なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

HUSKER DU『Savage Young Dü』

Hüsker Dü ‎– Savage Young Dü


80年代のオルタナティヴ/ギター・ロックの代表として知られる米国ミネアポリス出身のバンド、
HUSKER DUのパンク・ロック/ハードコア・パンク時代の驚愕の音源集。
ここではCD3枚組のものを紹介する。

リリース・レーベルのFacebookによれば昨年の11月に発売されたらしい。
今月売りの某誌で選んだ2017年のリイシュー・ベスト10には間に合わなかったが、
昨年の“パンク~ニュー・ウェイヴ”のリイシューものの中で、
パッケージも含めてRAMONESのセカンドとサードに匹敵するグレイトなブツである。


79~82年の録音の69曲入りの大ヴォリュームで、
80年のデビュー・シングル「Statues」、82年のEP『In A Free Land』、
83年のLP『Everything Falls Apart』の全曲が収録されているとはいえ、
47曲が未発表音源。
しかも未発表曲がてんこ盛りで曲のダブりもほとんどないという恐るべき内容なのだ。
デモやリハーサル音源に加えてライヴ・テイクも多いが、
みな音質良好。
82年ライヴ盤『Land Speed Record』を今回収めてない代わりという感じで、
その収録日から約3週間後にほとんど同じセットリストでやったライヴが入っているのもポイントだ。

極初期はRAMONESの影響が強いパンク・ロックである。
RAMONESが「Chinese Rock」という曲名で録る前にHEARTBREAKERSが先に録音した曲の、
「Chinese Rocks」のカヴァーもやっている。
そこからPUBLIC IMAGE Ltd.(PiL)の初期やJOY DIVISIONなどのポスト・パンク風の曲を経て、
ハードコア・パンクに加速していく過程が生々しく記録されている。
というか本作の過半数はハードコア・パンクだ。
もちろんウルトラ猛烈な“非メロディック”ハードコア・パンク。
様式美もヘッタクレもない。
まるでハードコア・パンクのレコードを2~3枚聴いて「俺らもやってみっか!」ってな感じで
パンク・ロック・スタイルから急速に天然スピードアップした様相なのだ。
とはいえところどころで後期のギター・ロック・スタイルの顔も覗かせ、
本作の終盤のライヴ・テイクが
パンク・ロック時代の総決算作『Metal Circus』(83年)の曲という流れもナチュラルである。

聴いていて熱くなるし切なくもなる。
たまに漏れてくるメロディが切ないということ以上に、
“どこかの誰かさんみたいじゃないもの”を生み出そうとするモーレツな熱情ゆえのことである。


まさに満載!のメンバー写真等(ほとんどがモノクロなのも味がある)と超長文ライナー、
79~82年のライヴ・データ(フライヤーも満載)などで彩った、
150ページ近いブックレット綴じ込みのハードカヴァー・ブック仕様。
収納の小箱(スリップケース)も含めて味のある紙質で仕上げられ、
CDを収める部分がロゴのくり抜きだったりして細部にこだわった非常に丁寧な作りのリイシューである。


★Hüsker Dü『Savage Young Dü』(NUMERO GROUP NUM200)3CD


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コメント

このアルバムは期待以上のブツでしたね!
アルバムとかEPがまんま入ってるのに最初はガックリしたのですがそれを超えてくる期待以上の音源ですね。
何に影響されているのか特に初期は分かるけど出てくる音がひねくれてよじれて独特な音なのがすごいですよね。
この後の音源も未発表あれば聞きたいですね!

