『モーターヘッド伝説』長谷川修平著
2018-12-13

MOTORHEADの40年の歴史と全アルバム22作を完全網羅したディスコグラフィー&ヒストリー本。
e-book(電子書籍)でロフトブックスからリリースされている。
執筆者の長谷川修平は、
『レミー・キルミスター自伝 ホワイト・ライン・フィーヴァー』
(逝去直前の情報等加筆の重版がレミーの命日の12月28日発売。後日このブログで紹介予定)の、
日本語版の巻末の“補章”を寄稿したことでも知られる。
執筆者のブログ
http://motorhead.blog65.fc2.com/
を見てもわかるようにとても詳しい人である。
でも知識をひけらかすだけで“身内”しか相手にしてない“頭デッカチ”とは完全に一線を画す。
様々なMOTORHEAD実体験に裏打ちされながらも個人的な話は極力抑え、
MOTORHEADのことを深く理解していて視野が広いからこそわかりやすく綴り、
これぞ初心者からマニアまで!と言い切れる。
アルバム一つ一つを時系列で紹介しながらMOTORHEADの歴史を追っていく構成。
結成前のレミーをはじめとするメンバー個人の最低限の情報を盛り込みつつ、
あくまでもMOTORHEADに特化したヒストリーである。
77年のファーストから2005年の最終作までのオリジナル・アルバム22タイトルはもちろんのこと、
ライヴ・アルバム3タイトルや編集盤とカヴァー・アルバムを1タイトルずつ押さえ、
幻のデビュー作『On Parole』にも簡潔に言及。
シングル等で発表した曲も適度にフォローしつつ横道にそれず、
あくまでもストイックにアルバム単位で攻める潔い構成だからガンガン読み進められる。
アルバム全体のカラーや音作り等のみならず、
収録曲のほとんどに触れる曲解説も簡潔かつ丁寧に行ない、
曲調やサウンド、さらに適宜歌詞の内容も掘り下げている。
MOTORHEADやアートワーク担当者の意思がこもったジャケットの解説も非常にディープだ。
レコーディングのエピソードやリリース前後のツアーの模様も折り込み、
インタヴューや客観的事実で“裏”をとった考察にもうならされる。
ギターを弾いていたバンド経験者ならではの観点で、
ギターとベースとドラムの演奏に関して言及しているところもポイント。
もちろんMOTORHEADのプレイと同じくテクニカルに陥ることなく程良い内容だ。
<モータヘッドの愛器>や<レミーとロカビリ>というタイトルのコラムや
<来日公演記録 1982 -2015>の資料も興味深い。
一つのアルバムに対して長すぎず短すぎずの文章ヴォリュームも特筆すべきで、
満腹ちょい手前で“もうちょっと食べたい…”と思わせる量の中にアルバムの肝を濃密に凝縮。
スキャンダラスなネタを必要最小限に抑えたことでMOTORHEADの核も浮き彫りである。
MOTORHEADに真正面から誠実に向き合い、
さりげなくロックを感じさせるハードボイルドな文体と
さりげなくドラマチックな構成の文章にも、
MOTORHEADの血が流れている。
読み応え十二分の逸物だ。
★『モーターヘッド伝説』
69ページ。
Amazonキンドルと楽天koboで配信されている。
https://www.amazon.co.jp/dp/B07L5KP2GW/ref=cm_sw_r_tw_dp_U_x_bNNcCbAVQ536T
https://books.rakuten.co.jp/rk/3100a027350a30e190f8d0fbff95569e/
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