なめブログ

パンク/ハードコア/ロックをはじめとする音楽のほか映画などにも触れてゆくナメの実験室

DARKEST HOUR『The Eternal Return』

DarkesthourETERNALRETURN.jpg


ワシントンDC のDARKEST HOURの新作『The Eternal Return』がヘヴィ・ローテーションだ。
スピーカーに向き合って聴いていると全身のツボを突きまくりで問答無用に気持ちがいい。
音楽に対して真剣勝負のオーガニックなサウンドにひたすらヤられっぱなしなのである。

セカンド以降は2年おきリリースしてきて、これが6枚目のアルバム。
デヴィン・タウンゼンドが手がけた前作と前々作はハードコア的な生々しさが薄らいだ気もしていたが、
今回のプロデューサーはブライアン・マクターナン。
2000年のファースト・アルバム『The Mark Of The Judas』のレコーディングをしたエンジニアである。
というわけで両者の交感も功を奏して初期の勢い全開の仕上がりだ。

ブライアンは、
CONVERGEの『Petitioning The Empty Sky』や、
CAVE INの『Beyond Hypothermia』『Jupiter』も手がけた“その筋の人”である。
昔いわゆるユースクルー・タイプのハードコア・バンドのBATTERYでヴォーカルをやっていて、
本作も録った彼のスタジオの名前はMINOR THREATの曲名から引用したサラダ・デイズ。
そんな“仲人”を介した遠回りの形では伝統的なDCシーンのつながりを感じなくもないが、
『The Eternal Return』は、ここ25年のDischordレコードの作品とは対極の苛烈な破壊力のサウンド。
音そのもののストレートなエッジを効かせてまっすぐに突き進む。

ギタリストの一人が抜けて新たなギタリストが加入したことも影響したのかフレッシュに聞こえるし、
珍しくブラスト・ビートを入れた曲も披露しているが、
基本路線に変わりなし。
スウェーデンのAT THE GATESを基本としつつCARCASSのクセの強さを曲のアクセントにしている。
メロディック・デス・メタルの激烈なハードコア・ヴァージョンの研ぎ澄まされた速い曲ばかり。
スピード、メロディ、鋭さに磨きをかけ、ストイックなまでに贅肉を落として絡み合う音の連打である。
キックとスネアのコンビネーションが絶妙のドラムのスピード感とリズム・センスにも痺れる。
5年前に“Extreme The Dojo Vol.10”で観た時もビックリしたものだ。

で、DARKEST HOURはメタルなのか?

DISCHARGEやANTISECTとかのハードコア・パンクも大好きなメタル・ヘッズがその東京公演を観て、
「荒すぎて自分にはピンとこなかった」みたいなことを言っていた。
自分の好みに対してブレのない人だけに興味深く、同時に「やっぱりなぁ」と思ったしだい。
デス・メタルなどのエクストリームなメタルも好む人でも、
DARKEST HOURはライヴ・パフォーマンスにメタル的な整合感が希薄でキツイようである。
むろんそれはホメ言葉だ。

唯一の日本ツアーではジョン・ヘンリーのヴォーカルのブチ切れ方もポーズ無しで凄まじかった。
硬質な楽器の音はもちろんのことだが、
あのヴォーカルがあってこそDARKEST HOURはメタルに収まらない。

タイプはまったく違うがギター・ソロが多い点でも、
ぼくは東京のハードコア・パンク・バンドのPAINTBOXを思い出す。
そのギタリストの故チェルシーは、たとえメロディアスな曲やポップな曲を作っても、
PAINTBOXのフロントマンのムネのヴォーカルでいけばハードコアでいけると考えていたという。
余談だが、何気に歌心があふれている点でも両者のヴォーカルは通じ合うと勝手にぼくは思っている。

とにかく燃え立つ芯のしっかりしたハードコアなヴォーカルで歌えばどんな曲でもハードコアになるのだ。
ダミ声といってもDARKEST HOURのヴォーカルも、
いわゆるデス・メタルのデス・ヴォイスとは根本的に質感が違う。
今回クリーン・ヴォイスを封印して徹底的に荒い声をぶちまけまくるが、
脅しているような咆哮や怒号の類とも違う。
ジョン・ヘンリーの声は徹底的に粗くヒリヒリしている。
要はどこから声を出しているかということ。
頭からじゃない。
意識が飛ぶほど剥き出し。
ウソのない表現である。

「No God」という曲の歌詞はAMEBIXの「No Gods, No Masters」も思わせる。
そもそもDARKEST HOURというバンド名はAMEBIXの曲名「The Darkest Hour」の引用なのだろうか。
前述のファーストのLPをSouthern Lordが再発したことなど、
シーン的にも色々と立ち居地が興味深いバンドでもある。


●DARKEST HOUR『The Eternal Return』(VICTORY VR495)CD
画像はスリップ・ケースのもので、
緻密な画が描かれたブックレットのアルバム・カヴァーも素晴らしい。
まさにグレイト!!!!!




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行川和彦

Author:行川和彦
                                             Hard as a Rockを座右の銘とする、
音楽文士&パンクの弁護人。

『パンク・ロック/ハードコア・ディスク・ガイド 1975-2003』(2004年~監修本)
『パンク・ロック/ハードコア史』(2007年)
『パンク・ロック/ハードコアの名盤100』(2010年)
を発表<いずれもリットーミュージック刊>。

ミュージック・マガジン、レコード・コレクターズ、CDジャーナル、プレイヤー、ギター・マガジン、ベース・マガジン、クロスビート、EL ZINEなどで執筆中。
                                

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