なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

EXTREME the DOJO vol.24(MUNICIPAL WASTE、WARBRINGER、TOXIC HOLOCAUST)at渋谷クアトロ 5月12日

VOL24.jpg


2001年から続行中のエクストリーム系を中心にしたメタル・ツアー・イベントの24回目である。
今回は“スラッシュ”がキーワードと言える米国の3組が集結。
開場は7~8割ぐらいのお客さんで埋まっていて推定男女比は9.対1で当然ほのかにメタル汗臭かった。


まずは北東部のオレゴン州ポートランドを拠点とするTOXIC HOLOCAUSTの3度目の来日公演である。
正確にはバンドではなくジョエル・グラインドのユニットとはいえライヴもよくやっていて、
以前の来日公演では日本のABIGAILのメンバーがサポートしてライヴを行なった。
今回はアメリカなども回るツアー・メンバーによる“バンド”での初の日本ツアーだが、
はっきり言ってこの3人ですぐ次のアルバムをレコーディングすべきだ。
それぐらいコンビネーションがパーフェクトだったのである。

ベーシストもドラマーも必死の形相で演奏してジョエルをバック・アップし、
TOXIC HOLOCAUSTを百万倍パワーアップさせていた。
『Iron Fist』までのMORTORHEAD的なパンク・テイストのリズム・セクションも功を奏し、
いい意味でベーシックなハードコア・パンクのライヴみたいだった。
潔く同じような曲が続くところもひっくるめてなのだが、
反復の中に微妙な違いを付けていてこっちは麻痺していくのだ。
ジョエルがCELTIC FROSTのTシャツを着ていたことが象徴するように
極初期のブラック・メタルやメタル・クラストの匂いがムンムンの音だが、
『Crossover』以降のD.R.I.を思い出すギターの刻みも感じられたりもした。
そもそもお客にサークル・モッシュを指示していたのだから不思議はない。

他の2バンドと違って浴びるようにビールを飲むことはなくミネラル・ウォーターで喉を潤し、
MCもほとんどなく黙々と曲を続ける。
そういうストイックなところもまたハードコアっぽくてクールであった。
ステージではヴォーカルもヴィジュアルもEXTREME NOISE TERRORのディーンも彷彿させたジョエルだが、
帰り際に立っている姿を見たらえらくかわいくてそのギャップも素敵だったのである。


2番手のツイン・ギターの5人編成のWARBRINGERは、
カリフォルニアの太陽を浴び続けてイカれた如きアメリカン・スラッシュ・メタル全開だ。
METALLICAやSLAYERみたいに長い曲やミディアム~スロー・テンポのパートをガンガンやるわけではなく、
あくまでも簡潔。
とはいえパンク・ロック風味は薄くメタル度高いサウンドで、
セカンドをプロデュースしたゲイリー・ホルトが率いるEXODUSの初期をはじめとした、
ベイ・・エリア・スラッシュ・メタルも彷彿とさせる。
乾いたドラムの音は好みが分かれそうだが、
イケイケでアゲアゲでギラギラしたシンガーがいい味を出していた。
髪型や顔の骨格などMETALLICA加入まもない頃のジェイソン・ニューステッドを思い出したが、
ヘヴィ・メタル伝統のくどいMCといい執拗なエア・ギターといい、
素敵なほど暑苦しかったのである。


同じく初来日の東海岸ヴァージニア州リッチモンドのMUNICIPAL WASTEはトリの風格を感じさせた。
けどまずシンガーが着ているTシャツが気になった。
カリフォルニアのDOUBLE NEGATIVE、
前ドラマーのブランドンのNO WAY Recordsからアルバムを出しているハードコア・パンク・バンドだ。
今も変わらぬそういうつながりっていいなぁと思ったしだいである。
MCではジョージ・W・ブッシュ前アメリカ大統領に言及もしていたが、
いまだにブッシュをネタにしているところが素敵で、
やっている音楽と同じく言いたい主張も流行りすたり関係ないのであった。

むろん基本はパーティ・スラッシュである。
テクノとかいわゆるクラブ系のパーティはどーでもいいが、
こういうパーティは大歓迎だ。
といってもMUNICIPAL WASTEは単なる馬鹿騒ぎバンドではない。
音出しは恐ろしくストイックだ。
贅肉が削ぎ落とされている。
デイヴ・ウィッテ(元DISCORDANCE AXIS~BURNT BY THE SUN)のドラムをはじめとして、
演奏は頑固な職人みたいである。
だからこそ研ぎ澄まされた必殺スラッシュ・チューンが繰り出せるのだ。
音同様にヴォーカルもハードコア・パンクとスラッシュ・メタルのクロスオーヴァーで
D.R.I.やATTITUDE ADJUSTMENTやS.O.D.などの野放図なシャウトを2010年に加速させたものだった。

当然パーティにはビールが欠かせないのだ。
ステージに出てきた瞬間にシンガーとギタリストの腹を見て予感はしたが、
ビールの消費量もこの日の3バンドの中でも圧勝で、
栓を空けた缶ビールをお客にガンガンガンガン放り投げて供給していた。
お客のノせ方も実に上手い。
サークル・モッシュは言わずもがな、
お客を左右に分けて曲が始まったらぶつかりあってモッシュする“ウォール・オブ・デス”も指示。
クアトロでこれほどステージにお客が上がったのを見たのは何年ぶりだろ・・・・と思ったほど、
ステージ前のセキュリティの堤防が決壊したかのように次から次へとお客のダイヴも続いた。
そのすべてがオーガニックと言えるほどナチュラルで美しかった。
MUNICIPAL WASTE、恐るべしである。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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