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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『デソレーション・センター』(SONIC YOUTH、EINSTURZENDE NEUBAUTEN、MINUTEMEN、MEAT PUPPETS、RED KROSSらが登場)

『デソレーション・センター』


砂漠など普段催されないLA周辺の場所で80年代前半にライヴを決行していたイベントの
“デソレーション・センター”のドキュメンタリー映画。
本作を上映する映画祭“UNDERDOCS”のパンフレットで原稿を書かせてもらったから、
あまり内容がダブらないように紹介する。

映画の序盤でハードコア前夜のLAパンクからポスト・パンクへの流れや
高圧的な警察に脅かされるライヴ・シーンといった、
デソレーション・センターが立ち上がった80年前後のLA周辺の状況が描かれる。
それから数回分のイベントの様子が映し出されるのだが、
オフィシャル・サイトの映画説明文に細かいことが載ってないからネタバレは最小限にしておく。
一つ書いておくと会場に到着するまでの時間もライヴならではの非日常的な体験が約束されている。
もう一つイイ話だから書かせてもらうと、
砂漠ライヴの発想はヘルツォーク監督の映画『フィッツカラルド』を観てひらめいたとのことだ。

もちろんライヴ・パフォース自体も見どころである。
場というよりまさに“現場”の空気や環境がどれほど観客に影響を与えるかも伝わってくるし、
アーティスト側もいつもと同じパフォーマンスをなぞるだけでしかないライヴとは別次元で勝負。
犯人がわかっている推理小説を読むような一般的なフェスとは一線を画し、
時にスピリチュアルで何が起こるかわからない異次元の“宴”の興奮でいっぱいだ。

MINUTEMENは再編STOOGESでベーシストを務めたマイク・ワット在籍で、
デソレーション・センターの支柱バンドならではの存在感のライヴだ。
MEAT PUPPETSはサイケデリック色濃厚のパフォーマンスで、
RED KROSSもパリパリのパンク・プレイである。

EINSTURZENDE NEUBAUTENは西ドイツからの参戦(↑の画像がライヴ・シーン)。
“廃墟求む”という広告も打たれた1985年の伝説的な初来日公演
(結局東京は当時プロレス会場として知られていた後楽園ホールで開催)の1年前のライヴで、
一般的なステージが似合わない当時の彼らならでは原始的苛烈パフォーマンスに酔える。
SONIC YOUTHはセカンド・フル・アルバム『Bad Moon Rising』(1985年)を出す前で、
当時のSONIC YOUTHのカオティック・サウンドの要だったドラミングのボブ・バートはこの後、
ジョン・スペンサーが率いてメタル・パーカッションも使ったPUSSY GALOREに加入する。
NAPALM DEATHが最近カヴァーしたことでまたひそかに盛り上がってもいるバンドだ。

SAVAGE REPUBLICが観られるのもうれしい。
SONIC YOUTHやSWANSと並ぶジャンク/ノイズ・ロックながら埋もれた名バンドだ。
もう一人デソレーション・センターで欠かせないのがマーク・ポーリーンで、
音楽ではないテロリスティックなパフォーマンスで場を震撼させた。

デソレーション・センターは
BLACK FLAGのグレッグ・ギン主催のSST Recordsとの関係も深かったようだ。
アルバムをリリースしたSONIC YOUTHやMINUTEMEN、MEAT PUPPETSらの出演の他、
元BLACK FLAGのチャック・ドゥコウスキや
レーベルの作品を多数プロデュースしたスポットが談話を寄せている。
BLACK FLAGの曲「Slip It In」にコーラスで参加したスージー・ガードナー(L7)も、
現場にいた一人としてイベントを振り返っている。

コーチェラ・フェスティバルやバーニングマンのルーツであるだけでなく
オルタナティヴ系フェスのロラパルーザにも直結している。
その主催者の一人であるペリー・ファレル(本作ではライヴと談話で出演)が、
JANE'S ADDICTIONやPORNO FOR PYROSで活動する前の時期に
デソレーション・センターの現場にいた事実でも明らかだ。

たやすくライヴができない今だからこそライヴの在り方について触発されるところが多い映画だ。

★映画『デソレーション・センター』
2018年|アメリカ映画|93分|原題:DESOLATION CENTER/© 2018 MU PRODUCTIONS


9月11日(金)から東京と大阪で開催されるロック・ドキュメンタリー映画祭
“UNDERDOCS”の中で公開。
http://underdocs.jp/

イベントの上映作品は以下のとおりだ。
『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』
『デソレーション・センター』
『レディオ・バードマン/ディセント・イントゥ・メールストロム』
『ジョウブレイカー/ドント・ブレイク・ダウン』(以上4作品は日本初公開)
『D.O.A.』
『悪魔とダニエル・ジョンストン』
『AMERICAN HARDCORE』
『ミニットメン:ウィ・ジャム・エコノ』
『ジ・アリンズ/愛すべき最高の家族』
『めだまろん/ザ・レジデンツ・ムービー』
『フェスティバル・エクスプレス』
『地獄に堕ちた野郎ども』
『ザ・デクライン』
『FILMAGE:THE STORY OF DESCENDENTS/ALL』
『ザ・ストーン・ローゼズ:メイド・オブ・ストーン』
『END OF THE CENTURY』
『FUGAZI:INSTRUMENT』
『バッド・ブレインズ/バンド・イン・DC』
『ザ・メタルイヤーズ』
『ギミー・デンジャー』
『ザ・スリッツ:ヒアー・トゥ・ビー・ハード』
『L7:プリテンド・ウィ・アー・デッド』
 さらに“番外編”として以下のロック劇映画も上映される。
『ジャームス/狂気の秘密』
『スパイナル・タップ』
『ヘヴィ・トリップ/俺たち崖っぷち北欧メタル!』


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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