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パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

映画『ソングス・フォー・ドレラ 4Kレストア版』

ソング・フォー・ドレラ チラシ表


ルー・リード(vo、g)とジョン・ケイル(vo、ピアノ、ヴィオラ他)による
1990年のライヴ映像作品のリストア版が日本で上映される。
アンディ・ウォーホルを題材に二人が作った1990年のアルバム『Songs For Drella』を
無観客の会場で“再現”した同タイトルの作品で、
今回のロードショーの映像はオリジナル16㎜ネガから4Kで“復元”されたものだ。
もちろん歌詞の和訳字幕付である。
55分の映画だが、
実に濃密な55分間ということを断言する。

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ファースト『Velvet Underground & Nico』(1967年)のプロデュースをはじめ、
初期のVELVET UNDERGROUNDにとってウォーホルの影響力は大きかった。
そんなウォーホルが1987年に他界してまもなく、
一種の“追悼”として二人は曲を書き始める。
永遠の“好敵手”の二人がアンディの死によって再び“手を組んだ”形だったが、
二人の間の絶えることのない確執を知る者にとっては“ありえない”タッグであった。
実際、このプロジェクトの後に二人はまもなく“元の関係”に戻ったとされる。

sub01.png

オリジナル・アルバムのレコーディングのための共演は
VELVET UNDERGROUNDのセカンド『White Light / White Heat』(1968年)以来ではあった。
ただライヴは1972年に一緒にやっている。
さらなる“火種”を持ち込むかのようにニコも同じステージに立った
(厳密に言えばルーやジョンと同じく座って歌っていたようだが)。
その歴史的な模様は『Live At Le Bataclan 1972』というタイトルでCDにもなっている
(抜粋映像のDVD付のCDや単独DVDもあり)。

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アルバム『Songs For Drella』のリリースから4ヶ月後には、
1990年8月6日に東京NHKホールで来日公演も実現した。
同じ時期に行なっていたルーの『New York』のソロ日本ツアー終了後に行なわれたのも、
そのツアーがモーリン・タッカーもバック・バンドのメンバーの一員だっただけに、
感慨深いものがあった。
アンコールで、
ジョンが去った後のVELVET UNDERGROUNDのサードに収めた「Pale Blue Eyes」を
ジョンのヴォーカルで披露した“サプライズ”には、
まさか!のイントロの段階で大歓声が沸き上がったものである。

IMG_20221013_194350.jpg
(参考画像)

「Pale Blue Eyes」はもちろんやってないが、
その時の静かなる興奮が蘇る映像作品だ。
ライヴというよりコンサートと呼びたい静謐なパフォーマンスを脚色なく映し出す。
アルバム『Songs For Drella』と同じくひたすらストイックな仕上がりだからこそ生々しく迫り来る
ルーとジョンの研ぎ澄まされた交感に、
ゆっくりと覚醒されていく。

MC無しの淡々とした進行ながら、
曲ごとに撮り方や見せ方が違う。
ステージ後方にアンディ関係の写真等を映す曲もあるが、
ほぼ二人のプレイ映像のみ。
しかも顔のアップが多く、
二人の表情を交互に映し出すことで
プレイ中の各々の意識の流れや“相方”に対する思いがじわじわ伝わってきてなかなか刺激的だ。

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プレイ中の二人の気持ちを想像するとまた楽しい。
顔色を窺っているわけではなかろうがジョンは、
ルーをチラチラ見ながら歌い演奏しているところが多いも意味深だ。
ルーはほとんどジョンを見ず、
いい意味で仕事を完遂することに専念しているかのように黙々と歌い弾く。
でもジョンがリード・ヴォーカルの「A Dream」で自分のことが歌われるパートでは、
やや気色ばんでジョンを睨むルーも楽しめる。

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歌詞の和訳が日本語字幕で表示されるのもありがたい。
終始落ち着き払った二人の表情がその時々の言葉で微妙に動くのが楽しめるのだ。
“フィクションを交えたノンフィクション”と言いたいウォーホルの物語の歌詞で、
二人の視点がブレンドしたウォーホル批評が味わえる。
あくまでも和訳の日本語ではあるが、
ヴォーカルや音と歌詞の意味を瞬間瞬間で同時に感じることのインパクトを再認識する。

香港やミャンマー、タイが歌い込まれた「Forver Changed」における先見の明の歌詞など、
『Songs For Drella』には色々と発見がある。
ここでのルーのギター・プレイは、
90年代以降の自由形エレクトリック・ギター演奏の序章にも思える。
ジョンの方はピアノ弾き語り中心のライヴ盤『Fragments Of A Rainy Season』に直結した気がする。

音響面も含めて考えると、
やっぱり劇場で体験したい。
グレイト。

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★映画『ソングス・フォー・ドレラ 4Kレストア版』
原題:SONGS FOR DRELLA 1990年-2021年(4Kレストア版)/55分/アメリカ
監督・撮影:エドワード・ラックマン 歌詞全訳:林かんな
🄫1990 Initial Film and Television / Lou Reed and John Cale
10月28日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほかロードショー。
以降全国順次公開。
http://drella.onlyhearts.co.jp/


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)、
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)、
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)<以上リットーミュージック刊>、
『メタルとパンクの相関関係』(2020年~BURRN!の奥野高久編集部員との“共著”)<シンコーミュージック刊>
を発表。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、ギター・マガジン、ヘドバンなどで執筆中。

https://twitter.com/VISIONoDISORDER
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