なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

STIFF LITTLE FINGERS at高田馬場AREA 5月24日

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STIFF LITTLE FINGERSは北アイルランドのベルファスト出身のパンク・バンドだ。
77年に結成されて82年に一度解散したが87年に再結集して以来活動を続けており、
遂に2度目の日本ツアーが決行された。
23日に新宿アンチノックで“SUSPECT DEVICE”名義でシークレット・ギグをやったから、
この日は2日目のライヴになる。
もちろん会場は老若男女で満員だ。

幕が開いてまずバグパイプ奏者の独奏が行なわれ、
続いて「Go For It」が流されて19年前の初来日時のクラブチッタ川崎と同じで胸が熱くなる。
曲が終わる頃にメンバー4人がステージ袖から飛び出してきて「Wasted Life」でスタートしたもんだから、
いきなりお客は大爆発だ。
開演前に遠まわしの表現で“バンドの意向でダイヴ禁止”のアナウンスがあり、
ちょっとしたモッシュとポゴ・ダンスでみんな盛り上がっていたわけだが、
それこそがパンク・ロック!と言い切りたい。

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セットリストは、
『Inflammable Material』(79年)、『Nobody's Heroes』(80年)、『Go For It』(81年)からまんべんなく、
4作目の『Now Then』(82年)から1曲、
9作目の目下の最新アルバム『Guitar And Drum』(2004年)から2曲、
新曲1曲で構成。
『Inflammable Material』と『Nobody's Heroes』の熱血パンク・ロックのイメージも強いバンドだが、
『Go For It』以降の曲がたくさん混ざっていたがゆえにポップなメロディ・センスも際立っていた。
ナマで体験して確かなソングライティングにあらためてうならされたし、
激しい音の中に光る曲の多彩な色合いに舌鼓を打ったしだい。

モータウン風の「Silver Lining」、
SPECIALSのカヴァーの「Doesn't Make It Alright」、
次のアルバムに収められるであろうロカビリー風の「Liar's Club」、
メンバーと一緒にファンもドゥー・ワップ風のコーラスをキメた「Barbed Wire Love」の並びは、
STIFF LITTLE FINGERSの“裏真骨頂”であった。

言うまでもなく演奏もバッチリである。
90年代後半に加入したイアン・マッカラム(g、vo)とスティーヴ・グラントリー(ds)も、
完全にSTIFF LITTLE FINGERSの顔の一つと一つだ。
イアンは“サイド・ギター”的な演奏で曲を支え、
スティーヴはビシッ!としたタイトなビートで曲を確実に若返らせていた。

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オリジナル・メンバーの、
ジェイク・バーンズ(vo、g)とアリ・マックモーディー(b、vo)がステージに出てきたとき、
音に耳を傾ける前にしばし見入ってしまった。
30年前の面影がまったくないとまでは言わないが、
30年間の人生を感じさせる風貌で感慨深かったのである。
アリは今時のメタルコア・バンドのステージで弾いていても違和感がないほど、
イカツい顔と引き締まったボディでよく動く。

ジェイクはかっぷくが非常によくなっていた。
結成時から唯一ずっとSTIFF LITTLE FINGERSを続けてきたためか、
顔も髪も実年齢(現在52歳のはず)以上の年輪を感じさせる。
だがぼくにはそれらのすべてが凄みに映った。

何しろ元気だ。
DVD『The Story Of STIFF LITTLE FINGERS...Still Burning』のボーナス映像の、
2007年のファースト・アルバム再現(ジェイクが好きじゃない最後の曲は外されている)ライヴの、
何倍もジェイクは元気だ。
そんなにステージ上を動くわけではないしジャンプもほとんどしない。
でもギターがよく出ているし、
声もよく出ているし、
とにかくうるさい。

