なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『俺たちポップスター』

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映画監督デビュー作『40歳の童貞男』(2005年)がいきなり大ヒットした、
1967年米国生まれのジャド・アパトー製作による2016年のコメディー映画。
一つのヒップホップ・グループとそのフロントマンの栄枯盛衰+再生の物語を、
ドキュメンタリー映画タッチで作った作品である。
<スタイル・ボーイズ>という架空のトリオ・グループの設定ながら、
“ヒップホップ・アレルギー”の人もまったく問題なく楽しめるし、
そういう人も取り込む開かれた馬鹿パワーがいっぱいの映画である。

<スタイル・ボーイズ>の3人を、
実在のコメディ・トリオの“ザ・ロンリー・アイランド”が演じているところがポイント
(ちなみに3人とも製作と脚本も担当して、そのうち2人は監督も担当)。
これってホントに本人?って疑ってしまうほど大御所多数のゴージャスなカメオ出演陣も話題だ。

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<スタイル・ボーイズ>は幼馴染みの男性3人による世界的に有名なヒップホップ・グループだったが、
<スタイル・ボーイズ>の人気を自分一人が作ったと勘違いしたのか
フロントマンが突然ソロ・デビューして解散。
他のメンバーのうちの音担当の一人は彼の専属DJ(といっても“機材”は1台のiPodのみ)に成り下がり、
作詞担当だったもう一人は引退して農場主となるが、
フロンマンの男性はファースト・アルバムが大ヒットするも前途多難。
彼はフォーマーとしての素養が抜群とはいえ自分大好き傲慢男で、
音作りや作詞も創作力が不明で<スタイル・ボーイズ>のようにはいかずに、
仕掛けに頼ったライヴ・ショウを行なうも小学校低学年みたいなエロ生き恥をステージでさらす。
懲りない馬鹿男に幼馴染の二人はあきれるが、
三つ子の魂百までといった具合にガキの頃にできあがってた性根は直らないことに気づく。

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音楽グループの活動ネタは、
いわば“あるある!”である。

メンバー間がこういう役割分担みたいな関係で創作表現をしているようなグループ、
というかバンドは古今東西いくらでもいそう。
グループやバンドの人気が出ると自分一人が才能あると思ってしまうフロントマンも多そうだ。
結局どの世界でも目立ちたがり屋で要領がいい人間がしあわせになって、
踏み台になった人間たちは落ちるだけなのが事実みたいなこともほのめかしかかるが、
しあわせに見える人間も謙虚さに欠けるとブレイクをキープできないことも示す。

一種の友情物語で、
思い切りふざけ続けていても結局は真面目に楽しく終わるところが
自由奔放なようで伝統を踏まえて安泰なアメリカ映画の王道と言える。

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ユーモアとペーソスが乱交する躁状態の映画であることに変わりはない。
アパトーが監督もした2015年の“前作”映画の、
『エイミー、エイミー、エイミー! こじらせシングルライフの抜け出し方』みたいに、
お下劣露悪趣味がダラダラ続くというのはない。
というかその反動のように、
エロネタ含みとはいえわざとらしい見せ方はない。

セリフの言葉も下品すぎずに何より展開も含めてナチュラルだから映画の中に入っていけるし、
お馬鹿ネタもスピード感を損ねない程度に抑えている。
主人公のフロントマンみたいに放蕩の限りを尽くしている映画のイメージのようで、
メイン登場人物の他の二人の生活姿勢と共振してむ映画自体も意外とストイック。
身内楽しければいいみたいな無駄なシーンを削ぎ落せるかが映画も濃度を高める大切なところで、
この映画は馬鹿馬鹿しいシーンの連続のようで肝を絞ってビシッ!とハジけていて引き込まれる。

相変わらずの過剰なまでのおもてなしtoo muchサービス精神やりすぎの映画ながら、
監督が違うというのもあるのだろう映画全体のシマリが良くて、
何しろテンポがいい。
いつも言うように、
ためになること言ったり感動させようとしたりしてもリズムに欠ける映画は
頭デッカチでウソを感じてしまう。
この映画は頭は脳天気かもしれんが、
裏表を隠さないハートと躍動を止めないカラダのプリミティヴなハーモニーに持っていかれる。

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ちなみにカメオ出演の人たちは以下のとおりだ。
マライア・キャリー、リンゴ・スター、NAS、アッシャー、50セント、シール、RZA、クエストラヴ、
キャリー・アンダーウッド、サイモン・コーウェル、アダム・レヴィーン、エリック・アンドレ、
ピンク、ビッグボーイ、DJキャレド、エイサップ・ロッキー、ケヴィン・ニーロン、マリオ・ロペス、
ウィル・アーネット、チェルシー・ペレッティ、マイク・バービグリア、アシュリー・ムーア、
ビル・ヘイダー、デンジャー・マウス、T.I.、ファレル・ウィリアムス、ジミー・ファロン、ザ・ルーツ、
ウィン・バトラー、レジーヌ・シャサーニュ、スティーヴ・ヒギンズ、マーティン・シーン、エイコン、
ウィル・フォーテ、スヌープ・ドッグ、マイケル・ボルトン、イモージェン・プーツ、クリス・レッド、
エドガー・ブラックモン、ジェームズ・バックリー、エマ・ストーン、ジャスティン・ティンバーレイク。

カメオ出演はほとんどが“本人役”で、
音楽ドキュメンタリー映画の王道(が陳腐だと皮肉っているように見えるのは深読み?)みたいに、
<スタイル・ボーイズ>を称賛するようなコメンテイターとして登場する人が多い。
必ずしも数秒ちょっとだけ顔を出す程度に留まっているわけではなく、
マライア・キャリーなんてかなり長時間出演していてオチャメなやり取りをしているのであった。


★映画『俺たちポップスター』
86分/2016年/米国
8/5(土)より、新宿シネマカリテ他にて全国順次ロードショー。
© 2016 UNIVERSAL STUDIOS
http://popstarmovie.jp


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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