なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

WIRE『Silver/Lead』

WIRE SILVER LEAD


70年代後半から活動を続ける英国のポスト・パンク・バンドのWIRE
アルバム・デビュー40年目の年に放った約1年ぶりの16作目。

リリースもコンスタントで、
特に2度目の再編後の2000年代に入ってからは精力的だ。
しかもブレ無し駄作無しなのだから恐れ入る。


ファーストの『Pink Flag』収録の「12XU」の流れと言えるWIRE流のハードコア・パンク・チューンが、
復活盤の10作目『Send』(2003年)以降のアルバムのアクセントになってきたが、
近作と同じく今回もそういう曲はない。
それどころかパンク・ロックっぽいアップ・テンポ・ナンバーすらほとんどない。

一度聴いたら耳から離れないロバート・グレイの“あのビート感”のドラムと
グラハム・ルイスのベースとコリン・ニューマンのエレクトリック・ギターは全曲に入っているし、
2010年加入のマシュー・シムズのエレクトリック・ギターも1曲以外の全曲に入っている。
一方で、
4曲でアコースティック・ギター、
1曲で12弦ギター、
1曲にラップ・スティールも使われている。
キーボードやシンセサイザーも効果的だ。
そのへんの楽器のバランスが近い前作『Nocturnal Koreans』の路線を深く推し進めたようにも聞こえる。

歌ものと言ってもいいかもしれない。
しかもやさしいまなざしの歌ものだ。
コリン・ニューマンがリード・ヴォーカルをとる曲は、
いくつになっても青い歌声でマイルドになってきているというのもあってどれもポップな佇まい。
3曲でリード・ヴォーカルをとっているグラハム・ルイスの苦み走ったヴォーカルは渋い。


いくらオリジナル・メンバー3人が還暦を越えようが、
ポスト・パンクの先駆バンドだけに哀愁なんて似合わない。
やっぱり冷めているし、
そんでもってへヴィ。
WIREにはふさわしくない言葉かもしれないが、
これは歌心と言ってもいいのではないか。
ポスト・パンクのオリジネイターならではのクールな歌心がさりげなくあふれ、
無機的な世の合理主義にこっそり抗うかのようだ。
心に染み入る佳作である。


★WIRE『Silver/Lead』(PINK FLAG PF 24)CD
デジパック仕様の約36分10曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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