いわゆる巧いとかテクニカルとかじゃないが、
やかましいギターだった。
音の粗さは初期から変わってないとも思えたし、
『Inflammable Material』の頃よりも音が太くなっているからこっちは“耳痛”になるのだ。
自在に弾くジェイクのギターがSTIFF LITTLE FINGERSの核でありバンドを引っ張っているとも、
今回間近で見て再認識。
長い演奏になっていた「Tin Soldiers」では凄まじいギターで曲をふくらませ、
彼が大好きな同郷アイルランドのロリー・ギャラガーも彷彿させたほどである。
パンク・ロッカーであると同時に、
最高の“ロックンロール・ギタリスト”でもあるのだ。

ヴォーカルも昔みたいなシャウトじゃないが、
しゃがれ気味のヴォイスだし何しろ大声で歌っている。
これまたやかましい。
90年代以降のアルバムではメロウな歌声も聞かせていたが、
いい意味でこの晩のジェイクのヴォーカルにはそんなのほとんどなかった。
喉から胸から、
はらわたからエナジーを搾り出していた。
いわゆるニコニコ顔はほとんど見せず、
旨味をもすりつぶした苦渋を吐き出して歌うような形相。
ぼくには“何か”と闘っているように見えた。
すべてがパンク・ロックそのものだった。

絶大なインスピレーションを受けたジョー・ストラマーのことを歌う曲の「Strummerville」では、
ジェイクの声も切なげで、
終盤の“クラッシュ・シティ・ロッカーズ!”のアリの掛け声と相まってジ~ン・・・ときた。

SLFNT.jpg

本編最後は78年のデビュー・シングルの「Suspect Device」。
ダイヴを試みる客が出るほどステージ前はカオスと化した。

アンコール1曲目はボブ・マーリーのカヴァーの「Johnny Was」。
“あのドラムのリズム”に合わせてジェイクがステップを踏み、
その姿を見ただけでもグッときた。
例によって10分近く盛り上げたあと、
最後の「Alternative Ulster」で彼らは一気に駆け抜けたのである。


やっぱりSTIFF LITTLE FINGERSは熱かった。
前述のDVDのタイトルどおり、まさにstill burningであった。
トータル80分、恐るべし。

パンク・ロックの神様が降りてきた。

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<セットリスト>
0. Go For It(イントロダクション)
1. Wasted Life
2. Roots Radicals Rockers And Reggae
3. Hits And Misses
4. At The Edge
5. Guitar And Drum
6. Silver Lining
7. Doesn't Make It Alright
8. Liar's Club
9. Barbed Wire Love
10. Bits Of Kids
11. Just Fade Away
12. Strummerville
13. Fly The Flag
14. Nobody's Hero
15. Tin Soldiers
16. Suspect Device
17. Johnny Was
18. Alternative Ulster


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コメント

久しぶりにスティッフ・リトル・フィンガーズの名前を聞きました
かつて彼らを聴きまくっていた時期にブッチャーズの吉村さんも彼らを好きだという話を聞いて
うれしくなったことを思い出します

行川さんの文を読んで彼らが“現役”であることがしっかりと伝わってきました

SLF

はじめまして。私も昨日のライブ行きました。
私もブログに感想を書きましたが、行川さんのようなプロのように上手くその感動が伝えられないのが口惜しいです(笑)

>ゾーン・トリッパーさん
書き込みありがとうございます。
吉村さんは昔からシンプルで熱いバンドが好きみたいですね。
間近で観て3年前のライヴを収めたDVD以上に“現役感”がダイレクトに伝わってきました。                                            

>Kさん
書き込みありがとうございます。
ブログ拝見しました。ダイヴや音響トラブルなど、ぼくが文中で触れなかった場の状況がよく伝わってくるナイスな文章ですよ。文章も自分自身のやり方でやる、それがパンク・アティテュードのひとつですもの。
彼らはMCも大切にしているみたいですし、けっこう聞き取れる英語で良かったですね。
                                                                 
あらためてSTIFF LITTLE FINGERSのことを調べていたら、「Wasted Life」は3番目に作った曲ですね(最初に作った曲は「State Of Emergency」)。本文を手直ししておきます。お詫びして訂正いたします。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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