なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

NoLA、REDSHEER at 東高円寺・二万電圧 12月11日

REDSHEER NoLA


東高円寺・二万電圧の協力の下で昼の12時半開演/500円+ドリンク代という、
ライヴ・ハウスが会場のギクにしては異例の画期的な条件設定で、
東京のカオティックな2バンドが、“split 7”EP『Gray Matter』リリース・ギグ!!!”を決行した。
最近だとCD『Till Your Death Vol.3』にも参加していた2バンドである。
場内は程良くほほ満員で、
ワンマン・ギグでさえライヴ中にスマホ画面を見るのに余念がない人間がチラホラいる昨今、
どちらのバンドの時も観客全員がステージにビシッ!と真剣に向き合って“戦い”、
とても居心地のいい興奮の時を過ごせた。


REDSHEERのライヴは、
25年以上キャリアを積んできたメンバーによるトリオならではのギリギリ感で迫るロックの合金だ。
80年代後半以降のハードコア、エクストリーム・メタル、ノイズ(ジャンク)・ロック、
ポスト・ハードコア、マスロック/アンダーグラウンド・エモ(カオティック・ハードコア)などなどが、
生のまま息づいてる。
一例を挙げればRELAPSE Recordsの全バンドのエッセンスが血肉化しているようなサウンドだが、
聴いてきた音楽の轍や影響を受けた音楽の元ネタが何しろ見えてこない。
すっかり消化し切っているからであり、
表面的な形やスタイルより大切なものを身体でわかっているバンドだからだ。

ゆっくりと、ゆっくりと、無数の無限の音楽の緩急のアマルガムの中に僕は吸い込まれていった。
メンバーの一人がEMPERORイーサーンも両方好きというのもうなずけるほど、
研ぎ澄まされた殺伐の音色と律動のサウンドを放っていた3人は、
収斂と拡散を繰り返すエナジーの循環で精神の高みにまで上りつめていく。
それがサウンドとしてうっすらと見えてくる響きだった。
激しくピッキングしながら渾身の発声で熱気がむせ返るヴォーカル/ベース。
クールな佇まいでノイズ・コントロールとリズム・キープをしながら目の覚める音を弾き出すギター。
ノっているからこそ両腕を駆使したロックなアクションでも自然とアピールするタイトなドラム。
適度にお互いを見ながら演奏していたが、
空間の中でサウンドに浸って耳を傾けているとメンバー3人の確かなる交感も見えてきた。
そう、地に足の着いたパフォーマンスながら意外と見せる要素も十分のライヴなのだ。

レーベルもやっている某ハードコア・パンク・バンド・マンとライヴ後に
「いい意味でメジャー感がありますね」「サマソニとかも似合いそう」といった会話をしたのだが、
誤解を恐れずに言えばホントそう。
要するに小ぢんまりしてなくてスケールでかく開かれた音楽だ。

トータル1時間。
最後の曲が終わった後にオノザト(vo、b)は精根尽きてその場でぶっ倒れた。
ライヴ中はときおり曲名を告げる以外は一切MC無しだったが、
張りつめた流れが途切れるためかしゃべるのをずーっと我慢していたかのように
起き上って晴れやかな顔で解放されたように砕けたトークを連射したのもイイ締めだった。


15分ほどのセット・チェンジの後にNoLAがステージに登場。
2010年代初頭から精力的な活動を続けている5人組でギタリストは2人だ。
まずヴィジュアルとやっている音楽のギャップがユニークだ。
ジャンル不定ながらいわばオルタナティヴ・ロック・バンドをイメージする風貌で、
特にヴォーカル専任のシンガーはセンスのいい洒落たシャツをまとってステージに立ち、
メジャーな日本のロック・バンドのフロントマンをイメージするスマートなルックス。
そういう意外性や一種の“反則技”はサウンドやライヴ・パフォーマンにも表れている。

NoLAは新世代バンドならではのステージングで観客を沸かせた。
なにしろすべてにおいて怖いもの無しだ。

音楽の吸収もそうだ。
ドゥーム・メタルを含むエクストリーム・メタルをハードコア・パンクにミックスした様相だが、
無意識と思しき弦楽器隊のステージでの動きやグルーヴ感は
KORNあたりのニュー・メタルとすらニアミスしている。
パンクだからガレージだからメタルだからOK!みたいな“教科書どおりの取り込み方”は全く無し。
NoLAもまた小ぢんまりと狭いサークルの中での“仲良し倶楽部”活動みたいな展開とは真逆だ。
そういう姿勢は当然ライヴにも表れている。

とにかくシンガーがたびたび観客の中に入ってくる。
いや、入ってくるというより、飛び込んでくる。
しかも頭から。
観客ギュウギュウの状態ではなかったからかなり危険だが、
そうせずにはいられない衝動の連鎖はヴォーカルを聴いていても伝わってきた。
ギタリストもフロアーに入って弾く場面もあったが、
ユニゾンが多いためかわかりやすく観客もノリやすく、
シンガーがダイヴしてきてもしっかり受け止めて持ち上げたまま歌わせるナイスな連係プレイを見せる。
彼らもいい意味でもっとメジャーな層にもアピールしそうな約50分のライヴだった。


NoLA REDSHEER split
★NoLA/REDSHEER『Gray Matter』(BREAK THE RECORDS BTR-049)split 7”EP + DLクーポン

この日の会場で売られていたレコードである。
ジャケットがDISCHORD Records風で、
EPタイトルがそこからリリースしていたワシントンDCのバンドと同名というのも意味深だが、
GRAY MATTERを含むDCのポスト・ハードコアが熾烈化したような一枚だ。

NoLAはライヴと違っていい意味で音の分離が良く、
1曲目の「Filth Face」ではデス・メタルとニュースクール・ハードコアの間を中央突破し、
2曲目の「Ashes」ではハードコア・パンクとドゥーム・ロックがまぐわっている。
“ファック・ユー!”アティテュード全開の歌詞も痛快で、
こういう曲に加速させながら日本語をドライヴさせているヴォーカルも見事だ。

一方のREDSHEERは「Fall Into Oblivion」という1曲のみだが、
一曲の中で数曲が呼吸しているほどドラマチックに意識の流れをたたえている。
何々に似ているは言えないが、
しいて言えばあえて言えば最近のNEUROSISを凌駕するサウンドがここで確かに鳴っている。
冷気が揺れる漂う音像の中に苦渋が渦巻いて物理的な音のヘヴィネスの百万倍重い。
得体の知れない生命体が蠢いているデリケイトな音の粒の動きに目が覚まされ、
最後のノイズの生々しさに息を呑む。

このレコードはかなりの少数プレスで基本的にこの日のライヴ会場限定販売だったが、
「残り僅かです。近日中にBREAK THE RECORDSより販売形式のインフォメーションが告知されます」
とのことだ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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