なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画“ポーランド映画祭2017”

ポーランド映画祭2017


今年も“ポーランド映画祭”の季節がやってまいりました。
11月25日~12月15日に最寄り駅が恵比寿の東京都写真美術館ホールでの開催に加え、
京都同志社大学でも12月7日に一日限定で開催が決定している。

監修は2012年の第一回目から変わらず、
『アンナと過ごした4日間』『エッセンシャル・キリング』
今回上映される『早春』『イレブン・ミニッツ』の監督で知られ、
あの大メジャー映画『アベンジャーズ』への出演も含めて俳優としても活躍している、
奇才イエジー・スコリモフスキ。
アニメーション4小作品をまとめた回と、
ボグダン・ジヴォルスキによるドキュメンタリー5小作品をまとめた回をそれぞれ一つと数えると、
計“24タイトル”の上映だ。


今年もまたまた守りに入らぬ攻めのプログラムにどれを観ようか!?ってな嬉しい悲鳴に悩まされる。

2012年の第一回目から“ポーランド映画祭”はポーランドのクラシックな映画をたくさん披露してきた。
僕もそれでホントたくさんインスパイアされてきたし、
代表作『灰とダイヤモンド』や『コルチャック先生』(CRASSの曲「Shaved Women」とリンク)等の、
昨年他界した巨匠アンジェイ・ワイダ監督の古典でポーランド映画の入り口に最高な作品も今回上映する。

と同時に自己保身を潔しとしない進取の精神の映画祭ゆえに毎年何もかもがアップデートされている。
1950~1960年代の映画でもこれまであまり上映されてない作品も披露し、
さらに2015~2017年の映画が半数近くを占めるのが現在進行形でエキサイティングだ。
今回が日本初公開の映画も全部痺れそうな長編+αで10作近く揃えている。
ポーランド映画史上初のアカデミー賞外国語映画を受賞した『イーダ』をはじめとして、
『イマジン』『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ラブ』『最後の家族』といった
新鋭監督による2010年代のポーランド映画の新たなる傑作群も“石頭”の風通しを良くする。


種々雑多なポーランド映画を観てきて感覚が磨かれ、
それまで自分の中になかった物の見方や見る角度がプラスされていることをホント実感する。
感動の押し売りみたいな映画とは別次元の空漠感にいつもいつもいつもいつも打ちのめされる。
ギリギリの表現を体験するとただの“不幸自慢”や底の浅いプロテストもののウソ臭さも見えてくるし、
映画はもちろんのこと音楽も含めてポリティカルな表現の在り方とアプローチの仕方も考えさせられる。
新世代でも政治性抜きでも飢えた表現ゆえにスクリーンから胸を“撃つ”。
ナチスに心底ボロボロにされてソ連(≒ロシア)が“救済”したかと思えば長年支配し続けるという、
島国で考えられない国境状況で様々な国にオモチャにされてきたポーランドの歴史が消えることはない。
だから“ポーランド映画祭”であれこれ観た映画の中で
政治的表現に嘘や甘えを感じた作品は一つもない。

映画も含めてそもそもグレイトな表現はすべて政治性を超えて人間に向き合っている。
ポーランド映画は、
映画が物語や役者だけで語られるものではなく映像や使われている音楽/音声も含めて表現ということも、
あらためて知らしめる。
それって映画の真髄じゃないか。

“楽しい”にしても人の数だけ無数の“楽しい”がある。
映画でも音楽でも“結果がわかっている作品”を観たり聴いたりするのも楽しいし、
未知の作品にまぐわったフレッシュな体験で研ぎ澄まされ触発されるのも楽しい。
だから僕は今年も“ポーランド映画祭”に臨む。
たったひとつの映画でもスクリーンがひとりの人間の世界を広げて覚醒する力がある。


★映画“ポーランド映画祭2017”
http://www.polandfilmfes.com/
https://www.facebook.com/polandfilmfes/
https://twitter.com/polandfilmfesjp
11月25日~12月15日に東京都写真美術館ホール(最寄り駅は恵比寿)にて開催。
お得な特別観賞券2回券(税込み2000円)は、
東京都写真美術館1Fホール受付(※休館日にご注意ください。)、有隣堂アトレ恵比寿店、
メイジャーネット通販(https://www.major-j.com/)、お茶の水JazzTOKYOに加え、
ディスクユニオン新宿ジャズ館とディスクユニオン吉祥寺ジャズ館でも購入可能!

追記:
京都同志社大学でも12月7日に一日限定でポーランド映画祭開催決定!
http://d-live.info/program/movie/index.php?c=program_view&pk=1510551636


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コメント

行川氏の語り口のファンですが、映画のブログも展開されていたとは恐縮ながら今更にして知りました
ポーランド映画には十代の一時期かなりハマったこともあり、未だにかの国の映画と聞くと心の動く自分がいます
なかでもやはりアンジェイ・ワイダ監督、『地下水道』『灰とダイヤモンド』『夜の終わりに』『大理石の男』『約束の土地』といった緒作は忘れ難い映画体験として刻まれております
この一本となればやはり『灰とダイヤモンド』ですが、たとえワイダがこれ一作きりしか監督作を残さなかったとしても彼の名が映画史から永久に消えることはないであろう大傑作です
ラストに主人公が悲惨な最期を遂げる映画というのは数多ありますが『勝手にしやがれ』のベルモンドも邦画『紅の流れ星』の渡哲也も散り際にはカッコいい台詞を吐いて逝き『俺たちに明日はない』の蜂の巣の最期もある意味"美しい"のに比しても本作のマチェクのごみ捨て場で痛みにもがき苦しみながらそのまま死んでいく最期は当時中学生だった自分にはあまりにショックな反面、荒んだ心象風景にピッタリ寄り添ってくれるものでもあった
併せて『タクシードライバー』『エクソシスト』等々、物語として一応の解決はみるがどうにも拭えない苦味の残る作品をどんどん観続けていくうち自分という一個の人間が良くも悪くも形成されていきましたね
ワイダ監督、というかポーランド映画というととかく政治色が強くて敬遠する向き(なにより当時の映画評論家の多くがそうでした。ネットもスマホもない時代、活字媒体が唯一の情報源なので)の方もいるでしょうが、ワイダ作品は政治色抜きにしても演出家としての卓越した技量による語り口の巧みさ、広角レンズを多用したカメラワークでぐいぐい引き込む求心力の強さもあって、誤解を怖れず言えば"娯楽作品"としてのポテンシャルも多分に含んでいると思います
『大理石の男』など、ポーランドの内状や歴史背景への理解抜きではチンプンカンプンで終わる作品かといえば(勿論理解しているに越したことはないが)けしてそうでもなく、計算の行き届いた構成力とダイナミックなカメラワークが醸し出すサスペンス色の出汁が効いて観応え十分な"面白い"映画に仕上がっています
ワイダ作品以外ではイェジー・カワレロヴィチの『尼僧ヨアンナ』やアンジェイ・ムンクの『パサジェルカ』、『夜行列車』、そしてロマン・ポランスキーの長編デビュー作『水の中のナイフ』etc.も忘れ難い映画として脳裏に焼き付いています
近年の例えばキェシロフスキ作品が日本で話題になり始めた頃は個人的に映画離れしてしまった時期ゆえ観ていませんが、いつか観る機会をもちたいとは思ってます
黒澤映画といえば白黒というようにポーランド映画も白黒が一番似合うと思いますが、まぁ昔の話ですねw

Re: タイトルなし

Nuggetsさん、コメントありがとうございます。
とても詳しくて、しかも個々の映画の深いところまで観て感じていらっしゃって、触発されます。
ポーランド映画と言えばやっぱりワイダが代表で、ワイダでポーランド映画のイメージが固まっていたのが僕なのですが、そういう方は他にもいると思います。
もちろん『地下水道』『灰とダイヤモンド』『大理石の男』は名作で代表作ですが、わりと新しい方の『コルチャック先生』『約束の土地』『カチンの森』は、ワイダならではのペシミズムの深化形が感じられてゾクゾクします。グレイトな映画のすべてがそうですが、不幸ネタやストーリー性に頼らず、映像そのものや演技でも見せ、まさに歴史/政治背景を知らなくても痺れるところも素晴らしいです。列記された他の監督の映画と同じ感じで語れる・・・Nuggetsさんの鋭い視点にうならされます。
ほとんど東京だけながら毎年11~12月に催されているポーランド映画祭でたくさん吸収させてもらっていて、
去年は新鋭の『プレイグラウンド』に殺られました…終盤の延々の容赦無き描写はワイダの『カチンの森』の終盤の流れを感じました。
僕もムンク大好きでユーモアもたまりません。特に『鉄路の男』は何度も観ています。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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