なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

MUNICIPAL WASTE『Slime And Punishment』

MUNICIPAL WASTE『Slime and Punishment』


2000年代の頭から活動している米国東部リッチモンド出身のメタル/バンク・クロスオーヴァー・バンド、
“ミュニシパル・ウェイスト”の6作目。

『The Fatal Feast』以来の約5年ぶりのリリースだが、
その間にメンバーのうち2人は、
2010年代に入ってから結成されたIRON REAGANの方でアルバム3作を出している。
トニー・フォレスタはどちらもヴォーカルで、
フィル・ホール(ランドフィル)はIRON REAGANではギターだがMUNICIPAL WASTEだとベースを弾く。
本作のレコーディングは、
IRON REAGANの録音技師としても活躍しているそのフィルが行なった。


“余計な事”をしない潔いバンドだから今回も間違いなしだ。
実はギターが2本になった初の作品だが、
アルバム全体の中の心憎い位置に突っ込んであるインスト・ナンバーをはじめとして
簡潔にハーモニーも挿入するツイン・ギターが活きている。
楽器構成もIRON REAGANと同じになったわけだが、
もちろん演奏者とソングライターが違えば内容も違ってくる。
歌詞も含めてIRON REAGANが素朴なフラストレイション炸裂だとしたら、
MUNICIPAL WASTEはサウンドも含めて
さりげなくプリミティヴなインテリジェンスも感じさせる。

確かにクロスオーヴァーと言われてきたパンクとメタルの混血音楽スタイルだが、
米国のS.O.D.などのへヴィ・メタル・サイドからパンクにアプローチしたバンドとは一味違う。
もっと微妙にゆるいのだ。
スラッシーでエッジの効いた音だから、
MOTORHEADタイプのいわゆるメタル・パンクとも違う。
プラケースを包んであったビニールに貼ってあるステッカーに
“FROM THE SPEED METAL PUNKS!”と書かれているように、
“スピード・メタル・パンク”という言葉がピッタリだ。

2003年のファースト・アルバムを
CAPITALIST CASUALTIESのメンバーらによるレーベルから出したことに表れているように、
もともとハードコア・パンクのシーンから出てきたバンドだから、
パンク・ロックの流れをくむ音の抜けの良さが気持ちいい。
パンク・ロック・テイストは、
デイヴ・ウィッテ(元DISCORDANCE AXIS~BURNT BY THE SUN)のドラムによるところも大だ。
IRON REAGANのドラマー(元DARKEST HOUR)のビートも適度に軽妙でメタルすぎないが、
風通しが良くて適度に乾いたデイヴのビートは今回も実にいい味を出している。

80年代の米国のバンドだとCRYPTIC SLAUGHTERにも近いが、
ちょいメタルがかった80年代後半の英国のハードコア・パンク・バンド・・・
たとえばHERESYやRIPCORD、CONCRETE SOXあたりもところどころで思い出す。
ちょいギターが遊んでコーラスを多用するキャッチーな曲の構成は、
80年代後半のスラッシーな日本のハードコア・パンク・バンドっぽかったりもする。

ウソ臭い気合マンマンものはただ疲れるだけだが、
気持ちいいツボを心得た曲作りと音作りでビシッ!と仕上げ、
こういう曲が14曲続いても聴いていて疲れないセルフ・プロデュースもお見事。
ちょい高い声域のヴォーカルも押しつけがましくなくていい。
『Cause For Alarm』(86年)や『Liberty And Justice For...』(87年)といった
クロスオーヴァーな名盤も出してきた、
AGNOSTIC FRONTのリーダーのヴィニー・スティグマがヴォーカルで1曲に参加しているのも、
ちょっとした話題である。

ブックレット裏表紙のメンバー写真が示すようにビールが美味いアルバムであることも言うまでもない。
これまた最近のへヴィ・ローテーションだ。


★MUNICIPAL WASTE『Slime And Punishment』(NUCLEAR BLAST 3233-2)CD
12ページのブックレット封入。


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コメント

バンドが意図しているかは別として、アルバム毎に歌詞の内容や音楽のエナジーの方向性みたいなものが変化しているのが今回も同じだと思わせない要因でしょうか。
IRON REAGANとはメタル/バンク・クロスオーヴァーという点では共通していますが、行川さんの仰るように私も受け取る"感触"は全然違います(Voトニー・フォレスタもあるinterviewで全く似てないと発言していました)。
Motorheadが特にそういう扱いを様々なメディアで受けていたと思っていますが、<過去作と同様に最新作も最高、以上>といったような残念な酷いレビューが氾濫しているなかで、当ブログがバンドと音楽に向き合って発信しているのは嬉しいです。
まだまだ楽しみにしております。

Re: タイトルなし

溝口さん、書き込みありがとうございます。
確かに、ブレがなくいつも同じようでいつも違う点でMOTORHEADに通じますね。
MOTORHEADの場合は終盤プロデューサーが変わらなかったですが、メタル・ハードコア畑のゼウスが手がけていたちょっと前のと最近のセルフ・プロデュースのアルバムとは、受ける印象がちょっと違って、最近はパンク・ロックな音作りになっていますね。バンドの方向性もそういう感じ・・・ある意味原点に立ち返ってネクストに進む感じかもしれません。それでいて、やはりツイン・ギターのもたらした味が今までのアルバムとは明らかに違いますね。
歌詞はジャケットの画と呼応していると思いますが、今回の画は今までのものと比べてラフですが、意味をくみ取りにくいところも歌詞と同じかなと。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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