なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

早川岳晴+藤掛正隆+吉兼聡+向井秀徳+辰巳光英+巻上公一 at 高円寺Show Boat 2010年3月15日

崖っぷちセッション

HAYAKAWAや麗蘭などで活動している早川岳晴と、
元ZENI GEVAで現在は渋さ知らズなどで多彩な活動をしている藤掛正隆が、
2007年から東京・荻窪のRooster Northsideでやっているインプロヴィゼイションのシリーズ・ライヴ、
“崖っぷちセッション”の特別編。

藤掛のレーベルのFULLDESIGN Recordsからリリースした、
藤掛正隆+早川岳晴+吉兼聡+向井秀徳のCD『OGIKUBO LOONY』発売記念ライヴでもある。
でも過去の焼き直しとは無縁のその場の真剣勝負がすべてのセッションだから内容はほとんど別物だった。
この晩はゲストを迎えて、
早川岳晴(b)と藤掛正隆(ds)、
ZAZEN BOYSの吉兼聡(g)と向井秀徳(vo、g、kbd~元NUMBER GIRL)に加え、
渋さ知らズやSPACE BAAなどで活動する辰巳光英(トランペット)、
ヒカシューに留まらぬ活動を展開する巻上公一(vo、テレミン、口琴ほか)も同じステージに立つ。

実際その筋の出身である巻上をはじめとして“役者”揃いだからタダでは終わらない。
果たせるかな、
超満員のお客さんを前に4人が“高円寺LOONY”たる姿をさらした一夜となった。

ogikubo+loonyt_convert_20091219223110.jpg

まず第一部の前半として、
藤掛、早川、吉兼、辰巳がセッション。
藤掛と早川の間では“崖っぷちセッション”をやるにあたって、
“ファンクパンクアヴァンギャルド版スライ&ロビーを狙う!”というキーワードも飛び出しているという。
スライ&ロビーとは、
ジャマイカ出身のスライ・ダンバー(b)とロビー・シェイクスピア(ds)のリズム・セクションの略称。
レゲエ畑出身の演奏者たちとはいえ種々雑多なミュージャンと絡んで強靭なビートを打ち貫く。
そんな二人の姿が重なったが、
ジャズもファンクもダブも吸い込みつつ藤掛と早川のコンビネーションはいい意味でもっとロックと言える。
LED ZEPPELINとCANがまぐわったみたいな彼らのビートに、
VA『No New York』やソニー・シャーロックの流れを感じさせる吉兼のソリッドなギターと、
ドン・チェリーも頭をよぎった辰巳のシャープなトランペットが挑み絡み、
ぐんぐんぐんぐん加速していったのであった。

第一部の後半は、藤掛、早川、向井、巻上でのセッション。
ステージの両脇に巻上と向井は立ち、
藤掛と早川を真ん中にはさんで向き合う配置も功を奏してファニーな対決ムードも漂っていた。
藤掛曰く、
向井と巻上は“宇宙人対決”とのことで、
鳩山由紀夫もたじろぐ痛快なボケと突っ込みも全開であった。

それにしても巻上公一、
30年前にヒカシューでアルバム・デビューしてから髪型も服装も顔もまったく変わらず、
時代も年齢も超越した恐るべきヴィジュアルにも筋金入りであることが表れた真性の奇才ぶりを発揮。
ホーミーも交えたと思われる変幻ヴォーカリゼイションに加え、
テルミンをあやつるがゆえに両手で素晴らしく奇ッ怪なアクションを見せ、
天然の顔面パフォーマンスもあいまって場内を煙に巻きつつ場内の誰もが頬のほころびを禁じ得ない。
そんな巻上に数分間たじろいだ向井は、
うろたえながらも低姿勢で巻上の方に歩んでテルミンを手でさえぎる“暴挙”に出る。
そうやって一瞬けん制したあと向井がギターとキーボードをあやつりつつ反撃を開始。
前述のCD『OGIKUBO LOONY』でも連発していた“ファッション・レンタル・ヘルス!”をはじめとして、
自らが“人間サンプラー”になったような調子で酔っ払いの寝言のようにナンセンスな言葉を発する。
そんな二人の火に油を注ぐように藤掛と早川は緩急織り交ぜたグルーヴで燃料を投下し、
ダブ風のスロー・パートも挿入して中盤じらしながらもガンガン加速していったのであった。

第二部は6者の共演である。
ヴォーカルをはじめとして似ても似つかぬサウンドとはいえ
暖色系で統一した照明も相まってMC5のラスト・サード・アルバム『High Time』が頭をよぎった。
実は色んな声が入っていて実は色んなリズムが入っていて何と呼べばいいのか不明のごった煮で、
いい意味で大人のクールな佇まいながらも気がつきゃ“音の体温”がホットに上がっている。
言い訳じみたプロパガンダも弱みを隠すためのギミックもない。
一人一人がエゴを分泌しつつエゴを抑えてこの瞬間で曲を創造していく理想郷みたいな磁場が生まれていた。
真っ裸の饗宴は天晴であり、
ぼくはここにいまだ体験したことのないロックを感じた。

やっぱりシーンに無所属の人間は強い。
自立するしかないからだ。

アンコール込みのトータルで2時間以上やっただろうか。
斬るか斬られるかの状況にもかかわらず妙におもしろおかしい時代劇みたいな、
スリルとユーモアが肉体化されたパフォーマンスで飽きることなかった。
客人ミュージシャンたちに対する手荒いもてなしをする藤掛と早川のビートは、
硬い観客の頭と体と心もほぐしまる。
またしてもCD化が待たれるばかりだ。

<追伸>
ライヴ・ハウスShow BoatのもてなしもGJ!であった。
昨年あぶらだこがワンマンで昔の曲だけをやった超満員ライヴのときも実施していたが、
この日も臨時のクロークを設置。
すき間がないほど混雑していたからフロアーは禁煙になったが、
カウンターと出入口付近に臨時で“喫煙コーナー”を設置。
こういう臨機応変の配慮によってトータルで気持ちよく過ごせる。

スポンサーサイト

コメント

遅れてしまいましたが

すみません、コメントしたつもりがしておらず遅れてしまいました。
こちらのレビューについて、巻上公一氏のBBSへ書き込みさせて頂きました。

ヒカシューは今も現役で普通の歌ものだけではなく全編即興で製作したアルバムなども出しています。

ライブもインプロビゼーションだけではなく、歌のセットリストは全てその場で決めているそうです。

機会があればヒカシューのライブも観て頂ければと思います。

marblesleepさん、書き込みありがとうございます。
了解しました。
ヒカシューはアルバムもライヴも遠ざかっていますが、機会があったら体験したいと思います。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/195-07d96e1e

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (9)
HEAVY ROCK (241)
JOB/WORK (291)
映画 (254)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (43)
METAL/HARDCORE (48)
PUNK/HARDCORE (413)
EXTREME METAL (129)
UNDERGROUND? (95)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (121)
FEMALE SINGER (42)
POPULAR MUSIC (25)
ROCK (83)
本 (9)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

FC2Ad

Template by たけやん