なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DARK TRANQUILLITY『Where Death Is Most Alive』『We Are The Void』

メロディック・デス・メタルの先駆者の一つとして80年代末から活動している、
スウェーデンのバンドであるDARK TRANQUILLITYの近作の日本盤2タイトルが発売されている。


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『Where Death Is Most Alive』は2008年10月のイタリアでのステージを収めたライヴ盤で、
DVDメインの同名のボックス・セット収録のCDを単体でリリースしたものだ。
ディスク1が約49分11曲入りでディスク2が約55分10曲入りの2枚組。
93年のファースト『Skydancer』を除く7枚のアルバムの曲をドラマチックな構成でじっくりと披露し、
ノルウェーのゴシック・メタル・バンドTHEATRE OF TRAGEDYの女性シンガーが2曲でデュエットしている。

今までのDARK TRANQUILLITYの来日公演で抱いたぼくの抱いた印象は、
ライナーを書いているBURRN!誌の奥野高久編集部員と同じような感じで、
彼ほど回数を観てないとはいえポジティヴな印象のライヴばかりではなかった。
けどあまりメタル・バンドがやらないオシャレな場所と察知して彼らも燃えたのか、
東京・代官山ユニットで2006年に観たライヴがぼくの観たベストであった。
このCDはその時を上回る熱演である。
CARCASSのジェフ・ウォーカー的な嫌悪感の濁デス声を聴かせるヴォーカルも気合が入っている。

観客の合唱と掛け声に圧倒されるのだが、
そういう声もカットしてない臨場感抜群の仕上がり。
それでいて各パートの音もしっかり聞こえ、
こういう音楽では軽視されがちに思えるベースの音が大きめなのもうれしい。
その音は加入したばかりのダニエル・アントンソン(DIMENSION ZEROのギタリスト)が弾いており、
新メンバーが目立っているのもバンド内の力関係で結構なことである。


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一方の『We Are The Void』はベーシストが変わってからの初のスタジオ・レコーディング作品にあたる、
通算9枚目のオリジナル・フル・アルバム。

ヴォーカリスト、2人のギタリスト、ドラマーの4人が結成当初からのメンバーで、
骨格がしっかりしていることを強みにしたいい意味でのベテランならではの安定感、
いや揺るぎ無き個性と言うべきだろう。
ミッド・テンポの曲からスラッシーな速い曲まで緩急織り交ぜたフックのある楽曲のクオリティも高く、
気持ちの浮き沈みのバランスをよく考えてアルバム一枚を一気に聴かせる。

DARK TRANQUILLITYがメロディック・デス・メタルの元祖でありながら異端でもあるのは、
キーボード奏者が在籍しているところだ。
いやキーボードと書くのは正確ではない。
ブックレットの担当パートのところには“エレクトロニクス”とクレジットされているからである。
いにしえのハード・ロック的なキーボードと区別するためとも思えるが、
80年代の大仰なロック風でもありシンフォニックでもあり、
曲によってはトリップホップ的な音も聞こえてくるのだ。

そういうエレクトロニクスが激しいギターのリフやデス・ヴォイスとブレンドし、
イマジネイションをくすぐる摩訶不思議な世界が描き出される。
メランコリックだが沈鬱でもないのはファンタジックなエレクトロニクスの音の影響が大きい。
このある種の“まったり具合”はクセになる。

パンク/ハードコアでもそうだが、
アメリカや日本のバンドと違ってスウェーデンのバンドはどこかまったりしている。
けどそこが味。
必ずしも力でゴリ押しすればいいってもんじゃない。

それでも十二分に音の粒が立っているのは感情濃度の高さによる。
デス・ヴォイス・・・と呼ぶにはコクがあるヴォーカルが象徴的だ。
ところによっては多少メロディアスな歌も挿入するが、
スクリーモみたいな機械的なやつじゃなくてナチュラル。
短なる吐き捨て型とは一線を画して一言一言英語の語感の強さを活かしたリズムで、
舞台俳優のように歌うのであった。

レコーディング・エンジニアとしてエレクトロニクス奏者とベーシストが携わっているのも大きい。
後からDARK TRANQUILLITYに入った二人が進化させているのは、
バンドにとっても最高じゃないか。


★ダーク・トランキュリティ『ホウェア・デス・イズ・モースト・アライヴ――ライヴ・イン・ミラノ』
(トゥルーパー・エンタテインメント XNTE-00006~7)2CD
スタジオ録音盤に準じた歌詞と和訳付

★同『ウィ・アー・ザ・ヴォイド』(同 XNTE-00005)CD
日本盤は、
ライヴのオープニングやエンディングに似合うアルペジオのギターとキーボードのインストを含む2曲追加で、
むろん歌詞と和訳付だ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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