グラント・ハート

昨年も沢山のミュージシャンが亡くなりましたが、一番ショックなのはグラント・ハートでした。

グランジ経由でHUSKERにはまり、グラントの最初のソロ、NOVA MOBのファーストは愛聴しました。(勿論ボブ・モウルドのSUGARも)

ソングライターとして傑出していましたが、キャリアは恵まれない人でしたね。

ボブはまだまだ長生きして頑張って欲しいです。

コメントありがとうございます。

>能年さん
未発表が多ければいいってもんじゃないですが、これは厳選して編集されていて、とにかく愛情いっぱいのブツですね。
既発表ものも大昔のCDとは比べものにならない音質ですし、未発表ものはビックリだらけでした。81~82年頃の録音の曲は何に影響されているのか読めないハードコア・パンクで、得体のしれないモノを感じます。若い頃とはいえ、短期間でこれだけ作品化してない曲を作っていたのも驚異で、しかも必ずしもダメ曲ではない。これ以降のレア音源も期待したいですね。

>TOMMYさん
グラント・ハートの他界はひっそりと伝わってきた感じですね。それが彼らしいと言えばそれまでですが。リリースに間に合わなかったと思われるのが残念ですが、大まかの形ができた状態までは彼も確認できたと思いますし、愛情あふれる追悼盤になりましたね。

こんなブツが出ていたとは驚きです。
某月刊誌の輸入盤項でも行川氏のパンク/ハードコア盤紹介は興味深く読ませてもらってますが、近年でもCRASSのリイシュー盤情報など記事で初めて知り即購入に至ってます
昨年末には英Cherry Redより70年代末~80年代初頭にかけてのU.K.ポストパンクのシングル音源をずらりCD5枚組にコンパイルした超グレイトなロングケース仕様のBOX "To the Outside of Everything"をタワーレコード店頭で偶然見掛けて脂汗気味にレジへ一直線に突っ込みました 笑
ハワード・デヴォート率いたMAGAZINEの名曲『Shot by Both SIdes』(CD1の2曲目にも収録)の歌詞の一節 "あらゆるものからはみ出して" をタイトルに冠した本編集盤、P.I.L.やJOY DIVISION、KILLING JOKEなどの定番は言うに及ばずWIRE、THE FALL、THE RAINCOATS、THE MONOCHROME SET、SWELL MAPS、ニック・ケイヴのTHE BAD SEEDS、THIS HEATまで網羅した過去におそらく例を見ないヴォリュームの素晴らしい仕事、音質面でも丁寧なマスタリングにより各盤とも統一感のある聴き応えとなっておりました。
HUSKER DUは未だ『New Day Rising』しか体験していない身ゆえ、まずはオリジナルアルバムを網羅してからの手順を踏まえるべきでしょうがこうした盤がリリースされていく限りやはりパッケージとしての購入は止められません。やめるつもりも毛頭ありませんが。音楽はパッケージも含めた作品として体験すべし!この信念は生涯曲げるつもりはありません

Re: タイトルなし

Nuggetsさん、書き込みありがとうございます。
その5枚組はまだ買っていません。多少抜けはあるにしろ美味しいトコロをよくぞ揃えた!って感じで、いずれ買うでしょう。パンク・ロックやハードコア・パンクと並行してあのへんのポスト・パンク系をたくさん聴いてきたからこそ、自分なりにあまり偏らずにバランス感のある物の見方ができるようになったと思います。それぞれ背中合わせだったんですよね。クラス・レコード周辺にポスト・パンク系のサウンドのバンドがたくさんいたことも象徴的です。
HUSKER DUはこのオリジナル・アルバムをそろえる前にこのボックスを聴くのもありです。ファースト・アルバムも含まれていますし、『Metal Circus』『New Day Rising』以前の既初期発音源もほぼ入っていますから。このボックスはCDパッケージの良さも再認識します。RAMONESの初期3作の40周年デラックス版にLP大のブックレットが付いていて、もちろん大きな写真はうれしいのですが、丁寧に扱わないと折れやすくて気を使います。このボックスのブックレットは小型で読みやすく紙質も折れにくく、リイシュー物の良いお手本になると思います。



しか体験していない身ゆえ、まずはオリジナルアルバムを網羅してからの手順を踏まえるべきでしょうがこうした盤がリリースされていく限りやはりパッケージとしての購入は止められません。やめるつもりも毛頭ありませんが。音楽はパッケージも含めた作品として体験すべし!この信念は生涯曲げるつもりはありません

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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