ゲロゲリゲゲゲ『デクレッシェンド 最終章』(THE GEROGERIGEGEGE『>decrescendo FINAL CHAPTER』)
2022-03-08
80年代前半から東京拠点に“神出鬼没”の活動をコンスタントに続ける、
ゲロゲリゲゲゲの2枚組CD。
2019年の9月18日にレコーディングされている。
ディスク1は約48分1トラック入り。
フィールド・レコーディングと思しき“環境音楽”をバックに、
静かなミニマル・ミュージックが重なる作りだ。
反復基調ながら単調に感じないのは、
ときおりカラスの鳴き声や救急車のサイレンと思しき音声などが遠くから聞こえてくるからでもある。
静謐な時の流れをゆっくりと刻む穏やかな音だからこそ逆にヤバい。
ひっそりした“現場”の恐さも沁みてくる。
アンビエント・ミュージックと呼ぶには生々しい空気感が醸し出されている響きで、
どんな音源を作ろうがゲロゲリゲゲゲの基本の“ドキュメンタリー”の仕上がりそのものだ。
ディスク2は35分35秒1トラック入り。
ディスク1のメインの温和な反復音に“ノイズ”が侵食したような作りである。
ハーシュ・ノイズ状の響きとも言えるが、
ざわつくミニマル・ミュージックであり、
僕にとってはこれまた極上のサイケデリック・ミュージック。
ルー・リードの『Metal Machine Music』と
ブラック・メタル・ノイズ系のカナダのWOLDのブレンドみたいで、
焼けつく音の粒の舞に宿る研ぎ覚まされた情念に覚醒されるばかりだ。
内ジャケットの手書き書体のクレジットも興味深い。
ディスク1は、“FAREWELL DREAM TREATMENT”として、
The STARCLUBの"ALREADY WE HAVE NO PURPOSE, BUT WE HAVE TO SURVIVE"、
TERROR CHORDの“FUCK ALL AUTHORITY”、
HAKO YAMASAKIの“VENUS IS ALWAYS SHINING, I LONG FOR IT”
ディスク2は、“DESTRUCTIVE CRUST TREATMENT”として、
MISERYの“OUR HEARTS DO NOT BEAT TO THE RHYTHM OF THE WAR DRUM”
等のフレーズが記されている。
ディスク1に“OUR DREAM IS OVER”、
ディスク2に“TO THE END OF THE WORLD”
と記されているフレーズも副題みたいで、
CDタイトルと同様に意味深だ。
音像の立体感やも特筆したい。
大音量でも小音量でも、
スピーカーでもヘッドフォンでも楽しめる。
これぞ現代の“ヒーリング・ミュージック”。
グレイト。
★ゲロゲリゲゲゲ『デクレッシェンド 最終章』(いぬん堂 WC-101)2CD
二つ折り紙ジャケット仕様。
ステッカー封入。
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