なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KORN『The Serenity Of Suffering』

KORN『The Serenity Of Suffering』


ヒップホップやゴスとの交配で90年代半ば以降のヘヴィ・ロックを塗り替えた、
米国カリフォルニア州出身のバンドであるKORNの新作。
なんだかんだ言っても3年に一作はオリジナル・アルバムをリリースし続けてこれが12作目で、
ビッグ・ネームのポジションをキープしつつペースを崩さない創作意欲旺盛で仕事熱心な姿勢は、
本作にも表れている。

RUSHDEFTONESMASTODONも手掛けたニック・ラスクリネクスがプロデュースし、
プログレッシヴなメタルやハードコア/オルタナティヴ・ロック以降の進化したメタル、
エレクトロニクスを交えた“ポスト~”の音作りも絶妙に絡め、
キャッチーなフックを大切にした作りだ。
LAMB OF GODGOJIRAも手がけたジョシュ・ウィルバーがミックスし、
現在進行形の“生”のヘヴィ・ミュージック・サウンドに仕上がっている。


もはや変わっただの変わってないだのヘッタクレもない、
1秒でKORNとわかる匂いが漂ってくる。
LED ZEPPELINがそうであったように、
The POP GROUPがそうであるように、
戦略を必要とせず音そのものに自分たち自身が宿るバンドだから何をやってもKORNになる。
USAからしか出てこない“空爆サウンド”の中で、
よりドラマチックなソングライティングと歌いっぷりのいいヴォーカルで迫り、
キャッチーなサビを設けた曲が並ぶポピュラリティの高いアルバムだ。

8年ほど離れていたKORNで『The Paradigm Shift 』(2013年)から再びギターを弾くようになった
ブライアン“ヘッド”ウェルチ(g)の完全復帰作とも言える。
再加入まもないその前作では絡み切れてなかったヘッドのギター全開である。
とぼけているように見えて覚醒した顔で
バッキング・ヴォーカル(本作ではクレジットされてない)も取る脱退前のライヴ・パフォーマンスは、
宗教にのめりこんで一時抜けたのもうなずけるブッ飛んだ佇まいだったが、
やはりマンキー(g)とヘッドの“nu metalツイン・ギター”でこそKORNは本領を発揮する。
CUREあたりのポスト・パンク/ニューウェイヴ/ゴスなダーク耽美ギターもちりばめ、
メタルというより、
AEROSMITHをはじめとする70年代のハード・ロックのリフがひそかに息づいてもいる。

むろんKORNの肝のフィールディ(b)の音は、
ヒップホップをカオティックな形でロックに応用したサウンドの理想をアップデートしている。
二代目ドラマーのレイ・ルジアーも、
2010年の『Korn III: Remember Who You Are』で初めて聴いた時は前任のデイヴィッドとの違いに戸惑いもしたが、
メタル・サウンドの王道を叩く彼のタイトなパワー・ドラムが今のKORNの方向性を強めたとも思えるし、
歌い上げるパートが増えた今のジョナサンのヴォーカルにもフィットしている。
たおやかな穏やかな表情もたたえるジョナサン・デイヴィスの歌心がグルーヴし、
いわゆるマッチョ風味の音とゲイ・テイストなヴォーカルのブレンドで持っていく。

全世界の混血こそが命の現在進行形のロックがここにある。
そこまで深く考えてないだろうが、
けど、だからこそこのアルバムは、
世界中で起こっていることを飲みこんだ“愛の憎しみ”を放射する。

KORNが一番脚光を浴びていた90年代に当時CATHEDRALのリー・ドリアンにインタヴューした際、
KORNを“スポーツ・メタル”と皮肉っぽく評していたのを思い出した。
言い得て妙な表現だが、
ココロだけでなくカラダに響かないとロックは死ぬ。
しかも歌が前面に出ていようがギターもベースもドラムも歌の“奴隷”に成り下がることなく歌をファックし、
内向きを解放しないと小ぢんまりするばかりだ。
ちまちました狭ッ苦しい“サークル”にウンザリする中で、
いくらメインストリームに絡んでも打ちのめされぬどころか、
絡めば絡むほど逆にダイナミズムを増す強靭なボディ&ソウルの筋力に貫かれていているアルバムだ。

胆力たんまりの清濁混交エナジーがハジけたサウンドに爽快感を覚える。
ジャケットどおりに、
キャッチーでありながら不気味な異形の“ヘヴィ・ロック”健在の一枚。


★KORN『ザ・セレニティー・オブ・サファリング』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-17459)CD
9つ折りのポスター・ジャケット仕様。
日本盤は、
米国盤などの“デラックス・エディション”に入っている「Baby」「Calling Me Too Soon」に加え、
捨て曲ではない佳曲の「Out Of You」も加えた約63分14曲入りで、
13曲の歌詞とその和訳が読みやすく載った28ページのブックレットも封入さけている。
コリー・テイラー(SLIPKNOTSTONE SOUR)が1曲にヴォーカルで参加。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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