なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

BEYOND DESCRIPTION『The Robotized World』

BEYOND DESCRIPTION『The Robotized World』


近年はメンバーの事情であまりライヴができない状態のようだが、
88年から東京都下のハードコア・パンク・シーンを拠点にマイ・ペースで活動を続けているバンドが、
『An Elegy For Depletion』以来約4年ぶりに発表した新作。
昔は7"EP等で音源を細かく何枚も出していたが、
フル・アルバムとしては5作目に数えられる作品で、
イタリアのレーベルからのリリースだ。


「このアルバムの音楽ジャンルは?」と問われたら僕は迷わず「ハードコア・パンク」と答えるが、
ディスクユニオンのジャンル分けでパンクの方ではなく
“HARD ROCK / HEAVY METAL”のコーナーに置かれているのもちょっとはうなずける。
近年推し進めているクロスオーヴァー(ハードコア・パンク×スラッシュ・メタル)路線を深化させ、
ハードコア・パンク・バンドともスラッシュ・メタル・バンドとも対バンができる作りなのだ。

BEYOND DESCRIPTIONのfacebookでは、
“punk”“hardcore”“metal”といった言葉がほとんど見つからない。
彼ら自身が“punk”“hardcore”“metal”に思い入れが強いからこそあえて使ってないと思われる。
その代わり
“Thrashing crossover from JAPAN”“We're THRASHING since 1988.”というフレーズが躍っており、
それがまたハマっているサウンドだ。

ドライな質感のドラムをはじめとしてアメリカン・クロスオーヴァー勢ともダブる音だが、
S.O.D、サード以降のD.R.I.、CRYPTIC SLAUGHTER、MUNICIPAL WASTEのような、
酔っ払って馬鹿騒ぎ!のライトなノリとは違う。
80年代の日本のメタルコアとも違う。
しいて言えばCONCRETE SOXやSACRILEDGEなどの
80年代の半ばから終盤までのUKハードコア・バンク・シーンのクロスオーヴァーのニュアンスだ。
色々な音楽を好む人たちとはいえ本作のブックレットに載っている写真で、
メンバーがONSLAUGHTやUNSEEN TERRORのTシャツを着ているのも象徴的である。

クロスオーヴァーといっても他で聴けないスタイルだ。
緩急のパートを織り交ぜて楽曲はよく練り上げられていてヴァラエティに富み、
ギターの音使いはストイックでベースも目立ち、
音のエッジを利かせすぎてないところがへヴィ・メタルというよりパンク・ロックである。
いわゆるニューヨーク・ハードコアちっくな気合コーラスや曲のテーマに沿ったSEも適宜挿入。
気持ちが上がって微妙に語尾が上がるヴォーカルはMETALLICAも頭をよぎる歌い方だが、
日本語を嚙み砕くラフな発声はジャパニーズ・ハードコア・パンク以外の何物でもない。
自問自答するように吐く簡潔な歌詞は日本語で歌う伝統的な日本のハードコア・パンク直系で、
世界を見据えた普遍的な視座は90年代も含むS.O.Bも思い出す。

ジャケットがまた“クロスオーヴァー”している。
エド・レプカを彷彿とさせるイラスト……
……と書きながらブックレットのクレジットをチェックすると、
エド・レプカ本人がジャケット画を描いていることが発覚。
ファンタジックなテイストを織り込んだリアリスティックな画で
以降の“メタル/パンク/デス/ハードコア”系のジャケットに大きな影響を与えた人である。
MEGADETHとDEATHのジャケットが有名な画伯だが、
NOFX、S.O.B、MUNICIPAL WASTE、TOXIC HOLOCAUSTも手掛けてきており、
そういうバンドの並びに連なる作風といっても過言ではない一枚。


★BEYOND DESCRIPTION『The Robotized World』(PUNISHMENT 18 P18R 123)CD
歌詞とその英訳も載った8ページのブックレット封入の約27分12曲入り。。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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