なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

The UNDERTONES at東京・高田馬場AREA 2010年3月7日

undertones.gif

75年に北アイルランドのデリーで結成されたパンク/パワー・ポップ・バンド、
UNDERTONESの初来日公演の最終日。
8~9割は埋まっていて満員に近いと言える。
むろんメンバーと同年代の40~50代と思しき方々もたくさんだったが、
クラブ・キッズっぽい人も多くモヒカンも数人いるという若い観客のブレンド具合に、
開演前からUNDERTONESの音楽の包容力が見て取れて嬉しかった。
はっきり言えばそういう多彩な客層で開演前からグレイトなライヴは期待できたのである。

ライヴは初期のシングル曲「You’ve Got My Number(Why Don’t You Use It!)」からスタート。
てなわけでいきなりノリノリだし、
続いた曲が必殺ナンバー「Here Comes The Summer」だからお客さんのノリも止まらない。

お馴染みの曲の中に再編後の曲を織り交ぜていくセットリスト。
往年の曲は『The Best Of The UNDERTONES : Teenage Kicks』に入っているものがほとんどで、
大半はセカンド・アルバムまでの曲である。
サード以降の昔の曲だと「Julie Ocean」はやったが「It’s Going To Happen」はやらなかった。
メロウでゆっくりしたその「Julie Ocean」は全体の中でも浮いていたように思える。
新しい曲も含めて何しろ他がほぼアップテンポのパンク・チューンで占められていたからだ。

81~83年頃に発表した曲はパンク・ロックとは言いがたいものが多かったが、
この晩はパンク・ロック以外の何物でもない曲の連打。
問答無用にヤられるしかない。
お客さんが求めるものを意識したというのもあろうが、
それがUNDERTONESの本質だと彼ら自身がわかったからでもある。
五十歳前後の極々フツーのヴィジュアルの男たちがてらいもなくパワフルなパンク・ロックをやっている。
よこしまな政治性や商業性は知ったこっちゃない。
恐ろしいほどにピュアだ。

細かいことを言うとドラムがビシッ!とビートをキメていたのがでかい。
UNDERTONESとしては83年から16年ほどのブランクはあった。
だが再編後は地元を中心にライヴをコンスタントにやっていて、
とりわけ現メンバーで2枚アルバムをリリースした前後はかなりハードなツアーを決行しているだけに、
メンバー全員が鍛えられている。
ステージング運びの旨さに舌を巻いた。

かなり熱心なファンでないと会場内を歩いていてもあまりメンバーだと気づかれないと思しき5人である。
オッサンとか言いたかない。
おじさんと呼ぶにはダミアン・オニール(g、vo)とマイケル・ブラッドリー(ds)はかなり若々しい。
リーダーのジョン・オニール(g)とビリー・ドハーティーだって、
自分より歳が2~6つしか上じゃないのにこういう言い方もアレだが“おとうさん”と呼びたくなるキャラだ。

再始動してからの新シンガーのポール・マックルーン(vo)も、
オリジナル・メンバーの4人とは一回り下ならではのオヤジ風味の天然イケイケのキャラで押せ押せだった。
かっぷくがいいボディを惜しげもなく動かし、
プレスリーばりに腰を振るポールの動きは最初のうち失笑を禁じ得なかったが、
苦笑しながらも楽しんでしまった。
歌い方も含めてUNDERTONESマニアの間では絶対的なオリジナル・シンガーのフィーガル・シャーキーとは、
極端に違いすぎる。
だからこそ許せる。
熱い歌唱でも原曲をこわさず、
ファルセットで歌うべきところは原曲の持ち味をしっかりと尊重。
要するにこのUNDERTONESはreunionではなくreformなのだ。

実はこのライヴの8時間ほど前に某誌のインタヴューでジョンとダミアンとポールと会見できた。
話を聞いていたら、
NY VAG Records周辺やMASSHYSTERIなどの、
スウェーデンのウーメア(Umea)の現行のパンク・ロック・バンドが頭をよぎった。
ロンドン・パンクなどの派手なやつとは一味違うナチュラルなサウンドとルックスは、
GREEN DAY以降の芝居っ気無しのメロディック・ポップ・パンクのルーツでもある。
この界隈のシーンでは十二分にビッグネームにもかかわらず、
イイ意味で抜け切らぬ田舎っぽさがたまらない。

前日のライヴではアンコールでももう一回「Teenage Kicks」やったらしいが、
この日は無し。
だがそれで不満に思った人は一人もいないだろう。
真にエヴァーグリーンなキラー・チューンの「Teenage Kicks」を最後の最後まで取っておかず、
本編の終盤で唐突に始めたことにUNDERTONESの自信を感じた。
この日のアンコールの最後は最大のヒット曲「My Perfect Cousin」であった。

メンバー全員が楽しくて楽しくてしょうがないといった感じがムンムンの熱気となった。
身内だけが楽しきゃいいみたいな閉鎖的な内向き志向じゃなく、
一緒に楽しみたいと心から思う“あけっぴろげ”な意識で場内の一人残らずを楽しませた。
現メンバーははなっから進化とか野心とかはなく好きなことをやってきただけだ。
“永遠のティーンエイジャーたち”の70分ほどのライヴに元気をもらったのは、
ぼくだけではないだろう。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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