なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

OBITUARY『Obituary』

170502 OBITUARY『Obituary』


80年代の半ばに活動を始めて大メジャーな存在にはならないにしても常に第一線で活躍している
米国フロリダ出身のデス・メタル・バンド、
OBITUARYによる『Inked In Blood』以来の約2年半ぶりのオリジナル・アルバム。
マイペースで活動を続けてスタジオ録音アルバムとしてはこれが記念すべき10作目だが、
節目に付けたセルフ・タイトル作にふさわしい自信満々のアルバムである。


デス・メタルの中でも特にスローでシンプルな曲が光るバンドで、
だからこそ意外とフォロワーが存在しない。
たやすくマネできそうで決してできないグルーヴ感がはらわたから湧き出ているからだ。
ドラマーとヴォーカリストが兄弟で不変というのも大きいのかブレのない音楽性で、
MOTORHEADRAMONESやAC/DCみたいにいつも同じでいつも違う。
そういう点でもやっぱりこのアルバムも“ロックンロール”である。
INCAPACITANTSと同じく、
進歩もヘッタクレもなくてもいつも生き生きしているのは何気に精進を怠らずに意識が走っているからだ。
アメリカンな豪快ぶりもたのもしい。

メンバーが前作と同じというところにもバンドの状態の絶好調ぶりが表れている。
近作同様に録音もプロデュースも自分たちでやって粘着感とドライなテイストのブレントも申し分無し。
貫禄の超重量級サウンドで不変でありながら、
例によって今までにないことをさりげなく盛り込んでもいる。
ミディアム~スロー・テンポ主体のOBITUARYにしては珍しく、
スラッシーな曲で始まり次もツー・ビート・ナンバーという畳みかける曲が続いていきなりねじ伏せる。
OBITUARYの真骨頂であるスロー・チューンのテクスチャーの根っこにブルースのフォーマットがあると、
納得させられる曲もやっている。
シャウト・スタイルのヴォーカルが基本だけに今まであまり聞かせなった、
クリス・バーンズ(元CANNIBAL CORPSE、現SIX FEET UNDER)ばりの超デス・ヴォイスを挟み込む曲も心憎い。
もちろん“OBITUARY節”というべき“なぶり殺しスロー・チューン”に磨きをかけ、
巨大な刃を首に当ててゆっくり斬って処刑していくみたいなリフが恐ろしいスロー・ナンバーにも、
ドゥーム・メタルとも言える陰鬱曲にも燃える。

楽曲クオリティも高く、
シンプルながらさりげなくツボを突くアレンジ・センスも言うこと無し。
ドゥーム・メタルと違ってスローな曲だろうとドラムの手数が多くてビートの抜けがいいところも、
ゆっくりしたドライヴ感と躍動感に一役買っている。
すがすがしいギター・ソロもキラリと光る。
深刻な死の表現というよりは、やっぱりホラー映画みたいに現実と空想が入り混じった表現である。
デス・メタルなのに爽快ですらあるのは突き抜けているからだ。
間延び底上げ増量みたいなことをしてダラダラせず、
ボーナス・トラック付のCDでもトータル・タイム36分31秒で潔いところもさすがである。

デス・メタル以前に“これがロックだぜ!”とも言いたくなるアルバムだ。
頭デッカチの“ロック”に用はない。
初期から基本的に歌詞を公表しにないバンドだけに今回も歌詞カードの類は無しだが、
能書きなんていらねえからこの響きに感じてくれ!と言いたげな表裏のないサウンドだ。
曲名が十分キーワードにもなっている。
「Brave」「Sentence Day」「A Lesson In Vengeance」「End It Now」「Kneel Before Me」
「It Lives」「Betrayed」「Turned To Stone」「Straight To Hell」「Ten Thousand Ways To Die」
といったイマジネイションをくすぐるタイトルばかり。
30年以上活動しているにもかかわらず、
「Straight To Hell」なんてベタな曲名を付けてしまうところがまた素晴らしいではないか。

OBITUARYには「Back From The Dead」という名曲があるが、
これで死の淵から再生できる。
たとえ死に体でも生きていけると確信させられる。
まさにグレイト。
新たなる最高傑作の誕生だ。


★OBITUARY『Obituary』(RELAPSE RR7370)CD
僕が買ったCDは「No Hope」(むろん捨て曲じゃない)というボーナス・トラック追加の11曲入りで、
表ジャケットにエンボス加工が成された三面デジパック仕様。
“掛け帯”付き。


スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/1820-17d1b588

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (288)
映画 (242)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (42)
METAL/HARDCORE (47)
PUNK/HARDCORE (400)
EXTREME METAL (128)
UNDERGROUND? (91)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (118)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (82)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん