なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

SEPULTURA『Chaos A.D』[expanded edition]

SEPULTURA『Chaos~』[expanded edition]


進取の精神でへヴィ・メタルの歴史を塗り替えてきたブラジル出身のバンドによる、
93年リリースの5作目のCD2枚組での2017年リマスタリング“拡大版”リイシュー。
むろん次作の後に脱退してSOULFLYCAVALERA CONSPIRACYをやる、
マックス・カヴァレラ(vo、4弦ギター)がリーダーの頃だ。


ディスク1には約47分12曲入りの本編を収録。
その本編に関してはオリジナル盤の状態のものを今月発売のヘドバン誌で書かせてもらったから、
仁義上あまり内容がダブらないようにここでは客観的な事実と書き漏らしたことを書く。

今回のリマスタリングの音はいわゆるコンプかけすぎ音圧アップのCDとは一線を画す。
オリジナル盤の良さを活かしつつ埋もれていた音がいい感じで掘り起こされ、
アナログ感覚の彫りの深い音だからアルバムを聴き込んだ方でも納得の仕上がりだ。

軋轢と調和のブレンド具合をはじめとしてすべてのバランスが絶妙で、
憤怒のニュアンスもナチュラルにレコーディングされている。
SEPULTURAが共同プロデュースしているが、
アンディ・ウォレスがメインでプロデュース(+エンジニア、ミックス)していることが大きい。
NIRVANAの『Nevermind』のミックスで有名になった人だが、
その直前にSEPULTURAの前作『Arise』のミックスを行なっていた。
SEPULTURAはアンディが手がけたSLAYERのアルバムも大好きだったからだ。

スラッシュ・メタル、デス・メタル、パンク/ハードコア、グルーヴ・メタル、民俗音楽、
インダストリアル・ノイズといった
SEPULTURAの魅力のすべてが最もしっかりと凝縮されているアルバムだ。
そんな中で、
BIOHAZARDのエヴァン・セインフェルドと、
ジェロ・ビアフラ
(注:SEPULTURAは92年のDEAD KENNEDYSの傑作トリビュート盤『Virus 100』で
「Drug Me」を自分らの曲「Arise」みたいにしてカヴァーしている)が作詞で参加し、
英国ポスト・パンク・バンド勢の硬派だったNEW MODEL ARMYのカヴァーも収録。
SEPULTURAのアルバムの中でパンク/ハードコア色が一番強いアルバムでもある。


ディスク2は約60分17曲入り。
以前のCDのボーナス・トラックや当時のシングル/EPのサブ・トラックから抜粋の5曲、
未発表の“インストゥルメンタル・ライティング・セッション・ヴァージョン”の3曲、
デスラッシュ時代の曲も含む94年のミネアポリスでの絶好調ライヴ9曲で構成されている。
BLACK SABBATH(「Symptom Of The Universe」)、
SEPULTURAがピックアップしたことで国外にその存在が知れわたったブラジルのTitãs、
80年代初頭からブラジルを代表するハードコア・パンク・バンドのRatos de Porão[R.D.P.]
LAのFINAL CONFLICT(再編後の92年のEP『The American Scream』の収録曲「Inhuman Nature」)
のカヴァーも聴きどころである。


ちまちまちまちました内向き意識の心臓に風穴を空ける熱量に胸がすく。
一番聴き込んだアルバムだし、
ジャケットもひっくるめて一番好きなアルバムだ。


★セパルトゥラ『ケイオスA.D.:エクスバンデッド・エディション』(ワーナーミュージック・ジャパン WPCR-17929/30)2CD[一般のCDプレイヤー等で再生可能なSHM-CD]
三つ折り紙ジャケット仕様。
16ページのオリジナル・ブックレットに加え、
そこに載った長文英文ライナー(ブラジルの政治状況と絡めた内容)と本編の歌詞の和訳が読める
16ページの日本版ブックレットを封入。


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コメント

SEPULTURA

次の「ROOTS」と共に忘れ難いアルバムです。このアルバム当時は「HELMET化した」とか陰口も叩かれました。来日公演では新機軸を披露しつつ、初期の曲を更にスピードアップして演奏してました。彼等の意地だったと思います。

確か英国(ウェールズ?)録音だったと思いますが、他のアルバムと異なるグルーミーな空気感ありますね。AMEBIX好きも頷けます。

彼らが分裂せずに順調に活動を続けていたら…と思うと、少し切なくなります。

Re: SEPULTURA

TOMMYさん、コメントありがとうございます。
ウェールズでも録っていまね。
ここで書くことは控えましたが、AMEBIXの影響も大きいですね。いわゆるメタル・クラスト勢は言うに及ばず、全盛期のNEUROSIS以上にAMEBIXを肉体化しています。雑食してもしっかり消化しているセンスと胃袋の強さでこのアルバムが一番好きです。
マックスにはアンドレアスのようなコントロール役が必要で、SEPULTURAにはマックスの4弦ギターみたいな土足の打楽器ギターが必要で、そのへんもベストの状態でレコーディングされているだけに、その後の両者が残念です。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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