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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

HATE ETERNAL『Upon Desolate Sands』

HATE ETERNAL『Upon Desolate Sands』


MORBID ANGELのエリック・ルータン(vo、g)率いる
米国フロリダ出身のデス・メタル・バンドが『Infernus』以来約3年半ぶりに発表したニュー・アルバム。
3~4年のインターヴァルをとりつつコンスタントなリリースを続け、
これが7作目だ。


HATE ETERNAL、
あらためて実にグレイトなバンド名である。
モリッシーのファースト・ソロ・アルバム『Viva Hate』と並ぶクールな“hateフレーズ”だ。
ANAL CUNT
『40 More Reasons To Hate Us』というアルバム・タイトルや
『Defenders Of The Hate』というEPタイトルもファニーだった。

“hate狩り”みたいな世の中になって息苦しい。
“hate”は本来いわゆる人種差別に関係なく最も人間らしいピュアな感情であり、
“hate”を解き放つことで救われるとあらためて知るアルバムだ。


他のバンドのレコーディングも多数手がけている売れっ子で唯一のオリジナル・メンバーの、
エリックが今回も録音とミックスとプロデュースを担当。
今回はエリックのスタジオではなくポーランドでのレコーディングというのも興味深く、
周りの国々から蹂躙され続けたあの国の“血塗られた歴史”もイメージできるほど
研ぎ澄まされた空気に包まれている。

OBSCURAのメンバーだった(2009年の『Cosmogenesis』と2011年の『Omnivium』で演奏)、
ハンネス・グロスマンが新ドラマーとして加入したことも大きい。
NILETRIPTYKONと対バンした2010年のOBSCURA初来日公演時に叩いていた人である。
タメを効かせつつブラスト・ビートをブチ込む引き締まったウルトラ・パワフルなビートで、
HATE ETERNALをさらなるネクスト・レベルへと引き上げた。

メリハリの効いた音作りで適度に抜けがいいサウンドに仕上がっており、
交響楽を凝縮したかの如きドラマチックな展開で荘厳な雰囲気を醸し出す緻密な曲でありつつ、
聴かせどころを設けたソングライティングとリズムのズラしも絶妙なアレンジ・ワークが光る。
MORBID ANGELの流れをくむブラスト・ビート込みのサウンドだが、
マッチョな戦闘的感覚や音詰め込みゴリ押しデス・メタルとは一線を画して凛々しく、
いわゆるメロディック・デス・メタルのスタイルではないにもかかわらず哀悼の旋律が湧き上がる。
アルバムの締めは悼みと痛みと傷みのインスト・ナンバーだ。

歌詞も、
「The Violent Fury」「What Lies Beyond」「Vengeance Striketh」「Nothingness Of Being」
「All Hope Destroyed」「Portal Of Myriad」「Dark Age Of Ruin」Upon Desolate Sands」
「For Whom We Have Lost」
といった曲名からイメージできるデス・メタル・ワールドそのもの。
抒情詩と叙事詩がブレンドしたかのようで、
開かれた視点だから内向きに陥らずに普遍的に捉えられる内容だ。
もちろんポリティカルな歌詞ではないが、
中東やアフリカ、アフガニスタンやパキスタンなどの現在進行形の受難や惨劇が思い浮かび、
極限状況の厭戦…いや厭世の心象風景である。

SOULFLYやSIGHの新作も手掛けたliran Kantorのジャケット画もフィットしたオススメ盤。


★HATE ETERNAL『Upon Desolate Sands』(SEASONS OF MIST SOM505D)CD
12ページのブックレット封入のデジパック仕様の約39分9曲入り。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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