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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

CARCASS『Torn Arteries』

CARCASS_202110230930449b1.jpg


一か月ほど前にリリースされた8年ぶりの7作目のオリジナル・アルバム。
最近の超へヴィ・ローテーションだ。

CARCASSが今もなおクールにロックしていることに、
渾身のアルバムを再び出してくれたことに
またしても最高傑作を更新したことに感動すら覚える。

メンバーは、
ジェフ・ウォーカー(vo、b)、
ビル・スティアー(g、vo)、
ダン・ウィルディング(ds、vo)。
クレジットから察するに初期みたいなトリプル・ヴォーカル体制になっている。

トム・ドレイパー(g)もクレジットされているが、
正式なメンバーは現在3人のようだ。
SPIRITUAL BEGGARSのペル・ヴィバリもピアノとオルガンでひそかに参加している。


セルフ・プロデュースで
LEPROUSとの仕事で知られるデイヴィド・カスティロがエンジニア。
ソリッドなサウンドながら中低音がよく出ていて、
さりげなくグルーヴィだ。
誤解を恐れずに言えばMETALLICAの『Metallica』を思わすところも。
曲によってはビルがフロントマンを務めていたFIREBIRDを思い出すブルース・テイストも香る。
ダンの演奏も加入まもなく録った復活後の前作『Surgical Steel』よりCARCASSに深くハマっており、
ダークなビートなのに小気味いいリズムのドラムもかなり光る。
とにかく足腰のしっかりした歯切れのいいサウンドだ。

曲は、
サードの『Necroticism – Descanting The Insalubrious』(1991年)、
4作目の『Heartwork』(1993年)、
6作目の『Surgical Steel』(2013年)
をブレンドしながらヘヴィにアップデートしたかのようである。
スラッシーなパートとブラスト・ビートを適度に織り交ぜ、
ダイナミックかつドラマチックに展開。
激しく緻密に練り上げられた楽曲クオリティがホント高い。
メランコリックな華麗なるギター・ソロにも磨きをかけ、
聴かせどころだらけのアレンジにも舌を巻くのみだ。
10分近くに及ぶ曲も長さをまったく感じさせない。

本気だ。
サウンドに甘えがない。
じっくりと耳を傾ければわかる。
濃密、そして濃厚なのである。

苦み走った声で歌われる歌詞は、
デビュー作の『Reek Of Putrefaction』(1988年)と
セカンドの『Symphonies Of Sickness』 (1989)も含めて、
これまでのCARCASSを総括しているみたいな味わい。
一時封印していた臓器ネタが今回もちりばめられ、
世界視野での政治的/社会的なニュアンスも生々しく滲む。
例によってシニカル&ニヒリスティックに人間をえぐり出しているように映る内容だ。

ブックレットの作りもさすがの出来である。
載っている歌詞は読みやすいレイアウトだが、
言葉がパズルのような構成になっていて簡単に“解読”できない。
CARCASSならではの“面倒臭いユーモア”も健在なのだ。
めくっていくと、
ジャケットにもデザイインされている新鮮な“ヴェジタブル心臓”が徐々に弱っていき、
しまいには堵殺済みと思しき豚コラージュの心臓と化すまでの過程が見て取れる流れ。
これまた実にCARCASSらしいではないか。

だがもちろん自分を棚に上げて文句言ってるようなヤツじゃない。
何よりサウンドそのものがビシッ!と突き抜けている。

メタル、デス・メタル、エクストリーム・メタル以前に、
ロックとして素晴らしい。
聴いていると力になる。

ウルトラ・グレイト。


★カーカス『トーン・アーテリーズ』(トゥルーパー・エンタテインメント QATE-10130)CD
24ページのブックレット封入の三面デジパック仕様。
日本盤は、
CRASSのジーがジャケットを手掛けた5作目の『Swansong』(1996年)を俗っぽくしたような
意味深タイトルの「NWOBHEAD」を追加の約52分11曲入りで、
歌詞の和訳とジャケット・デザインのステッカーも封入。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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