OLEDICKFOGGY(オールディックフォギー)『夜明け来ず跪く頃に』
2021-04-14

2003年結成の東京拠点のバンドOLEDICKFOGGY(オールディックフォギー)が、
1年3ヶ月ぶりに出したニューCD。
約30分7曲入りというヴォリュームでも聴きごたえありありの快作だ。
6人編成で使用楽器は、
マンドリン、エレクトリック/アコースティック・ギターエレクトリック・、ベース、バンジョー、
ドラム、アコーディオン/キーボード。
ベーシストが変わって、
ウッド・ベースからエレクトリック・ベースになり、
ある種のドローン風の音の連なりで今までとは一味違う音のラインを曲に付けている。
最初の3曲は須藤慈郎(g)、
4~6曲目は全曲の作詞もしている伊藤雄和(vo、マンドリン)
最後の曲は大川順堂(ds)の作曲。
小気味いい佳曲が連発される。
すがすがしく切なくなつかしい感じのメロディの曲ばかりで、
いい意味で“1970年代と昭和50年代”の間の歌謡曲の風情を感じさせ。
その頃のテレビ・ドラマの主題歌も思い出すフックたっぷり。
吉田拓郎をはじめとする70年代の日本のポピュラーな“フォーク・ロック”も思い出すが、
メランコリックな曲でも音にはパンク・ロックのダシが効いている。
クリアーで抜けのいい音質も楽曲の良さをを際立たせ、
パワフルな音でありながらデリケイトなアレンジがまた絶妙だ。
もちろんマンドリンとバンジョーがOLEDICKFOGGYのサウンドの特徴になっていて、
『The Album』『All In Griffin』の頃の大阪のGRIFFINが
柔らかくなったようなサウンドでもある。
鍵盤楽器が味つけの鍵を握り、
ほどよくルーズ&タイトなドラムのビートと渋いギター・ソロもいい味を出し、
まったりした曲もパーカッシヴに迫る。
と同時にIRON MAIDENをイメージするフレーズが耳に残る曲や、
変拍子プログレ風のリズムを組み込んだ曲など聴きどころ満載。
コーラス・ワークも曲の物語に合わせて多彩で、
鍵盤楽器担当の女性メンバーによるものと思しき語りも実にナイスだ。
曲によってさりげなく凝ったSEっぽい音声で始めるところも心憎い。
「逃げれない」、
「東京」、
「蟻」、
本作の歌詞に一人称をほとんど使ってないだけに“僕”が際立つ「低空飛行」、
本作の歌詞に二人称もほとんど使ってないだけに“あなた”が際立つ「ベイサイドモーテル」、
「行け若人」、
「雨が止んでも」
という曲名だけでも詩情と叙情が伝わってくる。
もちろん歌を軸にしても、、
結局はヴォーカル+バック・バンドでしかない“日本語ロック・バンド”は完全に一線を画す。
全楽器が歌と溶け合っていてバランスの取れたバンド感あふれるサウンド全体が素晴らしい。
繊細で時にワイルドなヴォーカルは言わずもがな、
楽器の音にも歌心たんまり。
サウンド全体で物を言う、
それがOLEDICKFOGGYである。
包容力いっぱいの一枚だ。
★オールディックフォギー『夜明け来ず跪く頃に』(DIWPHALANX PX360)CD
ていねいに作られた12ページのブックレット封入。
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