なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

Peter Perrett『How The West Was Won』

Peter Perrett - How The West Was Won - Packshot-72 dpi


1976年結成のONLY ONESのフロントマンであるピーター・ペレット(vo、g)のソロ作。
『Woke Up Sticky』以来の約21年ぶりのオリジナル・ソロ・アルバムという感じでもあるが、
その作品は“Peter Perrett In The One”という名義だったから、
厳密に言えばこれがファースト・ソロ・アルバムと言える。


80年代初頭のONLY ONES(一時)解散からしばらくリハビリで休み、
90年代に入ってから断続的に活動。
2000年代後半に再編して以来ONLY ONESでライヴをやっていて、
フル・メンバー揃ったONLY ONESとして日本公演も行なって新曲も披露していたが、
アルバムのリリースはなかった。
2008年のONLY ONESの初来日の時にインタヴューした際、
インターネット時代に音盤で曲を発表することにあまり乗り気でなかったのだが、
そんな気持ちが続いていたのか時間がかかったとはいえ新作が聴けて心からうれしい。
最近こればっか聴いている。


ソロ名義ということを重視してかONLY ONESのメンバーは演奏してない。
息子のジェイミー・ペレットとピーター・ペレット・Jrが、
ギター/キーボードとベースとバッキング・ヴォーカルで参加している。
そんな“ファミリー・バンド体制”でのレコーディングがいい方向に表れ、
アット・ホームな空気感にも包まれている。

でもむろんどこまでも研ぎ澄まされている。

ピーターのギターのクレジットは“リズム・ギター”になっているから、
艶やかなギター・ソロは息子のジェイミーの音だと思われる。
二人のバッキング・ヴォーカルもいい。
3曲にエレクトリック・ヴィオラとヴァイオリンも加えられている。

プロデュースは、
80年代の以降のROLLING STONESの諸作品で知られ、
KILLING JOKEの『Night Time』『Brighter Than A Thousand Suns』も手掛けたクリス・キムジー。
開放的なメジャー感と軽やかなニューウェイヴ感が適度に覆い、
品が良くキラキラしたピーター・ペレットらしい天然の響きに目が覚める。

PeterPerrett - PC Steve Gullick - Y1A3009- 72 dpi

いい意味で変わってない。
REPLACEMENTSやBLINK-182、LIBERTINESといった80年代以降の意外なバンドたちもカヴァーした
ONLY ONESの1978年のセカンド・シングル曲「Another Girl, Another Planet」から連なる、
クールなポップ・センスと優雅なメロディ・センスに磨きをかけている。
もちろんビートはしっかりしているし、
きっちり作られているアルバムだ。
けど活動状況に象徴されるマイ・ペースぶりそのもので何が起ころうと揺るがず動じることはない。
ヴォーカルをはじめとして潔いほど悠々自適だ。

ゆるくてまったりしているが、
“どうにでもなる”ほどやわらかい。
覇気があるないなんてどうでもいい。
さりげなく確信に満ちた歌と音がとてもストロングに屹立して息をしている。
ふわふわしているようで浮つきとは対極の地に足が着いたアルバムである。

ほろ苦く、うるわしく、甘美な、
とろける“猫なで声”もソフト・サイケデリックだ。
65才の男のアルバムと思えないほど初々しく瑞々しい歌声と音で、
そこはかとなく年輪を感じさせる歌の数々を披露する。
『西部開拓史』という邦題が付けられた1962年の米国映画のタイトルでもあり、
LED ZEPPELINが1972年のライヴを収めて2003年に出したアルバムのタイトルでもあるが、
どこもかしこも思い切りデリケイトであるにもかかわらず大胆なピーターらしいタイトルだ。


ジョニー・サンダースとともに同じ1952年生まれの自称“同級生”で
“三つ子の一人”としてシンパシーを覚えるほど灰野敬二も大ファンだが、
先行ネット公開されたアルバム・タイトル曲が
VELVET UNDERGROUNDルー・リードの有名曲「Sweet Jane」にあまりにも似ていて、
“おいおい、どうしたんだよ、ピーター・ペレット!”とびっくりしていた。
けどそういう突っ込みどころもひっくるめて楽しめる。

こういう潤いのアルバムが欲しかった。
聴けば聴くほど解き放たれる。
まさにグレイト。


★Peter Perrett『How The West Was Won』(DOMINO WIGCD382)CD
16ページのブックレットも二つ折り紙ジャケットも丁寧な作りの約43分10曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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