ゲロゲリゲゲゲ『パンクの鬼 シングル集』(THE GEROGERIGEGEGE『Tokyo Anal Dynamite Singles』)
2020-10-29

80年代の半ばから東京拠点に活動して内外から熱狂的な支持を集め続けている、
奇才JUNTARO YAMANOUCHIのプロジェクトGEROGERIGEGEGEのコンピレーション盤。
全音源が初CD化だ。
1987年10月27日ライヴを75曲収めて蛭子能収のジャケット画で1990年に出したCDの、
『パンクの鬼(Tokyo Anal Dynamite)』スタイルのセッションを再編集した作りである。
既発表のEPの曲や未発表曲、新曲で構成。
ほとんどが1985~2001年録音の17トラック表示373曲入りの約76分のCDで、
スドー・トシアキのマスタリングにより
7”EPでリリースした既発表曲もレコードより硬質な音の仕上がりだ。
GEROGERIGEGEGEは様々な音声の作品をリリースしてきているが、
今回のCDは最もGEROGERIGEGEGEからイメージされる音楽スタイルではないだろうか。
それぐらい『パンクの鬼』のサウンドは強烈だった。
基本的には一曲ごとに曲名を告げ、
RAMONESばりに“ワンツースリーフォー!”
(まれに初期PLASMATICSばりの“イチニサンシィ!”)のカウントに続いて
次々と繰り出す“ミニマル・ミュージック”。
もっとわかりやすく言えば曲名のセンスも含めて、
ANAL CUNTのノイズ・グラインド・スタイルの先を行き、
ショート・カット・グラインド・スタイルの時のSORE THROATと共振していた。
過半数の曲は以下のEPのものだ。
ANAL CUNTの2枚の最高傑作EPをはじめ90年代初頭のノイズ・グラインドの牙城だった
英国のPSYCHOMANIA RECORDSからの『SENZURI MONKEY METAL ACTION』(1992年)。
イタリアのS.O.A RECORDSからの『YELLOW TRASH BAZOOKA』(1993年)。
ドイツのA.I.P.Rからの「MOTHER FELLATIO」(1993年)と
「WRECK OF ROCK'N'ROLL FORMER SELF」(1995年)。
ドイツの老舗REGURGITATED SEMENからの「ALL YOU NEED IS AUDIO SHOCK」(1995年)。
特に『SENZURI MONKEY METAL ACTION』が1986年1月11日録音
(レコーディング場所が東京・高井戸福祉センターなのも興味深い)ということに考えれば、、
GEROGERIGEGEGEがいかに早かったかがわかる。
以上の4タイトルのEPも無修正ヴァージョンや新ミックス、
もしくはレコードではA面とB面とで分かれていた間を取っ払った一続きに新調。
EPではアルファベット表記だった曲名が日本語表記になっているものもある。
「First Recording」というタイトルが付けられた1985年の曲もあり、
M.B(26曲)、スターリン、斉藤康彦、日髙のり子の“カヴァー”も聴きどころだ。
未発表曲も含めて、
まさにゲロと下痢がゲゲゲ状態のポーズ一切無しの本気の声と音。
CDのほとんどを占める妥協無しのノイズ・グラインド群は言わずもがな、
各トラック間に挟み込んだ小曲とCD締めの曲も粋だ。
いわゆるレア・グルーヴっぽいサウンドのオープニング・ナンバーも異色で、
多数の豪華面々の声を次々と入れるミックス・センスにもうならされる。
そういうところもひっくるめてまさにパンク。
大スイセン。
★ゲロゲリゲゲゲ『パンクの鬼 シングル集』(VIS A VIS VCD32)CD
うならされるフレーズ連発の“すべての曲の曲名”、今回のCD本体のジャケットと同じくYKOYKOの画の“すべての新デザイン・ジャケット”、
レコーディング・テータ等で彩った12ページのブックレット封入。
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