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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

非常階段『蔵六の奇病 40周年リマスターエディション+DVD』

蔵六の奇病


“キング・オブ・ノイズ”を標榜する“リアル”ノイズ・バンド、
非常階段が1982年にリリースしたファースト・アルバムの40周年記念リイシュー盤。
本編のリマスターCDと当時のライヴを収めたDVDの2枚組だ。
リーダーのJOJO広重(g、vo他)以外はある意味メンバーが流動的で、
人数的にもステージ上がにぎやかだった初期の魅力が凝縮されている


本編のCDは1980年と1981年の計6回分のライヴを編集した約45分6トラック入り。
実際のライヴだと大抵30分は途切れなく続くが、
いい感じで要所を押さえてコンパクトにまとまっていて敷居が低めだから、
非常階段初体験にもピッタリの逸物だ。
リマスタリング効果絶大で音の分離がいいからノイズのデリケイトな本質が堪能もできる。

1トラック目の“小曲”は一種のヴォイス・パフォーマンスとも言える“アカペラ”。
非常階段がヴォイスも常に重要視していることを象徴する。
2トラック目からは大音量で決め事無し!という非常階段不変のノイズだが、
けっこう大人数でのプレイゆえの混沌が味わえる。
今と同じく強烈なエレクトリック・ギターのインプロヴィゼイションが核なのは言わずもがな、
エレクトロニクスも大切という点も変わってない。

やはり即興かもしれないが、全体の流れもしっかりできている。
ドラムが入るトラックもあり、
クラウト・ロックの流れを感じさせ反復プレイと比較的メロディアスなヴォイスも入るトラックは、
誤解を恐れずに言えばポップなテイクだ。
メンバーの人数に絞られていくにもかかわらず激化する一方の80年代後半以降の非常階段よりは、
取っつきやすいのではないだろうか。
サックスが入るトラックは特にフリー・ジャズともリンクし、
加速度はThe POP GROUPの名曲「Communication」も思わせる。
そしてもちろんハード・ロックが持ち得る原始的なロックのダイナミズムと共振しているのだ。
雑音ではないかもしれないが、正真正銘の騒音なのは間違いない。
だが、これらすべて、音楽!と言い切りたい。


DVDは1981年の4回分のライヴと1982年の1回分のライヴから抜粋した計約80分。
今回のCDと同じ日の公演を3つ含むが、
まったく問題無し。
既発表の『極悪ライブ'81+凶悪ライブ'81』の2つのライヴも含むが、
他仕様に合わせて、
画面サイズをマスターテープより3:4からレターボックスサイズに直されている
(注:新宿ロフト公演の3トラックめに関して、
裏ジャケット等にクレジットされた1981年8月29日のライヴではなく、
1981年8月28日が正しいとのことだ)。

2分強の“ドキュメント”の映像も含むが、
15分~23分ぐらいの長さのパフォーマンスを収録。
鮮明な画質とは言いがたいが、
ほとんどは、どういうパフォーマンスを繰り広げているかがわかるし、音質まずまずだ。
最後の1982年4月5日の新宿ロフト公演は、
カメラマンが混乱に巻き込まれていたようでもあり、
どこを撮っていいのか途方に暮れているようでもある。
まもなく、非常階段が新宿ロフトから出入り禁止を食らったのも想像できる映像だ。


★非常階段『蔵六の奇病 40周年リマスターエディション+DVD』(ALCHEMY ARCD-267 ARDVD-010)CD+DVD
ジャケット画は同タイトルの漫画を描いた日野日出志によるもので、
当時の記事とライヴ写真で彩った6つ折りポスター・ジャケットのプラケース仕様。
エディットとリマスターはNasca Car Nakayaが行なっている。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
https://www.facebook.com/namekawa.kazuhiko
                                

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