なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

KORN『Korn Ⅲ - Remember Who You Are(Special Edition)』

Korn_III_spec_cover-LR.jpg


今月上旬にリリースした新作。
バンド内でトラブルがあってもコンスタントなリリースを続けていて、
これが約3年ぶりの9枚目のオリジナル・アルバムだ。
ますます様々なヘヴィ系バンドが終結するROADRUNNER Records移籍第一弾でもある。


今まで色々なバンドの日本デビュー盤のライナーの話をいただいてきたが、
そういう縁があると以降そのバンド/アーティストに対して特別な感情を抱き続ける。
まだKORNが米国でも日本でも海の物とも山の物ともつからない頃の、
94年にリリースされた『Korn』も書かせてもらった。
あまりに得体の知れぬ斬新なサウンドだったから“今後彼らは苦労するだろう”みたいな言葉で締めたら、
見事にハズれた。
時代を切り開いてビッグになってくれた。
いや、いきなり表現的に高みに達して、
超ビッグ・ネームなポジションに一気に到達してしまったからこその苦労は絶えなかったはずである。
そんなことをサードの『Follow The Leader』(98年)以降ずっと考えてきた。
けどいつまでも見捨てられないし、
なんだかんだいって毎回やっぱりいいなぁと思う。

今回もそんな感じになった。
理屈抜きにまずねじふせられる。
さすがの出来だ。
これが王者ってもんである。


↑のジャケットはこの“スペシャル・エディション”のもので通常盤とは異なるが、
まず通常盤と同じCDの本編に触れたい。

ファーストとセカンドの『Life Is Peachy』(96年)以来久々にロス・ロビンソンがプロデュース。
当時それぞれお互いの存在があってこそ時代の寵児になったとも思えるだけに感慨深く、
特に本作はKORNとってまさに原点を見つめる意味合いがあった。
アルバム・タイトルの“Ⅲ”にはロスと作ったアルバムの3作目という意味も込め、
ある意味『Life Is Peachy』の次に来る生々しいアルバムという気持ちも感じられる。

言うまでもなくドロドロした粘液みたいな初期の空気感は望むべくもない。
あれは『Take A Look In The Mirror』(2003年)を最後に宗教+ソロの道に進んだ、
ブライアン“ヘッド”ウェルチ(g)を擁したツイン・ギター時代ならではの音とも言える。
彼のギターを補うためにここ2作でアレコレ電子音を入れていたようにも思えるが、
ジェイムズ“マンキィ”シェイファー(g)のギター1本とエフェクターで、
今回どこまでいけるかに挑戦したかのようだ。

浮遊する音も聞こえてくるが、
シンプルかつハード、そしてヘヴィなロックである。
ファーストの曲のデモがそうであったように、
ヘヴィ・メタルなリフがやはりKORNの基本なのだ。
原点回帰と言われつつ、
曲自体に初期みたいなヒップホップ臭さがあまりないところもチャーム・ポイント。
だがむろんフィールディ・アーヴィズ(b)のグルーヴィなベースは、
KORNのヘヴィ音塊の肝として脈動みたいにびくんびくん動く。
KORNのアルバム初参加になる新メンバーのレイ・ルジアー(ds)のビートも胆力十分だ。

実験的なサウンドをこしらえていた近作の反動かミニマルな音作りが新鮮である。
とにかく余計なことを考えてない。
内面的にもアンプ直でシールドぶっさして轟きを増幅させているナチュラルな響きなのだ。

ジョナサン・ディヴィス(vo)はサード以降の堂々たる歌唱もたっぷり聴かせるが、
深みを増した歌心にうならされる。
オーソドックスなヴォーカリゼイションが中心とはいえ、
セカンドまでの精神の“逆流感覚”を彷彿させるのだ。
気持ちが嘔吐し切るまでプロデューサーのロス・ロビンソンが歌わせた。
そこまでジョナサンを追い詰めた。
歌詞もネガティヴ・フィーリング全開で健在ぶりを発揮している。
16年前と比べると客観的に見てケタ外れに恵まれた環境の中で生活しているはずだが、
ウソを歌っているとも思えない。
いわば俳優みたいに役に“成り切っている”。
歌の世界に没入しているからこそのリアリティに圧倒されるばかりだ。


一方約45分のDVDは、
演奏シーンを中心にお茶目な戯れも盛り込みつつスタジオ内でのメンバーの姿を、
本編の全曲分収めている。
すべてレコーディング時の映像だろうが、
各メンバーの数テイクの演奏と歌唱のシーンとエンジニアの卓いじりを抜粋して上手く曲にかぶせ、
スタジオ・ライヴ風に見える作りだ。
エフェクトをかけるなどして曲ごとに多少違った脚色がなされ、
一曲一曲がミュージック・ビデオとして成り立ってもいる。
一人一人の一生懸命な顔もたっぷり鑑賞できるからファンにはうれしい。


通常盤のジャケットも同じシチュエーションでの撮影と思われるが、
この“スペシャル・エディション”のジャケットとブックレットを彩る女の子の不穏な写真も印象的だ。
デビュー盤『Korn』のジャケットからの流れを感じさせるのは偶然ではない。


★KoЯn『Korn III –リメンバー・フォー・ユー・アー~スペシャル・エディション~』
(ロードランナー・ジャパン RRCY-29208/9)CD+DVD
CDは限定盤用のボーナス・トラックの3曲を追加。
2曲はしっかりしたスタジオ録音で、
もう1曲の今年5月の「Blind」のライヴ・テイクでは最後にブラスト・ビートも挿入される。
日本盤はメンバー4人の自筆書体の簡潔なメッセージや、
スタジオ録音の2曲のボーナス・トラックのものも含む歌詞と、
それらの和訳を載せた28ページのブックレットもプラス。
彫りの深い写真の載った12ページのブックレットも封入の三面デジパック仕様だ。


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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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