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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

S.D.S/MISERY split CD

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日米のメタル・クラスト系ハードコア・パンク・バンドのS.D.SとMISERY
6曲ずつ提供した1992年1月リリースのスプリットLPの初CD版。
当時からイージーな音源発表とは一線を画していたS.D.S絡みの作品だけに
今回も音やアートワークもこだわりの仕上がりで、
どちらも“代表作”の一つと言い切れる初期レコーディングのグレイト・リイシューだ。


岐阜~愛知周辺を拠点として90年代の初頭~終盤中心に活動していたS.D.Sは、
ANTISECTの『In Darkness, There Is No Choice.』へのオマージュが感じられるジャケットに
『The Future Stay In The Darkness Fog』というタイトルを付けている。
音楽的には『Out From The Void』の頃のANTISECTや初期HELLBASTARDに
1984年頃までのDISCHARGEが突っ込んだかのようだ。
ツー・ビートのファスト・チューンを核にしつつ、
程良くメタリックなギター・リフがリードするミディアム・テンポを効果的に織り込んだサウンド。
アレンジの妙味もあってけっこうヴァラエティに富み、
ラストは6分半にもおよぶ大曲ながらこれまた一気に聴かせる。
ときおり発声に凝るとはいえヴォーカルの気合もバッチリだ。

ミネソタ州ミネアポリス拠点のMISERY側のジャケットには
『Pain In Suffering』というタイトルが描かれている。
最近もMISERYのフェイスブックの更新は時々行われているが、
ギター/ヴォーカルのジョンはここ数年TAU CROSSの方の活動が忙しいと思われる。
それはさておきこのレコーディングは曲も音も実にグレイトだ。
楽曲もアレンジもよく練られ、
もちろんツー・ビート主体ながらアップ・テンポのパンク・ロック・チューンも渋く、
2010年代のMISERYに通じるメロディも滲む曲がまた泣ける。
完膚無きまでにブッつぶれたメタル音が臭うノイズィーなグルーヴがまたたまらない。
複数のメンバーがとるヴォーカルも汚濁テイストでこちらも気合十分だ。


S.D.Sも含めて英語で歌われている歌詞は共に、
82年までのDISCHARGEや80年代のANTISECTのラインのドゥームな意識のポリティカル路線と言える。

音の鳴りへの気遣いもうれしい。
WORLD BURNS TO DEATHのジャック・コントロールが今年リマスタリングを行ない、
ひとつひとつの音の押しが強い仕上がりだ。
ノイズの粒立ちもはっきりと聞こえ、
CDの音の特性を活かしていい意味で磨きをかけた音作りになっている。

パッケージもプラケースではなく“特殊紙ジャケット”だ。
オリジナルLPはシングル・ジャケットだったが、
今回は7”レコードのジャケット大のゲートホールド仕様。
歌詞はジャケットの内側の左右に両バンドに縮小転載されているだけでなく、
LPの歌詞カード大の赤色の紙にプリントされたものが四つ折りで封入もされている。

約40分じっくり向き合って楽しめる聴き応え十二分の大スイセン盤だ。


★S.D.S/MISERY split CD(MCR Company MCR-050CD)CD


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コメント

初期の名曲、"Filth of Mankind"-人種(差別)の汚さ-でのJon Miseryの叫びがパンク度数半端なく、この1曲だけでもこのSplitは元が取れるだろうと思います。後に、ライブバージョンがシングルになったり、曲的にもクラスト黒光りアルバムナンバーワンであろうファーストアルバム、"Production Through Destruction"に入っててもおかしくないだろうと思います。今回リマスタリングでリバーヴを薄くかけたようで、この曲のヴォーカル部分は聴こえにくくなっています
。中古で出回っているCD、"Early Years"か
セカンドのオリジナルにボーナスで収録されているので聴き比べもありかと思います。他の曲もリバーヴが上手くハマった曲はMISERYの引き出しの多さが、変態的に聴こえる気がします。MISERYの今後の再発にも期待しています!

行川さん、最近辛そうですね。
大丈夫ですか?

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます。

>LIFEさん
「Filth of Mankind」はバンド名になっているほどの名曲ですね。他の曲もそうですが、単にポリティカルというより人類に対する思いが歌詞に感じられるのもMISERYの良さでもあり、そこも深いです。そのあたりもAMEBIXに通じるかなと。
楽曲もシンプルすぎず、まさに引き出しが多いですね。ミュージシャンシップも高くてジョンがTAU CROSSのメンバーになったのもうなずけます。
オリジナルLPのヴァージョンと聴き比べたら別物と思うほど違ったのは今回のがCDのためかとも思いましたが、MISERYサイドの曲がそういうCDにも入っていたとは知りなかったです。見つけたらそれらのCDとの聴き比べチェックしてみます。

>柿崎さん
気遣いありがとうございます。ロックと映画のある種の先生でもあった高校時代からの親友が1年前に亡くなったことも色々なことに拍車をかけたかなと思います。
水泳やっている時にわかりやすいのですが、心がダメな時は体がちゃんと動かないです。でもやっぱり体が動かないと心への影響大でしょうから、まずは体をビシッ!とキープ。もっともっと色々なものや人からインスパイアされて気持ちも高めて鍛えて、がんばります。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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