なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

LA IRA DE DIOS『Apus Revolution Rock』

LA IRA DE DIOS


ユニークな現行のヘヴィ・バンドを産出する南米ペルーのハード・ロック・トリオの4作目。
昨年末ぐらいにリリースしたアルバムである。

初期のサイケ色はストーナー・ロック・テイストに昇華され、
ミディアム・テンポならではの加速度に貫かれたアシッド・サウンドだ。
ほこりまみれの心根はプリミティブなロックンロール。
豪放なサーフ・ロックからスタートするところにもロックンロールへの敬意を感じさせる。

一番影響を受けていそうなバンドは初期から末期までのMC5だと思うが、
MOTORHEADもYARDBIRDSもSTOOGESも初期DAMNEDも、
あとロックンロール・ナンバーをやるときのJUDAS PRIESTも想起。
ありがちなリフだろうが“んなもん知ったこっちゃねーよ!”ってなパワーに痺れる。

彼らのヴィジュアルは長髪オンリーというわけではなくけっこうモダンで暑苦しくはないが、
サウンドはひたすら熱く汗臭い。
1曲目の英語のタイトルになぞらえればまさに“no control”そのもののハード・ロックなのだ。
後ノリ気味のドラムをはじめとしてギターもベースもゆるく、
野暮ったいところがたまらない。
洗練なんてどこ吹く風なんである。

スペイン語(英訳付)で歌われるとその響きからやっぱり野性味がほとばしり、
歌詞も“ファック・ユー!”アティテュードに満ちている。
なんせ人間臭すぎるコテコテのロック丸出しなんである。

ギターのリフはスラッシュ・メタル以前のハード・ロック/ヘヴィ・メタルとはいえ、
コンパクトな楽曲はパンク・ロックに通じる。

CDもリリースされているが、
LPはアルバムの統一感を考慮して外したと思しき4曲入りの7”EP付だ。
その裏ジャケットには“PERU PSICODELIA PUNK”と書かれている。
“PSICODELIA”の言葉の正確な意味はわからないが、
“ペルーのサイケデリアのパンク”みたいなニュアンスだろうか。
そのレコードのA面1曲目に「Space Punks (Forever)」という曲を収録したのも興味深い。
どちらのフレーズも彼らのサウンドのキャラが非常によく表れている。
JOY DIVISIONの「Shadow Play」の原曲どおりのカヴァーには、
彼らの内省的な側面が見え隠れしているのだ。

これ聴いていると昔ロックのライヴで女の子が失神したというのもうなづける。
底知れぬ永遠の未完のヘヴィ・ロック・バンド。
恐るべし。


●LA IRA DE DIOS『Apus Revolution Rock』
(WORLD IN SOUND WIS-3503)LP+7”EP
CDでもLPでも発見したら即買い!をオススメする。


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コメント

はじめまして!

ボクは今大学生ですが、行川先生のような音楽評論家になりたいと思って、授業そっちのけでCDショップを回っています(爆)

>>スペイン語(英訳付)で歌われるとその響きからやっぱり野性味がほとばしり、

さすが先生のような有名評論家だと英語は堪能なんですね。
ボクは大学で国文科を専攻しているのですが、自分を「文士」と名乗るほどの文章力もありませんし、英語はからっきしダメです。
やはりネイティヴレベルの英語力がないと洋楽の音楽評論家はムリなのでしょうか。
政治に関する歌詞が多いし、対訳や日本語の本や雑誌だけに頼るのはブルシットですよね
どのような形で英語を勉強するのがベストでしょうか?ぜひ教えて下さい。

oootsuka様
書き込みありがとうございます。
英語に関して、ぼくは読むことは何とかできますが、しゃべれません。
最低限読むことができないと外国のアーティストについて書くのはキツそうです。
英語でインタヴューができるぐらい話せると絶対に仕事の幅が広がります。
やっぱり英語を話す環境に自分を置かないと、なかなか話せるようにはならないようですね。
日常会話以上の英語力をもっている知人は数年外国で生活した方が多いですが、そういう経験のない通訳さんもいらっしゃいますから結局本人の頑張り次第なのでしょう。
ただし音楽評論家という職業を目指すのは、残念ながらもう状況的に困難を極めるかと思います。

売り切れ!

ジェロニモレーベルの上杉です。行川さん、Mマガジン最新号での紹介、ありがとうございます!!
La Ira de Dios=神の激怒、さっそくマイスペース見ました。これは音源が欲しい! しかしザッと見たところ売り切れみたいなんで、見つけ次第入手します。
これからも、よろしくお願いいたします!

上杉様
書き込みありがとうございます。
バンド名の和訳にも感謝! スペイン語に堪能な上杉さんならではですね。
どこでも買える盤ではないですが、国内のいくつかのレコード店に入荷したようですし発売されてからそれほど時間が経ってないので、まだ入手困難ではないとは思います。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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