なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

古谷暢康『Stunde Null』

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ジャズ系ミュージシャンの古谷暢康(テナー・サックス、フルート、バス・クラリネット)が、
拠点にしているポルトガルのリスボンで今年1月に録音したセカンド・アルバム。
“Nobuyasu Furuya TRIO +QUINTET”とジャケットにクレジットされたCDだが、
渋さ知らズを世に送り出した地底レコードが“古谷暢康”名義で日本仕様盤として流通させており、
そのレーベル主宰者がエグゼクティヴ・プロデューサーになった強力盤である。


古谷は78年神奈川県生まれ。
90年代半ばに十代で渋さ知らズに参加するが、
97年に渡欧して東ヨーロッパのシーンで活動。
その後イスタンブールに居を構え、
トルコの古典軍楽部隊に自ら志願してオスマン朝古典軍楽とトルコ音楽を学び、
西アジアの木管民俗楽器であるズルナの演奏者として勤務する。
2003年からドイツのベルリンに拠点を移し、
2008年からポルトガルのリスボンを根城に活動。
Nobuyasu Furuyasu TRIO名義でCLEAN FEED Recordsから発表した昨年のデビューCD『Bendowa』は、
いきなり『All About Jazz New York』誌で2009年度最優秀デビュー・リリース賞に選ばれている。


『Stunde Null)』は、
エルナーニ・ファウシュティーノ(コントラバス)とガブリエル・フェランディーニ(ドラムス)という、
前作でも演奏していたポルトガルのミュージシャン二人が全面参加。
約29分の1曲目はトリオ編成でのレコーディング、
約25分の2曲目はピアノ奏者とトロンボーン奏者を加えた5人での録音だ。
いずれもスタジオの使用制限時間を決めた一発勝負の絶壁インプロヴィゼイション。
修整不可、食うか食われるかの真剣勝負、気をゆるめたら他の人間の音に殺られる。

“ストレートなフリー・ジャズ”と言うと語弊もあろうが、
たとえば阿部薫や浦邊雅祥とは趣が異なるまっすぐな豪腕ブレイだ。
滑らかなリズム隊をはじめとしてジャズ喫茶にもハマる演奏とも思ったが、
ナマゆえに“綺麗事”に終らぬパフォーマンスは英語の言葉の“smart”も似つかわしい痛烈な音で、
BGMを凌駕する。

古谷が楽器を変えるシーンなどでは他のミュージシャンのソロ・パートも設けられ、
静かな聴きどころも自然発生。
やはり加速する音に白熱する。
気持ちが高まってフリーキーな声を発する場面もある。

オーネット・コールマンの精も吸収していると思うが、
ペーター・ブロッツマンも思わせる太くふくらんでいく豪胆なサックス。
泣きと鳴きが激しい表情豊かな激情の音で、
ポスト・ロックにも通じるアク抜きされた近年の“ジャズ”とは対極の胆力に満ちている。
苦味と渋味たんまり、それでいて艶っぽい。
各国で修練してきたかの如き、
世の“内向き志向”とは対極のエナジーを放射する。

楽器が絡み合えば絡み合うほど熱を帯びる。
ミュージシャン間における絶妙の距離の取り方や掛け合いでは、
アナーキーな状態での在るべき人間関係も見えてくるほどだ。

むろん管楽器だけではなくドラムも速い。
BRUTAL TRUTHのドラマーのリッチ・ホークがこういうところからインスパイアされているのもわかる。

約52分あっという間に駆け抜けるハードボイルドなストロング・スタイル。
時代の音もへったくれもない本物だけがもちえる凄みがギラリと光るのであった。


タイトルの『Stunde Null(シュトゥンデ・ヌル)』はドイツ語で“零時”を意味する。
米軍の1945年3月10日の大空襲で焦土と化した東京がジャケットにデザインされているのも意味深だ。


★古谷暢康『Stunde Null』(地底 B45F)CD
立体的な音質もパーフェクトな厚手の紙ジャケット仕様。


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解題

拝啓行川和彦様


レビュー掲載に感謝致します、作者です。

http://zurnazen.exblog.jp/9991711/
http://zurnazen.exblog.jp/11126222

こちら前作と今作の解題を記した
作者のライナーです。なにかと誤解される
ことが多い今作の解題はこちらで
御理解頂ければ幸いで御座います。
また拙プロフィールその他は

http://www.jazztokyo.com/interview/interview081.html

こちらに詳細が掲載されて居ります。そして
前作のライナーノートですが英文で

http://zurnazen.exblog.jp/9991684/

こちらに記されて居ります。

何卒宜しく御願い申し上げます

FN

古谷様、ていねいな書き込みありがとうございます。
リンク先の文章、ざっと読ませていただきました。インタヴューは既に読んでいまして、この本文にも多少反映させていただいています。
『Stunde Null』には姿勢が正されました。パンクとかメタルとかとはジャンルは違うわけですが、これぞハードコアな音!と痺れました。
今後の活動も期待しています。

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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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