なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DARKEST HOUR『Godless Prophets & The Migrant Flora』

DARKEST HOUR『Godless~


95年結成の米国ワシントンDC出身のメタル・ハードコア・バンドが約2年半ぶりに出した9作目。
2000年のファースト・フル・アルバム『The Mark Of The Judas』を最初に再発したことがある、
SOUTHERN LORD Recordingsから今年3月にリリースされたアルバムだ。

前作『Darkest Hour』が今一つピンと来なくて“もう聴かないかも”と思って後回しにしていたが、
ブログでコメントしていただいた方の言葉に触発されて買ってみて大正解。
僕としては起死回生作であり、
ゲットしてからへヴィ・ローテーションである。

エンジニアとミックスと共同プロデュースを、
いつかはやると思っていたカート・バルー(CONVERGE)が担当。
音の個性の薄いバンドをカートがレコーディングすると彼の色に染まって同じような感触になりがちだが、
これは相性最高で確固とした個性を炸裂させて突き抜けた傑作だ。


AT THE GATESが限りなくハードコア・パンクに近いメロディック・デス・メタルであるとしたら、
DARKEST HOURは限りなくメロディック・デス・メタルに近いハードコア・パンクだ。
メタルコアと呼ばれがちだが、
ハードコア・パンクと言い切りたい。
DARKEST HOURのフェイスブックのジャンルのところに書いてある
“Thrash,Metal,Punk”という言葉も的確で、
彼らがパンクを意識しているというのも嬉しいし納得なのだ。
自己保身に余念がなく意識が止まった旧態依然のパンク・ロックやハードコア・パンクの間を中央突破し、
2000年代以降の進化形に磨きをかけている。
ほとんどの曲がツー・ビートで疾走し、
ツボを突くストレート&ドラマチックなソングライティングも冴えわたっている。

IRON REAGANの前ドラマーが大好きだったから
レコーディングでは前作から参加している新ドラマーをなかなか受け入れられなかった僕だが、
小回りの効いたドラミングがハマっている。
ベースと共にDARKEST HOURの強靭な足腰を築き上げ、
緻密なリズムをギターと刻み絡み合っている。
メロディも噴き出しているが、
とにかく各パートの音のアタック感が強力でひたすらパーカッシヴ。
ちょいと80年代のMETALLICAの静かな曲みたいなインスト・ナンバーもよろしい。

2000年代にDARKEST HOURに在籍してSCAR THE MARTYRの一員でもあったクリス・ノリスと、
SEVENDUSTのジョン・コノリーも一曲ずつギター・ソロを弾いている。

ジョン・ヘンリーのヴォーカルは相変わらずつんめる勢いで素晴らしい。
こういう声に耳を傾けると、
体裁気にしてわざとらしくポーズつけた演出過剰の歌い方のヴォーカルのウソ臭さが見えてきてしまう。
前にも書いたように、
90年代以降のメタル・ハードコア界のみならずハードコア系バンドのヴォーカルで、
VISION OF DISORDERのティムやEARTH CRISISのカールと並んで吐血しそうなほど強烈に生々しい。
まさに本気の喉の震えだし、
タフ・ガイ気取りとは真逆のヲタなヴィジュアルでリアリスティックな言葉を吐き叩きつける。

目の覚める強力盤。


★DARKEST HOURDARKEST HOUR『Godless Prophets & The Migrant Flora』(SOUTHERN LORD LORD239)CD
読みやすく歌詞が載った味のある紙質の8ページの“四つ折りブックレット”封入。
約45分12曲入り。


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コメント

Darkest Hourの新作僕も聴きました!
過去のカタログすべては聴いてないんですが,
最近の評判がいまいちで,気になっていました.

彼らの紹介にデスメタルやメタルコアは不似合い
だとずっと思っていたんですが,そのような
イメージを吹き飛ばす仕上がりで,繰り返し聴いています.

感情をあおるようなメロディはあんましなく,
ひりひりする焦燥感をメタルを使って表現するのって,
ハードコアならではでないでしょうか?
あまりにも真摯で,心が痛くなりそうなくらいです.

収録されたカバー2曲が彼らの行きたいポジションを
うまく表しているなとも思いました.
とても好きです!

Re: タイトルなし

ss2gさん、コメントありがとうございます。
このブログのMASTODONの新作のところに書いてくれたタモさんのコメントに刺激されて遅ればせながら買った次第です。
読んでのとおり前作を酷評しましたが、エネルギーを使うので基本的にネガティヴなことしか書けない作品は取り上げてない中で、書きたくなるのは以降の活動に期待しているからで、その期待に答えてくれた感じが個人的にあります。
メタルコアという言葉が彼らに使われていることにすごく違和感を覚えてイージーすぎるとすら思っています。いつも書くように意識に耳を傾けないと失礼ではないかと。

> ひりひりする焦燥感
> あまりにも真摯で,心が痛くなりそうなくらいです.
まさに、ですね。
そういうところが表現は大切ですから。
と同時に“スラッシュ・メタル・パンク”と自称するセンスも大好きです。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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