INCAPACITANTS/K2『we are all stupid』
2020-07-27

日本のベテラン・ノイズ・ユニット2組のガチンコ対決盤。
もともと1998年にギリシャのレーベルからCD-R作品としてリリースされたアルバムだが、
これは新アートワークのデジパック仕様で数か月前にCDリイシューされたものだ。
INCAPACITANTSもK2も単独プレイでの15分強の曲を提供し、
最後に1997年の東京・三軒茶屋ヘヴンズドアでの合体ライヴが34分強収録されている。
英国のWHITEHOUSEをはじめ性的なテーマを打ち出すノイズ・ユニットは少なくない。
ノイズのそういう“伝統”を意識したのかどうかは定かではないが、
普段あまり“そういう匂い”を感じさせない2組が
本作ではいつになくエロいイメージを喚起させる曲名で勝負している。
デュオのINCAPACITANTSが披露した曲は深読み可能な「Milk & Milk」。
スペーシーな表情もたたえながら鉛色の重厚ノイズがゆっくりと放射され、
やがて音響彫刻みたいな彫りの深いノイズが加速していく。
もちろんノイズの中で溺れながら張り上げる恍惚悶絶ヴォイスもバッチリだ。
ソロ・プロジェクトのK2はモロなタイトルとも解釈可能な「Soap For Wet Vagina」をカマす。
滑らかそうな曲名とは裏腹に硬質ノイズで痛そうなイメージを醸し出し、
しばいているみたいなサディスティック・プレイだ。
加速しつつ断続的にノイズが繰り出されてダブっぽい解体のズタズタ感も聴きどころである。
ライヴは、
INCAPACITANTSの剛腕ノイズにK2の変化球が絡んでINCAPACITANTSが迎え撃つ様相。
・・・という単純なパフォーマンスではないが、
空中戦みたいな戦闘状態から和解・融合していくような流れが見えてきて、
普段はお堅い仕事をしている男性3人ならではの阿鼻叫喚のノイズ宴にも聞こえる。
謙虚なアルバム・タイトルも最高だ。
世界中のみんながこういう意識なら世界中に平和が訪れるかもと確信した。
★INCAPACITANTS/K2『we are all stupid』(NEW FORCES NF092)CD
BASTARD NOISEのメンバーでもあったジョン・ウィーゼがアートワーク担当のデジパック仕様。
計約65分3曲入り。
https://kinkymusik.thebase.in/
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コメント
Milk & Milk
Re: Milk & Milk
美川さん、コメントありがとうございます。
ミルク、なつかしいですね。あの空間でINCAPACITANTSがライヴをやったとは。
こちらこそ、すみません。K2の曲名とリンクして深読みしすぎました。
ミルク、なつかしいですね。あの空間でINCAPACITANTSがライヴをやったとは。
こちらこそ、すみません。K2の曲名とリンクして深読みしすぎました。
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Milk & Milk というタイトルは、今は亡き恵比寿のクラブ Milkでやった二回のライヴの録音を素材にして構築したものということで付けたものです。残念ながらエロティックな意味が込められているようなことは微塵もありません、すみません。