なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

NILE『Those Whom The Gods Detest』

Nile_Those_Whom_The_Gods_Detest.jpg


古代エジプトからのインスピレーションをデス・メタルに託す米国南部サウス・キャロライナ拠点のバンド、
オリジナル・アルバムとしては約2年半ぶりの6作目である。
欧米では昨年11月にリリースされているが、
6月の日本ツアーを前にして遂に日本盤も発売となった。

彼らにしては比較的聴きやすかった前作『Ithyphallic』との反動か、
暴虐の物語が歌詞だけではなく音と曲でも綴られる。
メンバーは変わらず基本的にはトリオ編成でレコーディングし、
NILEの元メンバーの3人もゲスト・ヴォーカルで参加。
これまでのNILEを凝縮して先に進まんとする意志がみなぎるグレイト!な作品だ。


ブラスト・ビート込みで神話的な匂いが漂う曲にはMORBID ANGEL直系だが、
古代からエジプトで絶えず流されてきた血のエキスが潤滑油となって滑らかに展開する。
複雑だが耳に残る楽曲のクオリティが高く、
初期からNILEのアルバムを聴き進めていくと奥深い作曲技術の向上を痛感するしだい。
曲にフックがあり、
それでいて五線譜の上で音符が血と血で争っている様子も見えてくる。

80年代初頭にHALL & OATESの大ヒット作を手がけたニール・カーノンが今回もプロデュースしたが、
エリック・ルータン(元MORBID ANGEL、現HATE ETERNAL)がドラムの録音に手を貸している。
ひとつひとつの音がしっかり聞こえてくるからこそ厳粛に引き締まっているのだ。

気合五割増しの筋肉質のツイン・デス・ヴォイスと撲殺せんばかりの勢いのブラスト・ビートで追いつめ、
スロー・パートはまるで生きた人間の首をノコギリでゆっくりと切り落としていくみたいである。
様々な責め苦が味わえるアレンジ・ワークにより最初から最後までアレンジ・ワークで飽きさせず、
エジプトっぽい旋律のエレクトリック・ギターやアコースティックな弦楽器の調べ、
ドラム以外の銅鑼などの打楽器の音も聞こえてくる。
民俗音楽色の強いリーダーのカール・サンダース(g、vo)の2枚のソロ・アルバムにも参加した、
ゲスト・ヴォーカルのマイク・ブレジールによる摩訶不思議な詠唱も不気味だ。

古代の戦いをイメージさせる音像であり祭祀的なムードの中で残虐なロマンがあふれ、
滞りなく行なわれる1時間に及ぶ拷問の儀式。
これは空想ではない。
現代も変わってないことを提示するリアリズム。
獰猛な音塊に宿るブルータルなインテリジェンスもギラリ!と黒光りするのであった。


★ナイル『神に嫌われし者たち』(よしもとR&C YRCG-90037)CD
歌詞と膨大な言葉数の曲解説が載った20ページのブックレット付。
日本盤は本編の曲のインスト・ヴァージョンを2曲加えた64分12曲入りだ。
ヘヴィ・ローテーション、オススメ。


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コメント

きみは彼らの暮らしなんか何一つ知らない
きみにはとても耐えられないような場所に住んでるんだよ
彼らの寝る様を思い描くだけで寒気がくるだろ
でも、きみはまるで僕の傍らに立ってるみたいに書き綴るんだね

読者が行川和彦に会う
なにか意味ある話が聞けるんじゃないかと期待して
でも、がっかりさせられるかもしれないよ
耳に入ってくるのは自己弁護の言葉ばかりで
彼は言う、私が泣く姿を見る者は誰もいない

きみは彼らの人生について何も知らない
ドールは彼らを救いはしないんだよ、ドールは繁栄していかないんだよ
そして、もし今夜ここで喧嘩が始まったら
最初に逃げるのはきみだ、きみはそういう人だもの

ディスク・ガイドが出版されても地上の誰一人とて変わりはしない
どのでっち上げ記事で書いたことも一瞬で過ぎ去って
どだいそんなもの存在しなかったんだと言い張るんだ
それとも、ぼろぼろの人生を抜け出した経験が
きみに一度でもあるというの

ゴマスリ記事で安全に身を固めて
現実の最前線から遥か遠いところで
きみは悲しい声を耳にして
いろいろ想像しはじめる
更にウソを書き連ねるためなら、どんな言い訳だって

Great!!

ホント笑っちゃうくらいスゴい!!演奏も過激さも見事だけれど、何と言っても純粋に曲が良いですね。

etakuさん、書き込みありがとうございます。
パンク・ロックでもエクストリーム・メタル系でも曲作り大切さを最近あらためて痛感します。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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