柳川芳命+藤田亮 デュオ'19『BURAIHA』
2019-12-21

名古屋拠点に70年代の後半から活動を続ける“フリーフォーム・サックス奏者”の柳川芳命と、
クラスト・パンク出身の大阪で生まれたドラマーの藤田亮が、
2019年の9月28日に滋賀県近江八幡の『酒游舘』で行なったライヴを収めた作品。
約1年前の『無頼派二重奏』に続く実質的な2作目で、
CD-Rのフォーマットながらパッケージも含めて丁寧に作られ、
奥行きも広がりも極上の痺れる響きの音の仕上がりである。
二人が演奏している姿勢からドラム・キットのセッティングまでもが見えてくるほどだ。
インプロヴィゼーション29分強の“1トラック”勝負。
二人が火花を散らして渡りあうというよりは
適度に距離を置きながらじっくりと対話している様相だが、
息を呑むほどの張りつめた空気に覆われている。
静寂のオープニングの2秒で身が引き締まり姿勢を正される。
フリー・ジャズに特有のスピードアップ演奏がほとんどないのも自然な営みの結果だろうが、
そもそもフリー・ジャズとは一線を画す。
あたたかくも物哀しく野太く艶やかというより艶っぽい音で悠々と吹かれるサックスも、
シンバルを多用して空間を斬るストイックな音出しのドラムスも、
研ぎ澄まされた歌心のデリケイトな音の調べの持続。
大胆かつ繊細というフレーズも陳腐と化す、
まさに地を這う演奏。
飄々とした走りでゆっくりとドライヴしながら、
ゆっくりと加速していく。
作品タイトルどおりの無頼音楽である。
“無頼”という言葉も色々な解釈があるが、
“正業に就かずに無法な行ないをすること”に加えて
“頼みにするところのないこと”という意味もある。
本来パンクが無頼であることを思い起こさせ、
頑固な風情の中から酒の匂いがほのかに漂ってくるところも好きだ。
それにしても本作の名義の末尾に付けられた“’19”は最近のモーニング娘。を意識したのだろうか。
だとしたらそれもまたなかなかキュートである。
★柳川芳命+藤田亮 デュオ’19『BURAIHA』(Buraiha-02)CD-R
ていねいな作りのミニ・ポスター状のジャケットで帯付き。
↑の画像はジャケットの表を開いた状態で、
右側がアルバム・カヴァー、左側がアルバム・バック・カヴァー。
https://www.facebook.com/rfujita3
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