なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

ACID EATER、奇形児、VIVIAN BOYS、NOISE A GO GO'S at新大久保EARTHDOM 2010年4月17日

ACID EATER


90年代のライヴ企画の“異形の王国”や“PARANO EAR”、“PIN HOLE”からの流れを感じさせ、
身内ブッキングとは違う挑戦的な姿勢で臨む“SILENT RUNNING”の VOL.17。
ACID EATERの新作レコ発ライヴ“Black Fuzz On Wheels RELEASE PARTY!!!!!”でもあった。
ガレージ・パンク/ロックンロールの“アウトサイダー”たちに奇形児が混ざった感じだが、
普段一緒にライヴをやる機会があまりないであろうバンドたちにとっても刺激的だろうし、
観る側にしても新鮮で気が抜けないのも気持ちいい。


NOISE A GO GO'Sからスタートしたが、
関東在住の他のメンバーとは違って岡山在住のマモル(vo)はプライヴェイトな事情で残念ながら欠席。
以前そういうことがあった時はDIE YOU BASTARD!のヴォーカルが助っ人を務めたが、
この日は関東のグラインド・コア・バンドREALIZEDでもフロントに立った男性がヴォーカルだ。
ヘルパーではあったがビシッとヴィジュアルもキメ、
装飾されたマイク・スタンドを握りしめて歌いつつアクションもキメていた。
キメていてことが逆にまた、
グラインド・コア上がりならではのブラスト・ビート込みのロックンロールに宿る、
NOISE A GO GO'Sならではの素敵な“マヌケ感”を増幅していたのであった。


続いては殺害塩化ビニール・レーベルの看板バンドだった猛毒の元ギタリストを含むVIVIAN BOYS。
CDも印象的な出来だったが初めて観たライヴもメチャクチャくすぐられるものだった。
本人たちは無意識だろうが、
洋楽を日本でやるみたいな日本の伝統的“ガレージ・パンク・シーン”とは一線を画している。
正統派という言葉ほどウサン臭いものはない。
パンクに正統派なんておかしくないか?なんてことをあらためて思わせてくれた。

かといってテキトーにノイジーなことをやっているわけではなく、
ベーシックなスタイルをビシッと踏まえている。
にもかかわらずヘンテコなのは天然であり何気に磨いてきたセンスだろう。
メンバー3人とも歌うヴォーカルのコンビネーションも素晴らしく、
リード・ヴォーカルをとるのはギタリストとドラマーだが、
女性ならではのブレイク感も気持ちいいリズムのビートを刻みながらクールかつ初々しく歌う、
ドラマーの存在が引き締めていた。
JAMのカヴァーでもお馴染みであろう、
モータウンのMartha Reeves & VANDELLASの「Heat Wave」の日本語リメイクは、
特に彼女のヴォーカルが抜け切っていて絶品だったのである。


3番手は奇形児だが、
開演前にヒロシマ(ds)に確認したところオリジナル・ベーシストのタツシは脱退しているとのこと。
演奏面はもちろんのことタツシのあのまったりしたルックスあってこその奇形児だとぼくは思っていたから、
ヴィジュアル面での損失も計り知れず残念極まりない。
だが、ここは頭を切り替えてこの現実を受け入れなければ先に進めない。
男でも聴いていたら濡れるヤスのヴォーカルも、
変幻自在でシャープかつ艶めかしいヒロシのギターも、
腰が強く鬼神の如きストロングなヒロシマのドラムも、
奇形児を奇形児たらしめる。
何しろ命を削って出しているみたいな彼らの響きに底知れぬ“生”が渦巻いている。
この晩は、
ハイテクノロジースーサイドやQP-CRAZYなどで演奏してきた、
ツージーQ(b~ツージーズ)とプロレタリアート本間(kbd~殺<KILL>)という、
二人のペルパーの助力を得てステージに立った。
曲を覚えきれてなかったのか危ういところもあったが、
正式メンバーではないとはいえ太いベース・ラインも奇形児に新たな息を吹き込んでいた。

80年代からお馴染みの曲は2曲のみだったが、
「白痴」は前身バンドPSYCHI時代の曲だから昔の奇形児の曲は「情狂」だけ。
そういうセットリストにも表れていたようにとにかく前に進もうとする意思がみなぎっていた。
以前やり始めた頃は新曲をやる際に気負いも感じたが、
今やアップ・テンポの曲もスロー・ナンバーも現在の奇形児のはらわたになっている。
大学のサークル活動の延長みたいな“仲良し倶楽部”のバンドとの次元の違いにあらためて痺れた。
馴れ合うことを必要としない覚悟を決めた孤高の自己表現にビリビリ震えた。
満を持したリリースを、しかし早いリリースを、望むのはぼくだけではないはずだ。


トリはベースレスの4人組のACID EATER。
ライヴは初めて観たが、
久々に見たフロントマンの山崎マゾ(vo、Sound Effects)のパフォーマンスに感慨深いものを覚えた。
腰まで伸ばしたストレートのロング・ヘアーで青ざめた顔色の、
鬱なイメージで際立った90年代のMASONNA時代とは打って変わり、
肩の長さまで切った髪でサングラスとレザー姿でステージに登場してロックンロールなステージングを展開。
ダークな雰囲気は残し、
ノイズ・ライヴに新風を巻き起こしたMASONNAでのジャンプ!の流れをくむ客との積極的な絡みだが、
開放的なステージングで押していったのだ。

彼のヴォイスもMASONNAでのショートカット高速激烈ノイズに拮抗するナマな阿鼻叫喚の反動か、
70’sパンク的なシャウトで進める。
60年代のガレージ・パンクがタイムスリップしてきたみたいに、
ベースの音域をキーボードで出しつつノイズすれすれの爆音で曲をリードするオルガンと、
どうしたってシューゲイザーみたいに上品にはなれないファズ・ギターと、
硬いリズムのドラムもいかがわしく攻め抜く。
キッチュな香りを漂わせながらも様式美逸脱のハードなガレージ・サウンドは、
一日の長あり!の佇まいでエクスタシーに達した幕切れだった。


個々の演奏時間も10バンドとかで出るライヴよりも長めでひとつひとつバンドがじっくり味わえ楽しめた。
やっぱりThe STALINの曲じゃないが“ゴキブリみたいに数だけ多”ければいいってもんじゃない。
たくさん出演するとひとつひとつに対してしっかりと向き合え切れず音楽に真剣なバンドに失礼になるから。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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