Thing To Say』などの
カート・バルー(CONVERGE)がレコーディング・エンジニアを務めたバンドは何となくわかる。
でもちょっと前にISKRAの『Ruins』のCDを出した時は驚いた。
ISKRAにはリアル・アンダーグラウンド・バンドのイメージを持っていて、
SOUTHERN LORDとは相いれないと思ったからだ。

今回のCDはボーナス・トラック入りで強力作という点も含めて、
そのISKRAの『Ruins』のCDパターンと言える。
でもISKRAはブラック・メタルの応用手法がSOUTHERN LORDと接点を持っただろうが、
KOHTI TUHOAはそういうわけでもないからさらに驚きなのだ。


KOHTI TUHOAの『Rutiinin Orja』は
KAAOSをはじめとする80年代初頭から続く伝統的なフィンランド・スタイルとも言えるが、
微妙にフリーキーなクラスト・コア・サウンドは全盛期のDISCHARGEに迫るほど切迫感十分。
パンク/ハードコアの“王道”の英語ではない言葉を吐き歌うからこそ破天荒なヴォーカルの響きも独特で、
高い声域のヴォイスがつんのめって加速する。
なにしろ演奏もヴォーカルも、
ありあまる“気”がスタイルを凌駕しているのだ。

ボーナス・トラックのデビュー7”EPの曲はもうちょいパンク・ロック寄りながら、
これまたウルトラ・パワフルなプレイでハジけている。

LPと違ってCDのフォーマットでのリリースは寂しい作りのパッケージにすることもあるSOUTHERN LORDだが、
このCDは12ページのブックレットが封入されている。
追加曲も含めて歌詞が読みやすく載っており、
裏表紙はボーナス・トラックのデビュー7”EPのものが印刷されている。
すべてフィンランド語と思わるので翻訳ソフトでも使わない限り僕には歯が立たないが、
いつも書いているように言葉の意味が伝わらなくても響きで気持ちは伝わるのだ。

全力大スイセン。


★KOHTI TUHOA『Rutiinin Orja』(SOUTHERN LORD LORD 266)CD
本編10曲+ボーナス・トラック6曲の計約30分16曲入り。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1727-7053446e

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (239)
JOB/WORK (287)
映画 (236)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (41)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (395)
EXTREME METAL (127)
UNDERGROUND? (87)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (117)
FEMALE SINGER (41)
POPULAR MUSIC (24)
ROCK (77)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん