なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ARMORED SAINT『La Raza』

AS_LaRaza_Cover.jpg


LA出身の5人組のハード・ロック/ヘヴィ・メタル・バンド、
ARMORED SAINT(アーマード・セイント)が10年ぶり出した6枚目のオリジナル・フル・アルバム。
2004年4月の“エクストリーム・ザ・ドージョー Vol.10”で日本ツアーを行なった時の、
ANTHRAXのヴォーカリストとベーシストを務めた二人が在籍ということでも知られているだろう。


ARMORED SAINT は82年からやっているバンドだが
ジョン・ブッシュ(vo)がANTHRAXのフロントマンになった90年代の前半から活動が断続的になる。
ジョンは10数年コンスタントにANTHRAXで歌ってきたが、
ANTHRAXが“黄金時代”のメンバーでの再編ツアーをしたここ5年ぐらいの両者の関係は微妙だ。

ハード・ロック/ヘヴィ・メタル界隈のバンドでは、
それこそ70年代のDEEP PURPLEから始まってヴォーカリストの人事異動はわりとよく行なわれている。
ヴォーカリストがリーダーシップを握ってないバンドが意外に多いということも示す事実だ。
ANTHRAXも初期からそういった“伝統”を引き継いでいる。
ジョン・ブッシュがいいように使われていると思っているのは、
彼らを「不誠実」と言う本人だけではないだろうし、
色んな意味での“あいまいさ”は音楽性の変化も含めたANTHRAXの姿勢を象徴しているとも思う。

逆に言えばジョン・ブッシュはANTHRAXとの確執もエナジーに昇華して本作にフィードバックさせた。
メンバーの入れ代わりの激しいANTHRAXとは対照的にARMORED SAINTは、
白血病で他界したギタリストの一人以外はオリジナル・メンバーという強みを活かしている。
歌詞を見るとこの快作が生まれる背景には様々なドラマがあったとも想像できるのだ。


ANTHRAXを思わせるメタリックなリフも聴けるが、
ヘヴィ・メタルというよりはハード・ロックという言葉が似合うアルバムだ。
アルバム・タイトルはスペイン語だが、
メンバーの半数がメキシコ系ということでラテン音楽テイストの曲では、
ゲストがコンガやテレミン、プリミティヴなパーカッションも挿入している。

何しろぶっとくて豪胆な音はブルースの肉汁混じりである。
だからといって60~70年代回帰のやつじゃなく確実に現在進行形の音だ。
押しと引きのあんばいが絶妙で
酸いも甘いも噛み分けた楽曲もじっくりと深いところを突いてくる。
激しく突けばイクとは限らない。
ライヴで暴れてナンボの今時のメタル/ハードコアみたいなのじゃないが、
ずーっと思い切り手足腰首を動かしたいんだったら水泳やった方がずーっといいわ。

地に足の着いた自己表現は強い。

たとえば中途半端にノイジーさを“売り”にされても閉口する。
ノイズは日本のリアル・ノイズ・バンドの非常階段が極めているし、
なによりわざとらしいのが嫌。
結局音楽を好きじゃないんだなと思ってしまうし、
底の浅さに悲しくなる。
底が見えないものが音楽だし表現だから。


『La Raza』はベーシストのジョーイ・ヴェラのプロデュース。
むろん各パートのバランスを考慮したサウンドのバランスになっているが、
さりげなくファンキーで強靭なグルーヴ感に貫かれたベースが目立つのがうれしい。
助っ人だったにもかかわらず冒頭のANTHRAXの来日公演でも目立ったバッキング・ヴォーカルも披露。
録音やミックスなどのレコーディングの実務面でもジョーイが重要なポジションを担っている。
曲もすべてジョーイ。
歌詞はすべて頭剃ったフツーのおっさんなルックスで渋く熱い歌唱で塗りこめるジョン・ブッシュが担当。
要するにANTHRAX参加組が中核になったアルバムだが、
やっぱりこっちの方が伸び伸びとしているのであった。


★アーマード・セイント『ラ・ラザ』(メタル・ブレード・ジャパン MBCY-1123)CD
落ち着いたデザインの6ページのブックレットが封入されたデジパック仕様の約52分10曲入り。
歌詞の和訳付だ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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