fc2ブログ

なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

黒岩あすか『光与影』

黒岩あすか『光与影』


​1996年2月10日大阪生まれのシンガーソングライターの黒岩あすかが、
『晩安』以来の約2年ぶりのセカンド・アルバムを2枚に分けてリリースしている。
本作はそのうちの一つの独演盤だ。


2015年にクラシック・ギター弾き語りを始めた人だが、
そのスタイルに留まらない10曲が呼吸をしている。
自作自演歌手というだけでなく、
さらに演奏者としても作曲家としてもささやかな魅力いっぱいのCDなのだ。
今回はピアノとギターをほぼ半々の割合で弾き、
弾き語りとインストがほぼ半々の割合でアルバムを構成している。
ゆっくりと、ゆっくりと、すべてが、生々しく、静かな、“歌”である。

こわれもののようで、
おくゆかしく力強い。
6分台の2曲も一気に聴かせる吸引力がある。

ピアノ/ギター弾き語りは息をするような歌唱で、
やっぱりやっとのことで声を出している感じに聞こえ、
耳を傾けている方が息を吞むほどだ。
インストの演奏もミニマルで、
ギターのインストは揺らぎ切なく、
ピアノのインストは目が覚めるほど凛としている。
インストかと思いきや終盤に語りが入る曲では、
彼女にしては饒舌な表現が躍る。

飾りは要らない
歌詞も簡潔だが、彼女の音楽のイメージが伝わってくる曲名も、
「渦」「漂泊の城」「夏」「洞窟」「日常」「風花」「温和」「影」「季節」「光」
といった具合にほとんどが一つの言葉。
“さんずい”の部首の漢字を含む曲名が半数近くを占めるのも興味深い。
ファーストの曲名も“水”に関連する曲名が多かったが、
今回は、より透明で、深く、広く、
そして大きい。

もちろんいかにもの前向きな歌詞ではないが、
ヴォーカルとピアノとギターの肯定の響きに包まれている。
曲によっては聖歌にも聞こえる。

つつましやかで、
“出来合いのエモーショナル”から限りなく遠く生のまま。
やっぱり一度耳にしたら一生忘れない音楽だ。


★黒岩あすか『光与影』(ギューンカセット CD95-79)CD
黒岩の手書き書体で歌詞とクレジットが綴られた8ページのブックレット封入の
約40分10曲入り。


スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事へのトラックバックURL
http://hardasarock.blog54.fc2.com/tb.php/2166-caaad7dd

 | HOME | 

文字サイズの変更

プロフィール

行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (16)
HEAVY ROCK (275)
JOB/WORK (450)
映画 (396)
PUNK ROCK/HARDCORE (0)
METAL (58)
METAL/HARDCORE (53)
PUNK/HARDCORE (512)
EXTREME METAL (152)
UNDERGROUND? (199)
ALTERNATIVE ROCK/NEW WAVE (160)
FEMALE SINGER (51)
POPULAR MUSIC (42)
ROCK (101)
本 (13)

FC2カウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QRコード

Template by たけやん