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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

田畑満+金子ユキ『Caño Cristales』

田畑


ACID MOTHERS TEMPLEなどで自由な活動を30年以上続ける元ZENI GEVAの奇才・田畑満と、
ACID MOTHERS TEMPLEの河端一らとのFLOATING FLOWERで活動してきて
今年1月には勝井祐二とのCD『Mythos』も出している金子ユキの、
コラボレーションCD。

単なる一時的なセッションとは一線を画す一種のユニットで、
これは一昨年のセルフ・タイトルのアルバム以来のセカンドになる作品である。
田畑が“guitar with guitar synthesizer”、
金子がelectric violinを演奏し、
一昨年の11月に神戸と京都と大阪で録音した約58分4曲入りだ。


インプロヴィゼイションでオーヴァーダビング無しとのことだが、
あらかじめ作曲された曲を演奏しているかのごとく琴線に触れる“サウンド眺望”である。
“虹色の川”とも呼ばれる南米コロンビアのキャノ・クリスタレスをアルバム・タイトルにしているだけに、
色の表情が変移していく幻惑の音宇宙を創造していくパフォーマンスで、
もちろん合成着色料の音ではなく天然の“無限色”をたたえている。

マジカルで幽玄な佇まいながら人なつこく、
コズミックにリズカルで躍動する鮮烈な響きだ。
ところによってはオリエンタル・テイストでインドっぽい旋律も丁寧かつダイナミックに綴れ織り、
アグレッシヴな絡みはスリリングですらある。
アンビエントものやポスト・ロックものとは別次元で飛翔し、
必ずしも多幸ではなく暗鬱な調べにも彩られたデリケイトな生気が溢れている。
ブルースもドローンも息づき、
いわゆるシスコ・サウンドとトニー・コンラッドとのミッシング・リンクのような音像にとろけるしかない。

底無し沼の至福の冥界にゆっくりと吸い込んでいく、
たおやかに研ぎ澄まされたリアル・サイケデリック・ミュージックの佳作である。


★田畑満+金子ユキ『Caño Cristales』(スローダウン SDRSW 05)CD
薄手のペーパー・スリーヴ仕様ながらCD盤は厚紙CD袋に収納されていて折れにくいパッケージだ。
レコードみたいな“33RPM”や“45RPM”ではなく、
“480RPM”というCD盤に書かれた表記もたいへんオチャメである。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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