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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

シンクロナイズ、ザ・スカーレッツ『An afterimage- Synchronize to The Skarlets』

シンクロナイズ


1978年に結成して東京拠点に活動したポスト・パンク系バンドのSYNCHRONIZEと、
“後身バンド”のSKARLETSの音源を収録した計223分強の3枚組CD。
80年リリースのオムニバス・アルバム『都市通信』に提供した3曲が
そのヴァージョンのみならずライヴ・テイクでも収録されてないが、
未発表曲たっぷりである。
スタジオ録音はもちろんのことライヴ録音も音質問題無しの全43曲入りだ。


14曲入りのディスク1には、
当時の7”シングルの「訪問者」(1981年)と「PRIEST」(1983年)に加え、
1980~1984年の4回分のスタジオ録音が収録されている。
ミニコミ「ニュー・ディスク・リポート」の付録ソノシート用に録音された3曲と、
アルバム『ポーラー・ソング』用に録音された5曲も含まれているようだが、
それらの曲は言わずもがな他のスタジオ録音の曲も音質良好。
“ファースト・アルバム”とも言いたくなる仕上がりだ。

ほとんどの曲は日本語の歌をはっきり聴かせるヴォーカルが前面に出ているから
“日本語ロック”のイメージも強いが、
ところによって歌い方が突然段ボールを思い出すなど一筋縄ではいかない。
1980年の録音はネオ・サイケがかったポスト・パンク・スタイルだが、
アップテンポの曲はけっこうパンク・ロックっぽい。
とはいえ高揚感とは距離がある意気揚々とクールな佇まいで一貫している。
鍵盤楽器等を演奏するメンバーも在籍して83年以降は生ドラムではなくドラム・マシーンを多用。
曲によっては中期以降のJOY DIVISIONや初期NEW ORDERが頭をよぎり、
DURUTTI COLUMNがもっとロックしているような曲もあり、
けっこう英国マンチェスターのFACTORY Records周辺の感覚にも通じる。
インディペンデントなポジションならではの凝ったスタジオ録音なのだ。


ディスク2は
1980~1986年の11回分のライヴから抜粋した14トラックにデモ1曲を加えた構成。
やはりライヴはラフなプレイでパンク・ロックの感触も強い。
もちろんパワー・コードで押すサウンドではないし、
そもそもギターで押していくスタイルないが、
キーボードを入れようがドラム・マシーンを使うようになろうがパワフルだ。
日本語をしっかり発音してもヴォーカルはいい感じで粗削りに迫り、
MIRRORSをはじめとする70年代末~80年代初頭の東京ロッカーズ周辺バンドを想起。
ネオサイケ~ポスト・パンクと呼ぶには無骨なのだ。


ディスク3は、
末期SYNCHRONIZEのメンバー4人が“結成”したSKARLETSの音源集。
1987年のカセット作品『Skarlets』の4曲、
ベーシストが変わって作った1989年のカセット作品『Liverpool』の4曲、
1990年1月の福生チキンシャックでのライヴ6曲で構成されている。
メンバーがダブっていたとはいえ改名したのがうなずける音楽性だ。
よりドラム・マシーンらしいビート感の曲も多いとはいえ、
よりヒューマンなぬくもりを感じさせる。
メロウな歌ものとも言いたくなるが、
鍵盤楽器が寄り添ってSYNCHRONIZE時代よりもバンド感が増したようにも思える。
日本語をはっきり発音するヴォーカル・スタイルをキープしつつ、
もともとのまっすぐ歌唱が自然な進化と深化を繰り返してまろやかな旨味も呈し、
スケールが大きいのだ。
カセットでのリリースだったにもかかわらずこちらもスタジオ録音はかなり凝っていて、
メジャーのレコード会社からリリースされてしかるべき音楽・・・・
いやインディ・ブームの時代だったから逆にメジャーの会社だと丁寧に仕上げられず雑に扱われそうで、
こんなにデリケイトなアレンジや音作りはできなかったとも想像できる。
ライヴ・テイクはやっぱりパワフルでヴォーカルも力強い。


すべてラヴ・ソングに聞こえる歌詞も特筆したい3枚組だ。


★シンクロナイズ、ザ・スカーレッツ『An afterimage- Synchronize to The Skarlets』(いぬん堂 WC-095~097)3CD
歌詞等が載った16ページのブックレットと、
コサカイフミオ執筆のライナーが載ったインサート封入の
四面デジパック仕様。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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